【PHP8.x】ArrayIterator::__serialize()メソッドの使い方
__serializeメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。
基本的な使い方
『__serializeメソッドは、ArrayIteratorオブジェクトがシリアライズされる際に、その状態を配列として表現するために実行されるメソッドです。シリアライズとは、オブジェクトをファイルに保存したり、ネットワーク経由で送信したりできるように、一連の文字列形式に変換する処理を指します。プログラマーがこのメソッドを直接呼び出すことは通常なく、PHPのserialize関数がArrayIteratorオブジェクトに対して使用されたときに、PHPの内部処理として自動的に呼び出されます。このメソッドの主な役割は、ArrayIteratorが内部で保持している配列データや、現在の反復処理の位置といった、オブジェクトの状態を構成する重要な情報を、キーと値のペアからなる連想配列として返すことです。この返された配列は、serialize関数によって最終的なシリアライズ文字列に変換されます。そして、この文字列は後でunserialize関数でオブジェクトを復元する際に、対になる__unserializeメソッドに渡され、オブジェクトを元の状態に戻すために利用されます。この仕組みにより、オブジェクトの状態をセッションやキャッシュに正確に保存することが可能になります。
構文(syntax)
1<?php 2 3$iterator = new ArrayIterator(['a' => 1, 'b' => 2, 'c' => 3]); 4 5// serialize()関数を実行すると、内部的に ArrayIterator::__serialize() が呼び出されます。 6$serialized_data = serialize($iterator); 7 8echo $serialized_data; 9 10?>
引数(parameters)
引数なし
引数はありません
戻り値(return)
array
__serialize メソッドは、オブジェクトの現在の状態をシリアライズ可能な配列形式で返します。この配列は、PHP の serialize() 関数によって処理され、オブジェクトの保存や転送に利用されます。
サンプルコード
PHP ArrayIteratorの__serializeでSerialize精度を制御する
1<?php 2 3/** 4 * ArrayIterator を継承し、カスタムのシリアライズ・デシリアライズロジックを提供するクラスです。 5 * PHP 8 以降で導入された __serialize および __unserialize マジックメソッドを使用します。 6 */ 7class MyCustomArrayIterator extends ArrayIterator 8{ 9 private string $id; 10 private float $floatingPointValue; 11 12 /** 13 * コンストラクタ 14 * 15 * @param array $array 内部でイテレートする配列データ 16 * @param string $id イテレータの識別子 17 * @param float $floatingPointValue シリアライズ精度が影響する浮動小数点数 18 */ 19 public function __construct(array $array, string $id, float $floatingPointValue) 20 { 21 parent::__construct($array); 22 $this->id = $id; 23 $this->floatingPointValue = $floatingPointValue; 24 } 25 26 /** 27 * オブジェクトが serialize() 関数によってシリアライズされる際に呼び出されます。 28 * このメソッドは、オブジェクトの内部状態を表す配列を返す必要があります。 29 * 返される配列に含まれる浮動小数点数は、PHP の 'serialize_precision' 設定の影響を受けます。 30 * 31 * @return array オブジェクトのシリアライズ可能な状態を表す配列 32 */ 33 public function __serialize(): array 34 { 35 return [ 36 'id' => $this->id, 37 'data' => $this->getArrayCopy(), // ArrayIterator が保持する配列をコピー 38 'version_value' => $this->floatingPointValue, 39 ]; 40 } 41 42 /** 43 * オブジェクトが unserialize() 関数によってデシリアライズされる際に呼び出されます。 44 * __serialize メソッドが返した配列を受け取り、オブジェクトのプロパティを復元します。 45 * 46 * @param array $data __serialize メソッドが返したデータ配列 47 */ 48 public function __unserialize(array $data): void 49 { 50 $this->id = $data['id']; 51 $this->floatingPointValue = $data['version_value']; 52 parent::__construct($data['data']); // 親クラスの内部配列を復元 53 } 54 55 /** 56 * オブジェクトのIDを取得します。 57 * 58 * @return string 59 */ 60 public function getId(): string 61 { 62 return $this->id; 63 } 64 65 /** 66 * オブジェクトの浮動小数点数値を取得します。 