【ITニュース解説】💥 I Tried Building My Own OS. Now My BIOS Has Trust Issues.
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「💥 I Tried Building My Own OS. Now My BIOS Has Trust Issues.」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
OS自作に挑んだが、GRUBエラーやカーネルが起動しない問題が続き、デバッグに苦労した。リンカースクリプトの複雑さにも直面し、数時間の試行錯誤と精神的疲労の末、ようやくOSが起動。起動画面に「Welcome, Founder.」と表示され、OS開発の難しさと達成感を味わった。
ITニュース解説
独自にOSを構築するという試みは、コンピュータの根幹部分を理解し、制御する、非常に挑戦的で奥深い経験だ。この記事では、ある開発者が自作OSの構築に挑戦し、直面した困難とそれを乗り越えた過程が描かれている。システムエンジニアを目指す初心者にとって、この開発者の経験は、コンピュータがどのように動き始めるのか、そしてソフトウェア開発の奥深さを知る上で貴重な学びとなるだろう。
まず、OS(オペレーティングシステム)とは、WindowsやmacOS、Linuxのように、コンピュータのハードウェアとアプリケーションソフトウェアの間を取り持ち、コンピュータ全体を管理する最も基本的なソフトウェアのことだ。私たちが普段使っているアプリケーションは、OSが提供する機能を利用して動作している。そのため、OSを自作するということは、コンピュータを動かすための土台をゼロから作り上げることに等しい。
コンピュータの電源を入れると、最初に動き出すのはBIOS(Basic Input/Output System)と呼ばれるファームウェアだ。これはマザーボードに搭載された小さなメモリに記録されており、CPUやメモリ、ストレージなどの主要なハードウェアが正常に動作するかを確認する初期化処理を行う。この処理が終わると、BIOSはOSを起動するためのプログラム、つまりブートローダーを探し出す。一般的にはストレージの特定の場所にブートローダーが格納されており、BIOSはそのプログラムを読み込み、実行することでOSの起動プロセスへとバトンを渡す。開発者が「BIOSが信頼の問題を抱えた」と表現しているのは、OS構築の過程で、コンピュータの最も基本的な起動プロセスにまで影響が及ぶほど、低レベルな部分での試行錯誤があったことを示唆している。
今回の挑戦では、GRUB(Grand Unified Bootloader)というブートローダーが使用された。GRUBは、複数のOSをコンピュータにインストールしている場合に、どのOSを起動するか選択する画面を提供したり、OSのカーネル(OSの中核部分)をメモリに読み込んで実行したりする役割を担う。開発者が最初に直面したのは「grub rescue>」というエラーメッセージだった。これは、GRUBがOSのカーネルや関連するファイルを正しく見つけられず、起動に必要な情報を読み込むことができなかった場合に表示される。コンピュータがOSを起動できない状態に陥ったことを意味し、開発者はこの時点でシステムの深い部分に問題があることを悟ったのだろう。
この問題を解決するため、開発者は「設定を埋め込み、ISOファイルを検証し、様々な試行錯誤をした」と述べている。自作OSを起動可能にするためには、OSの実行ファイルをISOイメージという形式で作成し、それをブート可能なメディア(例えばUSBメモリ)に書き込む必要がある。そして、そのISOイメージが正しく構成されているか、GRUBがそれを正しく認識できるように設定が埋め込まれているかを確認する作業が求められる。これは非常に地道で、一つでも間違いがあればOSは起動しないため、綿密な検証が必要となる。
さらに、開発者は「リンカスクリプト」というものに苦戦した。プログラムは、ソースコードがコンパイルされてオブジェクトファイルになり、それらがリンカによって結合されて最終的な実行可能ファイルとなる。リンカスクリプトは、この結合処理において、プログラムの各セクション(例えば、コード、データ、スタックなど)をコンピュータのメモリ上のどの位置に配置するか、あるいはどのような順序で配置するかを詳細に指示するための設定ファイルだ。OSのカーネルのような低レベルなプログラムでは、メモリ上のアドレスを厳密に管理する必要があるため、このリンカスクリプトを正確に記述することが不可欠となる。もしカーネルが誤ったメモリ位置にロードされてしまえば、コンピュータは意図しない動作をしたり、最悪の場合は起動すらできなくなる。開発者が「カーネルが虚空にロードされた」と表現しているのは、おそらく、カーネルが想定とは異なるメモリ領域に配置されたか、あるいは全く認識されない領域に配置され、結果として正常に実行されなかった状況を示している。
このような状況で、開発者は「デバッグプリントを追加」して問題の原因を探ろうとした。デバッグプリントとは、プログラムの特定の箇所で変数の中身や処理の流れを画面に表示させることで、プログラムが期待通りに動作しているかを確認する手法だ。しかし、OSの起動初期段階でのデバッグは非常に困難で、通常のOS上で動くアプリケーションのように簡単にデバッグ情報を表示させることはできない。低レベルな部分でのデバッグは、限られたリソースの中で、最小限の機能を使って情報を引き出す必要があり、精神的に大きな負担となることが多い。開発者が「感情的なダメージを受けた」と述べているのは、そうしたデバッグの困難さを物語っている。
しかし、開発者は諦めなかった。3時間にわたり、2杯のチャイを飲みながら、怒りにも似た集中力で問題解決に取り組んだ結果、ついにOSは起動したのだ。スプラッシュスクリーンに「Welcome, Founder.」というメッセージが表示された瞬間は、これまでの苦労が報われ、大きな達成感に包まれたことだろう。これは、単にプログラムが動いたというだけでなく、コンピュータの最も根源的な部分を自らの手で制御できたことの証である。
この体験は、システムエンジニアを目指す人にとって多くの示唆を与えてくれる。OSの構築は、コンピュータのアーキテクチャ、メモリ管理、プロセスの起動、ファイルシステムといった、コンピュータ科学の基礎を深く学ぶ絶好の機会だ。そして、困難なエラーに直面したときに、一つ一つ地道に原因を特定し、解決策を試していくというデバッグとトラブルシューティングの重要性を痛感させてくれる。この開発者のように、たとえ途方もない壁にぶつかっても、粘り強く挑戦し続ける姿勢こそが、複雑なシステムを構築する上で最も大切なことなのだ。