アレイ(アレイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
アレイ(アレイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
アレイ (アレイ)
英語表記
array (アレイ)
用語解説
「アレイ」とは、IT分野において複数の同じ種類または関連する要素をまとめて、一つの論理的な単位として扱う概念を指す言葉である。この用語は、プログラミングにおけるデータ構造としての「配列」と、ストレージシステムにおける「ディスクアレイ」の二つの主要な文脈で頻繁に用いられる。いずれの文脈においても、複数の独立した要素を集約し、効率的な管理や利用を可能にするという共通の目的がある。
詳細
プログラミングにおけるアレイ(配列)は、最も基本的なデータ構造の一つである。これは、同じデータ型のデータを複数個、メモリ上に連続して確保し、一つの変数名で管理する仕組みを指す。アレイ内の個々のデータ要素は、その並び順を示す整数値であるインデックス(または添字)を用いて個別にアクセスされる。
プログラミングの配列にはいくつかの特徴がある。まず、アレイ内の全ての要素は同じデータ型を持つという点である。これにより、メモリ上での管理が単純化され、効率的な処理が可能となる。次に、要素がメモリ上で隣接して配置されるため、特定のインデックスの要素へ高速にアクセスできるという利点がある。これは、アレイの先頭アドレスと目的の要素のインデックスから、その要素が格納されているメモリのアドレスを直接計算できるため、データの探索にかかる時間が極めて短いという特性を持つ。インデックスは通常0から始まる整数値で、アレイ内の各要素の位置を示す。例えば、5つの要素を持つ配列の場合、インデックスは0から4までとなる。プログラミング言語によっては、インデックスが1から始まるものも存在する。
また、多くのプログラミング言語における基本的な配列は、宣言時にそのサイズ(要素数)が決定され、実行中にサイズを変更できない固定長である。一度確保された配列のサイズは、その後の処理で変更することができない。しかし、この固定長の配列の概念を基盤としながら、動的にサイズを変更できる「動的配列」や、より抽象化されたデータ構造である「リスト」などが、多くのプログラミング言語で提供されている。これらは内部的には配列の仕組みを利用していることがほとんどである。
配列の主な用途としては、複数の関連データを一括で管理する必要がある場合に非常に有効である。例えば、あるクラスの生徒全員の試験の点数を管理する場合や、センサーから取得された一連の計測データを時系列で保持する場合などが挙げられる。配列は、ループ処理と組み合わせることで、多数のデータに対して繰り返し同じ操作を適用する処理を簡潔に記述できるため、プログラムの可読性と効率性を向上させる。さらに、一次元配列がデータの直線的な並びを表現するのに対し、複数の次元を持つ「多次元配列」も存在する。例えば、二次元配列は行と列を持つ表形式のデータを表現するのに使われ、これは配列の要素がさらに別の配列であると考えることができる。
一方、ストレージシステムにおけるアレイは、ハードウェアの構成として「アレイ」という言葉が用いられる場合がある。この文脈で代表的なものが「ディスクアレイ」である。ディスクアレイとは、複数の物理的なハードディスクドライブを組み合わせて、論理的に一つの大きなストレージデバイスとして扱う技術のことである。
ディスクアレイの目的は主に二つある。一つはパフォーマンスの向上である。複数のディスクにデータを分散して書き込むことで、データの読み書き速度を向上させることができる。もう一つは、データの冗長性、すなわち耐障害性の確保である。複数のディスクにデータのコピーや誤り訂正情報を保持することで、一部のディスクが故障した場合でもデータが失われることを防ぎ、システム全体の可用性を高める。
このディスクアレイを実現する主要な技術が「RAID (Redundant Array of Independent Disks)」である。RAIDにはいくつかのレベルがあり、それぞれ異なる目的や特性(性能重視、冗長性重視、またはその両方)で構成される。例えば、RAID 0はデータを複数のディスクに分散して書き込むことで読み書き性能を向上させるが、冗長性はないため、どれか一つのディスクが故障するとデータが全て失われるリスクがある。対照的に、RAID 1は同じデータを二つのディスクに書き込む(ミラーリング)ことで冗長性を高め、一方のディスクが故障してももう一方のディスクからデータを読み出すことができる。このように、ストレージの文脈でも「アレイ」は「複数の要素をまとめて一つの論理的な単位として機能させる」という共通の概念を持つ。