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【ITニュース解説】いまさら聞けない「BaaS」入門 定義が揺らぎ始めている理由は?

2025年09月16日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「いまさら聞けない「BaaS」入門 定義が揺らぎ始めている理由は?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

企業の事業継続に欠かせないBaaSは、サービス多様化や関連用語との境界線曖昧化により定義が揺らぎ始めている。自社に最適なサービスを選ぶためには、BaaSの概要と主な3種類の理解が重要だ。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す初心者の皆さんが、企業のITインフラを支える上で避けて通れない重要なキーワードの一つに「BaaS(バース)」がある。BaaSは「Backup as a Service」の略称で、その名の通り「サービスとしてのバックアップ」を提供するものである。これは、自社でバックアップシステムを構築・運用するのではなく、専門のベンダーが提供するクラウドベースのバックアップサービスを利用することを意味する。現代の企業において、BaaSは事業継続に不可欠な存在となっており、企業が日々生み出す大量のデータを災害やシステム障害から守る上で極めて重要な役割を担う。

なぜBaaSがこれほどまでに重要なのか。企業活動においてデータは生命線であり、その消失は事業の停止、顧客からの信頼喪失、ひいては企業の存続そのものに関わる重大な危機を引き起こしかねない。従来のバックアップは、社内に専用のサーバーやストレージを設置し、ソフトウェアを導入し、担当者が手動または自動でバックアップ処理を実行・管理するという形が主流だった。しかし、この方法にはいくつかの課題があった。まず、初期投資コストが高く、データの増加に伴ってストレージ容量を拡張するたびに多額の費用が発生する。また、バックアップシステムの運用には専門知識を持ったIT人材が必要であり、バックアップデータの世代管理や復旧テストといった手間のかかる作業も常時発生する。さらに、バックアップデータは社内に保管されることが多いため、火災や地震といった大規模災害が発生した場合、システム本体だけでなくバックアップデータも同時に失われるリスクがあった。

BaaSは、これらの課題を解決するために登場した。企業はBaaSを利用することで、自社で高価なハードウェアやソフトウェアを購入することなく、クラウド上にデータをバックアップできる。サービス利用料は通常、バックアップするデータ量や期間に応じた従量課金制となるため、コストの最適化が可能だ。バックアップのスケジュール設定やデータの保管場所、復旧方法などもWebコンソールから簡単に管理でき、専門知識がなくても比較的容易に運用できる。何よりも、データは地理的に分散されたクラウド環境に安全に保管されるため、万が一、自社の拠点に大規模な災害が発生しても、バックアップデータが無事であれば、迅速にシステムを復旧させ、事業を再開できる可能性が高まる。つまり、BaaSは企業のデータ保護と事業継続計画(BCP)を実現するための強力なツールなのだ。

近年、このBaaSの「定義」が揺らぎ始めているという状況がある。その理由は、BaaSが提供するサービス内容が非常に多様化しているためだ。当初は単にデータをクラウドにコピーして保存する「バックアップ」機能が中心だったが、現在では単なるデータ保存にとどまらない、より高度な機能が統合されつつある。例えば、バックアップしたデータを基に、災害時にシステム全体を別の環境で稼働させる「災害復旧(DR: Disaster Recovery)」の機能まで含んだサービスが増えている。これは「DRaaS(Disaster Recovery as a Service)」と呼ばれることが多いが、BaaSとDRaaSの境界線は曖昧になってきている。他にも、システム全体の復元を保証する「RaaS(Recovery as a Service)」や、サイバー攻撃からデータを保護するための機能、データの長期保存(アーカイブ)、コンプライアンス要件に対応するためのデータ保持ポリシー設定機能など、バックアップ以外の様々な機能がBaaSのサービス内容に盛り込まれるようになった。このサービス内容の広がりにより、BaaSという言葉が指す範囲が拡大し、以前のような「単なるバックアップ」というシンプルな定義では捉えきれなくなってきているのが現状だ。

こうした状況の中で、自社に最適なBaaSを選ぶためには、まずBaaSの基本的な概要と、主な種類を理解しておくことが重要だ。BaaSにはいくつかの種類があるが、ここでは代表的な三つのタイプについて説明しよう。

一つ目は、「オンプレミスデータ向けBaaS」だ。これは、企業が自社内に保有している物理サーバーや仮想サーバー、ストレージなどのオンプレミス環境で生成されるデータを、クラウド上のBaaSプロバイダーのインフラにバックアップするサービスである。企業の既存IT資産を活用しつつ、バックアップ先の安全性を高め、運用負荷を軽減したい場合に適している。ファイルやフォルダ単位のバックアップから、サーバーイメージ全体のバックアップまで、幅広いニーズに対応できる。

二つ目は、「SaaSデータ向けBaaS」だ。近年、Microsoft 365(旧Office 365)やSalesforceなどのSaaS(Software as a Service)アプリケーションを業務で利用する企業が増えている。これらのSaaSはベンダーが運用するクラウド上で提供されているため、データ保護はベンダーに任せきりで良いと誤解されがちだが、実際にはユーザー側の誤操作によるデータ削除や、悪意ある内部犯によるデータ破壊、さらにはSaaSベンダー側のシステム障害など、様々な要因でデータが失われるリスクがある。SaaSデータ向けBaaSは、こうしたSaaSアプリケーション内のデータを、SaaSベンダーとは別のクラウド環境にバックアップし、万が一の事態に備えるためのサービスだ。これにより、SaaSベンダー側の障害や、ユーザー側の過失から大切なデータを守ることが可能となる。

三つ目は、「仮想マシン(VM)/物理サーバー向けBaaS(DRaaS連携型)」だ。これは、単にデータをバックアップするだけでなく、サーバー全体、つまりOS、アプリケーション、設定、データを含んだ仮想マシンや物理サーバーのイメージをクラウドにバックアップし、災害発生時にはそのバックアップイメージをクラウド上で起動させ、システムを復旧・稼働させることを目的としたサービスである。このタイプは、特にRTO(目標復旧時間)やRPO(目標復旧時点)が厳しく、事業のダウンタイムを極力短くしたい企業に適している。DRaaS(Disaster Recovery as a Service)と密接に関連しており、高度な災害対策ソリューションとして提供されることが多い。迅速な事業継続を実現するための重要な手段となる。

これらの多様なBaaSの中から最適なサービスを選ぶためには、自社が保護したいデータの種類、データ量、復旧目標時間(RTO)と復旧目標時点(RPO)、そして利用できる予算などを総合的に考慮する必要がある。また、セキュリティ機能やデータの長期保存要件、法規制への対応なども重要な選定ポイントとなる。BaaSは進化を続けており、今後もその定義や提供内容は変化していくだろう。システムエンジニアを目指す皆さんは、常に最新の情報をキャッチアップし、企業のデータ保護と事業継続を支える重要な技術としてBaaSへの理解を深めていくことが求められる。

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