67 * 68 * @return float 69 */ 70 public function getFloatingPointValue(): float 71 { 72 return $this->floatingPointValue; 73 } 74} 75 76// --- サンプルコードの実行 --- 77 78// 浮動小数点数を含む初期データを用意 79$initialData = [ 80 'alpha' => 1.2345678901234567, // 高精度の浮動小数点数 81 'beta' => 9.8765432109876543, // 高精度の浮動小数点数 82]; 83$initialFloatingValue = M_PI; // 例として円周率を使用 84 85// MyCustomArrayIterator のインスタンスを作成 86$iterator = new MyCustomArrayIterator($initialData, 'Example-Iterator-001', $initialFloatingValue); 87 88echo "--- PHP 'serialize_precision' 設定がシリアライズに与える影響 ---" . PHP_EOL . PHP_EOL; 89 90// 1. 高い精度 (デフォルトまたは最大) でシリアライズ 91ini_set('serialize_precision', '17'); // IEEE 754 double の標準的な最高精度 (小数点以下17桁) 92echo "1. serialize_precision を '17' (高精度) に設定してシリアライズ:" . PHP_EOL; 93$highPrecisionSerialized = serialize($iterator); 94echo $highPrecisionSerialized . PHP_EOL . PHP_EOL; 95 96// 2. 低い精度でシリアライズ 97ini_set('serialize_precision', '4'); // 精度を小数点以下4桁に制限 98echo "2. serialize_precision を '4' (低精度) に設定してシリアライズ:" . PHP_EOL; 99$lowPrecisionSerialized = serialize($iterator); 100echo $lowPrecisionSerialized . PHP_EOL . PHP_EOL; 101 102// 3. 高精度でシリアライズされたデータをデシリアライズし、内容を確認 103echo "3. 高精度でシリアライズされたデータをデシリアライズして内容を確認:" . PHP_EOL; 104// デシリアライズ時には serialize_precision は通常影響しませんが、念のため設定を戻します。 105ini_set('serialize_precision', '17'); 106$deserializedIterator = unserialize($highPrecisionSerialized); 107 108if ($deserializedIterator instanceof MyCustomArrayIterator) { 109 echo " ID: " . $deserializedIterator->getId() . PHP_EOL; 110 echo " 浮動小数点数値 (version_value): " . $deserializedIterator->getFloatingPointValue() . PHP_EOL; 111 echo " 内部データアイテム:" . PHP_EOL; 112 foreach ($deserializedIterator as $key => $value) { 113 echo " " . $key . ": " . $value . PHP_EOL; 114 } 115} else { 116 echo "デシリアライズに失敗しました。" . PHP_EOL; 117}
PHP 8で導入されたArrayIteratorクラスの__serializeメソッドは、オブジェクトがserialize()関数によって文字列に変換される際に自動的に呼び出される特別なメソッドです。これは、オブジェクトの内部状態を配列として抽出し、後でその状態を正確に復元できるようにするための新しいシリアライズメカニズムの一部です。
このメソッドは引数を取らず、戻り値としてオブジェクトのシリアライズ可能な状態を表す連想配列を返します。返される配列には、ArrayIteratorが保持するデータや、それを継承したクラスが持つ独自のプロパティを含めることができます。特に、浮動小数点数を含む値を返す場合、PHPの設定項目であるserialize_precisionがその数値のシリアライズ精度に影響を与えます。この設定値に応じて、浮動小数点数の桁数が丸められて保存されることがあります。
__serializeメソッドが返した配列は、オブジェクトがunserialize()関数によって復元される際に呼び出される__unserializeメソッドに渡されます。__unserializeはこのデータを受け取り、オブジェクトのプロパティやArrayIteratorの内部データを復元することで、元のオブジェクトの状態を正確に再現します。これにより、オブジェクトを安全に保存したり、ネットワーク経由で転送したりすることが可能になります。
__serializeメソッドは、PHP 8で導入されたオブジェクトのシリアライズを制御する新しい方法です。これと__unserializeはセットで実装し、オブジェクトの状態を正確に保存・復元するために使われます。特に注意すべきは、__serializeが返す配列中の浮動小数点数がPHPの設定serialize_precisionに影響される点です。この設定値によってシリアライズされる精度が変わるため、デシリアライズ後の値が元の値と完全に一致しない可能性があります。異なるシステム間でデータをやり取りする際は、serialize_precisionの設定が一致しているか確認するか、精度に依存しないデータ形式の検討も必要です。また、親クラスのデータも適切に処理するように実装することが、オブジェクトの整合性を保つ上で重要です。
PHP ArrayIterator を serialize/unserialize する
