UHS-II(ユーエイチエスツー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
UHS-II(ユーエイチエスツー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユーエイチエスツー (ユーエイチエスツー)
英語表記
UHS-II (ユーエイチエスツー)
用語解説
UHS-IIは、SDカードのデータ転送速度を大幅に向上させるためのインターフェース規格の一つである。これは主に、デジタルカメラやビデオカメラにおける高解像度動画撮影や高速連写など、大容量データをより高速かつ効率的に処理する必要があるプロフェッショナルやハイアマチュア向けの用途でその性能が要求される。SDカードの速度規格には、UHS-I、UHS-II、UHS-IIIといった世代が存在し、UHS-IIはその中でも特に大きな技術的進化を遂げ、実用的な高速化を実現した重要な規格である。
UHSとは「Ultra High Speed」の略であり、SDカードが持つインターフェースの高速化を実現するために導入された一連の技術群を指す。SDカードの物理的なサイズや容量を示すSD、SDHC、SDXCといった規格とは異なり、UHSはデータの送受信方法に関する規格である。例えば、SDXC規格のカードであっても、内部のインターフェースはUHS-Iである場合もあれば、UHS-IIである場合もある。UHS-IIの導入により、従来のSDカードではデータのボトルネックとなりがちであった高負荷なデータ処理が可能になった。
UHS-IIの最大の技術的特徴は、物理的なピン配列の追加と、それに伴うデータ転送方式の革新にある。一般的なSDカードには9本のピンが搭載されているが、UHS-II対応のSDカードには、これらとは別にさらに8本のピンが追加されており、合計17本のピンを持つ構造となっている。これらの追加されたピンは、既存のピンとは異なるデータ転送用の「レーン」を構成するために利用される。従来のUHS-Iまでの規格では、データは単一のレーンを通じて一方向にのみ転送される「ハーフデュプレックス(半二重通信)」方式を採用していたため、データの読み込みと書き込みを同時に行うことはできなかった。しかしUHS-IIでは、追加されたピンを活用することで、読み込みと書き込みを同時に実行できる「フルデュプレックス(全二重通信)」方式を実現した。この全二重通信により、データの双方向同時転送が可能となり、実効的なデータ転送速度が飛躍的に向上した。
この技術革新により、UHS-IIインターフェースの理論上の最大バス速度は312MB/sに達する。これはUHS-Iの最大104MB/sと比較して約3倍の高速化であり、プロフェッショナルな用途において大きなメリットをもたらす。例えば、デジタルカメラで高画質なRAW画像を連続して撮影する際、UHS-IIカードを使用することで、カメラ内部のバッファが満杯になるまでの時間を大幅に延長し、より多くの写真を途切れることなく連写できるようになる。また、4Kや8Kといった高解像度の動画データを安定して記録するためには、持続的に高い書き込み速度が要求されるが、UHS-IIはその要件を十分に満たすことができる。多くのUHS-II対応SDカードには「Video Speed Class」という最低書き込み速度保証を示す規格が適用されており、V60やV90といった表記が見られる。V90は最低90MB/sの書き込み速度を保証するため、高ビットレートの動画撮影にも安心して対応できる。
UHS-IIは後方互換性を備えている。これは、UHS-II対応のSDカードをUHS-Iのみに対応する機器に挿入して使用できることを意味する。ただし、その場合、カードはUHS-Iの最大速度である104MB/sに制限されて動作する。同様に、UHS-II対応の機器にUHS-IのSDカードを使用することも可能だが、この場合もUHS-Iの速度で動作することになる。したがって、UHS-IIの持つ本来の高速性能を最大限に引き出すためには、SDカードだけでなく、カメラ本体、カードリーダー、そしてパソコンのUSBインターフェースなど、データ経路上のすべての機器がUHS-IIインターフェースに対応している必要がある。例えば、UHS-II対応のSDカードで撮影した動画データをパソコンに転送する際、UHS-II対応のカードリーダーを使用すれば、UHS-I対応リーダーに比べて転送時間を劇的に短縮できる。
UHS-IIの登場は、高解像度化が進む映像制作や写真撮影の現場において、ストレージの速度がボトルネックとなる問題を大きく改善した。しかし、いくつかの留意点も存在する。UHS-Iカードに比べてUHS-II対応SDカードは製造コストが高く、一般的に価格も高価になる傾向がある。また、UHS-IIインターフェースを採用している機器は、普及型のモデルよりもミドルレンジからハイエンドのプロフェッショナル向けモデルに限定されることが多い。さらに、高速なデータ転送に伴い、カード自体や使用機器側での発熱がUHS-Iよりも大きくなる場合がある点も考慮する必要がある。
SDカードの高速化規格はさらに進化しており、UHS-IIIやSD Expressといった、より高速な規格も登場している。UHS-IIIはUHS-IIと同じ物理的なピン配列を使用しながら最大624MB/sを実現し、SD ExpressはPCIeとNVMeのインターフェースを導入することで、ギガバイト級の速度を可能にする。しかし、UHS-IIは現在でも多くのプロフェッショナル向けデジタルカメラやビデオカメラで広く採用されており、その性能とコストのバランスから、今後もしばらくは高速SDカードの主要な規格の一つとして利用され続けると予想される。システムエンジニアを目指す上で、このようなストレージデバイスのインターフェース規格に関する知識は、システム全体のパフォーマンスを理解し、適切なハードウェア選定やシステムの設計を行う上で不可欠な要素となる。