タンデムシステム (タンデムシステム) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
タンデムシステム (タンデムシステム) の読み方
日本語表記
タンデムシステム (タンデムシステム)
英語表記
tandem system (タンデムシステム)
タンデムシステム (タンデムシステム) の意味や用語解説
タンデムシステムとは、主に金融機関や証券取引システムなど、高い可用性が求められる分野で使用されるコンピュータシステムの構成方式のことだ。システム全体を二重化し、ハードウェアやソフトウェアの故障時にもシステム停止を防ぎ、継続的なサービス提供を可能にする。 基本的な仕組みとして、全く同じハードウェアとソフトウェアで構成された2つのシステム(プライマリシステムとバックアップシステム)が常に並行して稼働する。プライマリシステムが通常の処理を行い、その処理内容をリアルタイムでバックアップシステムに同期させる。これにより、プライマリシステムに障害が発生した場合、バックアップシステムが即座に引き継ぎ、システム停止時間を最小限に抑えることができる。 タンデムシステムの重要な特徴の一つは、フォールトトレランス(fault tolerance)の実現だ。フォールトトレランスとは、システムの一部に障害が発生しても、システム全体としては正常に動作し続ける能力を指す。タンデムシステムでは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど、システムのあらゆる部分に冗長性を持たせることで、このフォールトトレランスを実現している。 具体的な動作としては、プライマリシステムとバックアップシステムは常に互いを監視し合っている。プライマリシステムに異常が発生した場合、バックアップシステムが自動的にそれを検知し、処理を引き継ぐ。この切り替えは、通常、数秒から数十秒以内に行われるため、ユーザーはほとんどシステム停止を感じることなくサービスを利用し続けることができる。 タンデムシステムには、大きく分けてハードウェアタンデムとソフトウェアタンデムの2つの種類がある。ハードウェアタンデムは、2つの全く同じハードウェアシステムを並行して稼働させる方式だ。一方、ソフトウェアタンデムは、1つのハードウェアシステム上で2つのソフトウェアを並行して稼働させる方式である。ソフトウェアタンデムは、ハードウェアタンデムに比べてコストを抑えられるというメリットがあるが、ハードウェア障害時にはシステム全体が停止してしまう可能性がある。 さらに、タンデムシステムは、システム全体を二重化するだけでなく、個々のコンポーネントにも冗長性を持たせることが多い。例えば、電源ユニットやネットワークインターフェースなど、システムの中核となるコンポーネントを二重化することで、単一障害点を排除し、より高い可用性を実現する。 タンデムシステムの導入には、初期コストや運用コストがかかるというデメリットもある。しかし、金融機関や証券取引システムなど、システム停止が大きな損害につながるような分野においては、そのコストに見合うだけのメリットがあると言える。近年では、クラウドコンピューティングの普及に伴い、クラウド上でタンデムシステムを構築することも可能になってきている。これにより、初期コストを抑えつつ、高い可用性を実現できるようになった。 タンデムシステムは、システムの信頼性と可用性を高めるための重要な技術であり、今後も様々な分野で活用されていくと考えられる。システムエンジニアを目指す上で、タンデムシステムの基本的な概念と仕組みを理解しておくことは非常に重要だ。