1<?php 2 3/** 4 * ArrayIterator オブジェクトのシリアライズとデシリアライズの例。 5 * PHP 8 以降の ArrayIterator クラスは __serialize メソッドを内部的に実装しており、 6 * serialize() 関数が呼ばれる際にそのメソッドが利用されます。 7 * これにより、オブジェクトの状態が適切に保存され、__unserialize メソッドで復元されます。 8 */ 9 10// 1. ArrayIterator のインスタンスを作成し、初期データを持たせる 11$originalData = ['apple', 'banana', 'cherry']; 12$originalIterator = new ArrayIterator($originalData); 13 14echo "--- 元の ArrayIterator オブジェクト ---" . PHP_EOL; 15echo "元のデータ: " . implode(', ', iterator_to_array($originalIterator)) . PHP_EOL . PHP_EOL; 16 17// 2. ArrayIterator オブジェクトをシリアライズする 18// serialize() 関数は、オブジェクトの __serialize メソッド(存在する場合)を呼び出して 19// オブジェクトの状態をバイトストリームに変換します。 20$serializedString = serialize($originalIterator); 21 22echo "--- シリアライズされたデータ ---" . PHP_EOL; 23echo $serializedString . PHP_EOL . PHP_EOL; 24 25// 3. シリアライズされたデータをデシリアライズし、オブジェクトを復元する 26// unserialize() 関数は、バイトストリームからオブジェクトを再構築し、 27// オブジェクトの __unserialize メソッド(存在する場合)を呼び出して状態を復元します。 28$unserializedIterator = unserialize($serializedString); 29 30echo "--- デシリアライズ後の ArrayIterator オブジェクト ---" . PHP_EOL; 31 32// 復元されたオブジェクトが ArrayIterator のインスタンスであり、データが正しいことを確認 33if ($unserializedIterator instanceof ArrayIterator) { 34 echo "デシリアライズ後のデータ: " . implode(', ', iterator_to_array($unserializedIterator)) . PHP_EOL; 35 36 // 元のデータと復元されたデータが一致するか確認 37 if (iterator_to_array($unserializedIterator) === $originalData) { 38 echo "ステータス: データは正しくシリアライズ・デシリアライズされました。" . PHP_EOL; 39 } else { 40 echo "ステータス: エラー - データが正しく復元されていません。" . PHP_EOL; 41 } 42} else { 43 echo "ステータス: エラー - オブジェクトが正しくデシリアライズされませんでした。" . PHP_EOL; 44} 45 46?>
PHPのArrayIteratorクラスにおける__serializeメソッドは、オブジェクトを永続化する際に重要な役割を果たします。このメソッドは、serialize()関数がオブジェクトをバイトストリームに変換する際に、PHP 8以降のArrayIteratorクラスの内部で自動的に呼び出されます。引数はなく、オブジェクトの現在の状態を表現する連想配列を戻り値として返します。この戻り値の配列には、オブジェクトが持つべきデータやプロパティが含まれており、serialize()関数はこの配列を使ってオブジェクトをシリアライズ可能な形式に変換します。
サンプルコードでは、まずArrayIteratorオブジェクトを作成し、内部にデータを保持させます。次に、serialize()関数でこのオブジェクトをバイトストリームに変換すると、内部的に__serializeが動作し、オブジェクトの状態が正確に抽出されます。その後、unserialize()関数を使ってバイトストリームからオブジェクトを復元します。この復元の過程で、__serializeが返した配列情報をもとに__unserializeメソッドが内部的に呼び出され、元のArrayIteratorオブジェクトと全く同じ状態が再現されます。これにより、オブジェクトの状態が保存され、必要に応じていつでも復元できることが示されています。
このサンプルコードはPHP 8以降の機能を利用しています。ArrayIteratorクラスはPHP 8で内部的に__serializeメソッドを実装しており、serialize()関数が呼ばれる際に自動的にこのメソッドが利用されます。これにより、オブジェクトの状態が安全にバイトストリームへ変換され、unserialize()関数で適切に復元されます。開発者が直接これらのメソッドを呼び出す必要はありません。特に注意すべき点として、unserialize()関数は悪意のあるシリアライズデータを受け取るとセキュリティ上の脆弱性を引き起こす可能性があるため、必ず信頼できるソースからのデータにのみ利用するようにしてください。