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setgid(セットジアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

setgid(セットジアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

セットジーアイディー (セットジーアイディー)

英語表記

setgid (セットジッド)

用語解説

「setgid」は、Unix系OSにおけるファイルやディレクトリに設定される特殊なパーミッションビットの一つだ。この特殊なビットは、ファイルの実行時やディレクトリ内でのファイル作成時に、通常の権限設定とは異なる挙動をもたらす。システムエンジニアを目指す上で、ファイルやプロセスの権限管理は基本中の基本であり、setgidはその中でも特に重要な概念の一つである。

まず、setgidがファイルに設定された場合について説明する。通常、あるプログラムを実行する際、そのプログラムは実行したユーザー自身の権限(つまり、実効ユーザーID、EUID)と、そのユーザーが所属するグループの権限(実効グループID、EGID)で動作する。しかし、setgidビットが設定された実行ファイルの場合、そのファイルを実行したユーザーが誰であろうと、プログラムはファイル所有者のグループ権限(つまり、ファイル所有グループのEGID)で動作する。これは、例えば、特定のシステムユーティリティが、一般ユーザーには許可されていない特定のグループ権限を一時的に必要とする場合に非常に有用だ。例えば、システムの監視ツールや、共有リソースへのアクセスを仲介するツールなどが、そのファイル自身の所有グループが持つ特別な権限を一時的に借用して処理を実行することを可能にする。パーミッション表記では、グループの実行権限を示すxの位置がsに置き換わる(例:rwx r-s r-x)。数字表記では、パーミッションの最上位ビットとして2が追加される(例:2755)。

次に、setgidがディレクトリに設定された場合について説明する。これは、複数のユーザーが共同で作業する共有ディレクトリで非常に役立つ機能だ。setgidビットが設定されたディレクトリ内で、新しいファイルやサブディレクトリが作成された場合、通常であればその新しいオブジェクトの所有グループは、ファイルを作成したユーザーのプライマリグループとなる。しかし、setgidが設定されたディレクトリ内では、新しく作成されるファイルやサブディレクトリの所有グループが、親ディレクトリの所有グループを自動的に引き継ぐ。これにより、共同作業を行うチームのメンバー全員が、同じグループ権限でファイルにアクセスできるようになり、グループ内でのファイル共有や共同編集が容易になる。例えば、プロジェクトチーム専用の共有ディレクトリがあり、そのディレクトリの所有グループが「project-team」である場合、setgidを設定することで、どのメンバーがファイルを作成しても、そのファイルの所有グループは自動的に「project-team」となり、メンバー間のアクセス権の問題が軽減される。

setgidビットの働きをより深く理解するためには、実効ID(Effective ID)の概念が重要だ。プロセスは、実ID(Real ID)、実効ID(Effective ID)、保存セットID(Saved Set ID)という複数のユーザーIDとグループIDを持っている。通常、プログラムが実行されると、そのプロセスの実効ユーザーID(EUID)と実効グループID(EGID)は、プログラムを実行したユーザーの実IDと一致する。しかし、setgidビットが設定された実行ファイルの場合、そのプログラムが起動されると、プロセスは実行したユーザーの実IDと保存セットユーザーIDを保持しつつ、実効グループIDのみが、ファイルの所有グループのGIDに一時的に変更される。これにより、ファイル自身のグループ権限で処理が行われるわけだ。処理が完了するか、明示的に権限が変更されない限り、この実効グループIDが維持される。

ディレクトリのsetgidも同様に、ファイルやサブディレクトリ作成時のグループ割り当てプロセスに影響を与える。通常のファイル作成では、creatシステムコールなどが呼ばれる際に、ファイルの所有ユーザーは作成者、所有グループは作成者のプライマリグループとして設定される。しかし、setgidディレクトリでは、OSのファイルシステムがこの挙動をフックし、新しく作成されるファイルの所有グループを親ディレクトリの所有グループに上書きする。これは、特に共同作業環境において、個々のユーザーが手動でファイルのグループを変更する手間を省き、一貫したアクセス権管理を保証する上で不可欠な機能だ。

しかし、setgidは非常に強力な機能であるため、その使用には慎重な検討とセキュリティ上の注意が必要となる。setgidが設定された実行ファイルは、それが持つグループ権限を、誰が実行しても付与してしまうため、もしそのプログラムに脆弱性があった場合、攻撃者がその脆弱性を悪用して、本来アクセスできないシステムリソースに不正にアクセスしたり、特権的な操作を行ったりする「権限昇格」のリスクが生じる可能性がある。そのため、setgidを設定するプログラムは、セキュリティレビューが徹底された信頼できるバイナリファイルに限定すべきだ。特に、シェルスクリプトのようなスクリプトファイルにsetgidを設定しても、ほとんどのUnix系システムではセキュリティ上の理由からsetgidの挙動が有効にならないか、限定的な効果しか発揮しない場合が多い。これは、スクリプトインタープリタが新たなプロセスとして実行され、その際に実効GIDが引き継がれないか、意図しない権限で動作する可能性があるためだ。

したがって、setgidを適用する際は、その必要性を十分に検討し、対象となるファイルやディレクトリのセキュリティリスクを理解した上で、適切な権限設定を行うことが重要だ。不要なsetgid設定は、システムセキュリティの弱点となりうるため、定期的なシステム監査やセキュリティチェックを通じて、不適切なsetgidファイルが存在しないかを確認することが、堅牢なシステム運用には不可欠となる。これらの知識は、システムエンジニアとして安全で効率的なシステムを構築・運用するために不可欠な要素と言えるだろう。

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