objファイル(オージェイファイル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
objファイル(オージェイファイル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オブジェクトファイル (オブジェクトファイル)
英語表記
obj file (オブジェファイル)
用語解説
objファイルは、プログラミングにおいてソースコードをコンパイルした際に生成される「オブジェクトファイル」を指すのが一般的である。これは、人間が記述したプログラミング言語のコードが、コンピュータのCPUが直接理解できる機械語に変換された中間的なファイルであり、まだ単独では実行できない状態にある。objファイルは、最終的な実行ファイルやライブラリを生成するための重要な構成要素となる。
プログラミングにおける開発プロセスは、大きく分けて「コンパイル」と「リンク」の二段階で構成される。まず、プログラマが記述したC言語やC++などのソースコードファイルは、コンパイラによって機械語に翻訳される。この際、各ソースコードファイルはそれぞれ独立してコンパイルされ、その結果としてobjファイルが生成される。例えば、main.cというソースファイルからはmain.objが、func.cというソースファイルからはfunc.objといった具合に、対応するオブジェクトファイルが作成される。これらのobjファイルには、当該ソースファイル内で定義された関数や変数の機械語コードと、それらが他のファイルやライブラリを参照するための情報などが含まれている。
objファイルの中身は、単なる機械語命令の羅列ではない。具体的には、以下の主要な情報を含んでいる。一つは、コンパイルされた機械語命令のセクションである。これはCPUが直接実行する命令そのもので、プログラムのロジックが表現されている部分だ。次に、プログラム内で使用される定数や初期化された変数などのデータセクションが含まれる。さらに重要なのが、シンボルテーブルと再配置情報である。シンボルテーブルには、そのobjファイル内で定義された関数名や変数名、およびそれらのアドレス情報が格納されている。また、他のobjファイルやライブラリで定義されている外部の関数や変数を参照するための情報も含まれる。一方、再配置情報は、objファイル内の機械語コードやデータが、最終的にメモリ上のどこに配置されるべきかを調整するための情報である。コンパイル時点ではまだ絶対的なメモリアドレスが確定していないため、リンカが実行ファイルを生成する際にこの情報を用いてアドレスの修正を行う。
複数のobjファイルが生成された後、それらは「リンカ」と呼ばれる別のツールによって結合される。リンカは、各objファイルのシンボルテーブルに記述された参照情報を解決し、必要なライブラリファイルから必要なオブジェクトコードを取り込み、最終的に一つの実行可能なファイルや共有ライブラリ、静的ライブラリを生成する役割を担う。このリンクのプロセスを経て、初めてプログラムは単独で実行できる状態になる。
objファイルが存在することには、いくつかの大きなメリットがある。第一に、大規模なプログラム開発におけるコンパイル時間の短縮である。プログラムが複数のソースファイルで構成されている場合、ソースコードの一部だけを変更しても、もしobjファイルという中間形式がなければ、全てのソースファイルを最初から再コンパイルし直す必要が生じる。しかし、objファイルが存在することで、変更があったソースファイルだけを再コンパイルして新たなobjファイルを生成し、それと既存のobjファイルを再度リンクするだけで済む。これにより、開発効率が飛躍的に向上する。第二に、プログラムのモジュール化を促進する。objファイル単位で機能が完結したモジュールを作成することで、コードの再利用性が高まり、複数人での並行開発も容易になる。各開発者は自分の担当するモジュールをコンパイルしてobjファイルを生成し、最後にそれらを結合することで全体のプログラムを完成させることができる。第三に、ライブラリの利用が容易になる点である。C言語の標準ライブラリやOSが提供するAPIなども、多数のobjファイルをまとめてアーカイブした静的ライブラリや、リンク時にロードされる動的ライブラリとして提供されることが多い。
objファイルの拡張子は、使用するオペレーティングシステムやコンパイラによって異なる場合がある。Windows環境のMicrosoft Visual C++では一般的に.objという拡張子が使われるが、LinuxやmacOSなどのUnix系システムではGCC(GNU Compiler Collection)などのコンパイラにより.oという拡張子が使われるのが一般的である。これらのファイルは、そのOSやコンパイラが採用する特定のバイナリフォーマット(例: WindowsのPE/COFF、LinuxのELF、macOSのMach-O)に従って構造化されている。
なお、プログラミングとは異なる文脈で「.obj」という拡張子を持つファイルが存在する。これは、3Dグラフィックスソフトウェアで広く使われる「Wavefront .objファイル」という形式であり、3Dモデルの形状情報(頂点の座標、面、法線など)をテキストベースで記述したものである。IT用語辞典において「objファイル」と聞かれた場合、通常は前述のプログラミングにおけるオブジェクトファイルを指すが、混同しないように注意が必要である。
このように、objファイルはソースコードから実行ファイルへと変換される過程で不可欠な役割を果たす中間ファイルであり、効率的なソフトウェア開発を支える基盤技術の一つであると言える。