ギガヘルツ (ギガヘルツ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ギガヘルツ (ギガヘルツ) の読み方

日本語表記

ギガヘルツ (ギガヘルツ)

英語表記

Gigahertz (ギガヘルツ)

ギガヘルツ (ギガヘルツ) の意味や用語解説

ギガヘルツとは、周波数の単位であり、1秒間に10億回の振動や周期的な現象が発生することを示す。記号はGHzと表記される。IT分野、特にコンピュータの性能を示す指標として広く用いられており、主に中央処理装置であるCPUの性能を表す「クロック周波数」の単位として知られている。クロック周波数が高いほど、CPUが1秒間に実行できる演算の回数が増えるため、一般的に処理性能が高いとされる。しかし、コンピュータ全体の性能はクロック周波数だけで決まるものではなく、他の多くの要素が複雑に関係していることを理解する必要がある。 ギガヘルツを正確に理解するためには、まず基本単位であるヘルツ(Hz)から把握することが重要である。ヘルツは、1秒間に何回の周期的な現象が起こるかを示す単位であり、1ヘルツは1秒間に1回の振動や信号の波が発生することを意味する。このヘルツに、国際単位系で定められた接頭語を付けることで、より大きな周波数を効率的に表現する。キロ(K)は1000倍、メガ(M)は100万倍、そしてギガ(G)は10億倍を意味する。したがって、1ギガヘルツは、1秒間に10億回の振動や信号の繰り返しが発生している状態を表す。 コンピュータの世界において、ギガヘルツが最も頻繁に用いられるのがCPUのクロック周波数である。CPUは、コンピュータの頭脳としてあらゆる計算や制御を行う電子回路の集合体だが、その複雑な動作は「クロック信号」と呼ばれる周期的な電気信号に同期して行われる。このクロック信号が1秒間に何回発生するかを示した値がクロック周波数である。CPUはクロック信号の1周期を基準として、メモリから命令を読み込み、それを解読し、実行するといった一連の処理を段階的に進める。そのため、クロック周波数が高い、つまりギガヘルツの数値が大きいほど、1秒間に発生するクロック信号の回数が多くなり、結果としてより多くの命令を処理できるようになる。例えば、2GHzのCPUは1秒間に20億回、4GHzのCPUは1秒間に40億回のクロック信号を発生させる。他の条件がすべて同じであれば、4GHzのCPUは2GHzのCPUの2倍の処理速度を持つと理論上は考えられる。 しかし、クロック周波数だけを見てCPUの性能を判断するのは適切ではない。現代のCPUの性能は、複数の要素によって総合的に決定されるからである。その一つが「コア数」である。コアは、実際に演算処理を行うCPUの中核部分であり、近年のCPUは一つのパッケージ内に複数のコアを持つマルチコアプロセッサが主流となっている。コア数が多ければ、複数の処理を同時に並行して実行できるため、コンピュータ全体の処理能力が向上する。例えば、同じクロック周波数のCPUであっても、2つのコアを持つデュアルコアCPUは、1つのコアしか持たないシングルコアCPUよりも、複数のアプリケーションを同時に動かすような場面で高い性能を発揮する。 さらに、「アーキテクチャ」もCPUの性能を左右する非常に重要な要素である。アーキテクチャとはCPUの基本設計思想のことであり、これが異なると、1クロックあたりに実行できる命令の数、すなわちIPC(Instructions Per Clock)が変わってくる。たとえクロック周波数が低くても、アーキテクチャが優れていてIPCが高ければ、クロック周波数が高い別のCPUよりも高い性能を示すことがある。近年のCPU開発では、単にクロック周波数を向上させることによる消費電力や発熱の増大を避け、このIPCをいかに高めるかというアーキテクチャの改良が性能向上の鍵となっている。 その他にも、CPU内部に搭載される高速なメモリである「キャッシュメモリ」の容量や速度も性能に影響を与える。キャッシュメモリは、CPUが頻繁に利用するデータを低速なメインメモリから一時的に保管しておく場所である。この容量が大きいほど、メインメモリへのアクセス回数を減らすことができ、CPUが待ち時間なく処理を続けられるため、実効性能が向上する。 ギガヘルツという単位は、CPU以外にも様々な場面で利用される。コンピュータの主記憶装置であるメモリ(DRAM)の動作速度やデータ転送速度を示す際にも使われる。また、無線通信の分野では、電波が1秒間に振動する回数、すなわち電波の周波数を示すためにギガヘルツが用いられる。無線LAN規格であるWi-Fiでは2.4GHz帯や5GHz帯、6GHz帯が利用されており、携帯電話の通信規格である4Gや5Gでも、様々なギガヘルツ帯の周波数が割り当てられている。これらの周波数帯によって、通信速度や電波の届きやすさ、障害物への強さといった特性が異なる。 結論として、ギガヘルツは周波数を表す基本的な単位であり、特にCPUのクロック周波数としてコンピュータの処理速度を測るための一つの目安となる。しかし、それは性能を決定づける唯一絶対の指標ではない。システムエンジニアを目指す上では、クロック周波数という表面的な数値だけでなく、コア数、アーキテクチャ、キャッシュメモリといった他の要素も総合的に評価し、システム全体の性能を正しく理解する能力が求められる。

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