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【ITニュース解説】When Does a Visual IDE Outperform Text‑Based Code in Control Engineering?

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「When Does a Visual IDE Outperform Text‑Based Code in Control Engineering?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

LabVIEWのようなビジュアルIDEは、自動化・ロボット開発で直感的で快適な環境を提供する。ハードウェア開発などでは抽象的・視覚的思考を助け、エンジニアの認知負荷を下げ、テキストコードより迅速な開発を可能にする可能性がある。

ITニュース解説

記事は、制御工学の分野において、プログラムを文字で書く「テキストベースのコード」よりも、図やアイコンを組み合わせて視覚的にプログラムを作る「ビジュアルIDE(統合開発環境)」が優れているのはどのような場面か、という問いを投げかけている。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、開発ツールや手法の選択は、効率や成果に直結する重要なテーマである。

まず、ビジュアルIDEとは何かを理解することが重要だ。一般的なプログラミングは、PythonやJavaのような言語を使って、命令文を文字で記述していく。これに対し、ビジュアルIDEでは、処理のブロックを図形やアイコンとして配置し、それらを線でつなぐことでプログラムの流れや論理を視覚的に表現する。まるでブロックを組み立てるようにプログラムを作成できるため、直感的に理解しやすいのが特徴だ。

この記事では、特に「LabVIEW」というビジュアルプログラミング環境と、そのG言語という独自のビジュアル言語が例として取り上げられている。筆者は、このLabVIEWをオートメーションやロボット工学の分野で「ローコード」開発プラットフォームとして利用した経験を述べている。ローコード開発とは、専門的なプログラミング知識が少なくても、最小限のコーディングでアプリケーションを開発できる手法のことだ。筆者は、抽象化されたユーザーインターフェースを通じて、システムの論理的な中核部分をLabVIEWで構築したという。

筆者がLabVIEWを選んだ背景には、長年の研究と、様々な研究開発組織での実際の開発プロセスを観察した結果がある。特に、自身がハードウェアエンジニアの出身であることから、LabVIEWが提供する「抽象的かつ視覚的な思考」を可能にする点に強く魅力を感じたという。ハードウェア中心の開発では、物理的な部品の挙動や電気信号の流れ、リアルタイムな制御といった要素をソフトウェアで正確に表現する必要がある。テキストベースのコードでは、これらの要素を抽象的な概念として頭の中で処理し、それを厳密な構文で記述しなければならないため、複雑になりがちだ。しかし、LabVIEWのようなビジュアル環境では、物理的なシステムに近い形でプログラムを視覚的に構成できるため、ハードウェアとソフトウェアの間の隔たりを感じにくく、最も直感的で快適な開発環境だったと筆者は述べている。

このビジュアルインターフェースの大きな利点は、エンジニアがプログラムを理解し、作成する際の「認知の壁」、つまり思考や学習にかかる負担を大幅に軽減できることにある。テキストベースのプログラミング言語は、それぞれに特有の文法や構文ルールがあり、これらを習得し、正確に記述するには多くの時間と労力がかかる。一方、ビジュアルプログラミングでは、これらの細かなルールに縛られることなく、システムの全体像や処理の論理的な流れをブロック図として直接見ることができるため、直感的に把握しやすい。プログラムが何をしているのか、どこに問題があるのかが視覚的に明確になることで、思考の負担が減り、より本質的な問題解決に集中できるようになる。

しかし、このビジュアルインターフェースは単なる見た目の飾りではないと記事は強調する。つまり、見た目は分かりやすくても、その裏側では「決定論的で形式的なメカニズム」が厳密に機能しているということだ。これは、例えば、制御システムのように、入力に対して常に予測可能で正確な出力が求められる分野において非常に重要な要素となる。ビジュアルプログラミングだからといって、内部の処理が曖昧になることはなく、確実性と信頼性が保たれるという意味だ。

このアプローチは、プログラミングそのものが専門ではないが、特定の分野に深い知識を持つ「ドメイン専門家」にとって、非常に強力なツールとなる可能性を秘めている。記事では、生物工学、薬理学、分子化学といった専門分野を例に挙げている。これらの分野の専門家が、複雑なプログラミング言語を新たに学ぶことなく、自分たちの専門知識やアイデアを直接プログラムとして表現できるLabVIEWのような環境があれば、開発や研究の進捗は格段に速くなるだろうと筆者は考えている。プログラミング言語の知識はあっても、その分野の専門知識が不足しているプログラマーが開発するよりも、その分野の専門家自身が開発する方が、より本質的な課題解決に繋がりやすいという視点だ。

これは、IT業界における「ローコード/ノーコード」開発の大きな潮流とも密接に関連している。ローコード/ノーコードは、専門的なプログラミングスキルがない人々でも、ビジュアルツールを使ってアプリケーションやシステムを開発できるようにすることを目指している。これにより、ビジネスや研究の現場で本当に必要とされている機能を、現場の人間が直接、迅速に開発できるようになり、開発プロセス全体の効率化や品質向上、そしてイノベーションの加速が期待されている。

この記事がシステムエンジニアを目指す皆さんへ示唆するのは、開発手法やツールの選択が、プロジェクトの成功においていかに重要かということだ。全ての開発に万能なツールや手法は存在しない。汎用的なテキストベースのプログラミング言語は、その柔軟性と表現力から広範な開発に適しているが、特定の専門分野や、ハードウェアとの密接な連携が求められる場面では、ビジュアルプログラミングが大きな優位性を持つ場合がある。特に、制御工学のようにリアルタイム性や正確性が求められる分野では、直感的な理解と迅速な試行錯誤を可能にするビジュアルIDEの価値は非常に高い。

したがって、将来システムエンジニアとして活躍するためには、特定の言語やツールに固執するのではなく、プロジェクトの目的、開発するシステムの特性、チームのスキルセット、そして対象となる技術領域などを総合的に考慮し、最も適切な開発アプローチを選択できる幅広い視野と柔軟な思考が求められる。ビジュアルプログラミングは、特に専門性の高い分野において、専門家がより効率的に、より直接的にアイデアを実現するための強力な手段となる可能性を秘めており、今後のソフトウェア開発のあり方を考える上で非常に示唆に富んだテーマである。

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