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【ITニュース解説】Check it out!

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Check it out!」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Godot Engineを用いたゲーム開発で、ネットワーク越しの直接通信を可能にする「UDP Hole Punching」の具体的な実装方法を、初心者にも分かりやすく段階的に解説する記事。

出典: Check it out! | Dev.to公開日:

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、オンラインゲームやリアルタイム通信の裏側にある技術は非常に興味深い分野だ。今回紹介する記事「Step-by-Step Guide to UDP Hole Punching in Godot Engine」は、まさにその一端を垣間見せてくれる内容となっている。この記事は、ゲーム開発エンジンであるGodot Engineを使って、UDPホールパンチングというネットワーク技術を具体的に実装する方法を解説している。

まず、UDP(User Datagram Protocol)とは何かを理解することが重要になる。インターネットでのデータ通信には、主にTCP(Transmission Control Protocol)とUDPの二つのプロトコルが使われる。TCPは、データの送達を保証し、順序が正しいことを確認しながら通信を行うため、信頼性が非常に高い。ウェブサイトの閲覧やファイルのダウンロードなど、正確性が求められる場面で利用される。一方、UDPは、データの送達や順序の保証をせず、ただデータを送り続ける。そのため、データの一部が失われたり、順序が入れ替わったりする可能性があるが、その分、通信速度が速く、リアルタイム性が求められる場面、特にオンラインゲームでよく利用される。ゲームでは、一瞬の遅延が致命的になることがあり、多少のデータロスよりも速度が優先される場合が多いからだ。

次に、ネットワークアドレス変換、通称NAT(Network Address Translation)について解説する。私たちの多くは、自宅のルーターを介してインターネットに接続している。このルーターが、まさにNATの機能を提供している。インターネット上のIPアドレスは数に限りがあり、世界中の全てのデバイスにユニークなグローバルIPアドレスを割り当てることは難しい。そこで、NATルーターは、自宅内の複数のデバイス(PC、スマートフォン、ゲーム機など)にプライベートIPアドレスを割り当て、それらのデバイスがインターネットと通信する際には、ルーターが持つ一つのグローバルIPアドレスを使って通信を仲介する。これにより、限られたグローバルIPアドレスを効率的に利用できるだけでなく、外部からの不正なアクセスを防ぐセキュリティの役割も果たしている。つまり、NATルーターは、自宅ネットワークの「門番」のような存在だ。

このNATルーターのセキュリティ機能が、オンラインマルチプレイヤーゲームにおいて課題となることがある。それは、外部から内部ネットワークへの直接的な接続が困難になるという点だ。NATルーターは、基本的には外部からの未要求の通信をブロックする。そのため、AさんのPCがBさんのPCに直接接続しようとしても、BさんのNATルーターがそれを拒否し、通信が確立できない場合が多い。オンラインゲームでよく利用されるP2P(Peer-to-Peer)通信、つまりサーバーを介さずにプレイヤー同士が直接通信する方式では、このNATの壁が問題となる。

そこで登場するのが、UDPホールパンチングという技術だ。これは、NATルーターによってブロックされるP2P通信を可能にするための巧妙な方法である。UDPホールパンチングの基本的な流れは次のようになる。まず、AさんとBさんの各プレイヤーは、インターネット上に公開されている専用の「ホールパンチングサーバー」に接続する。この時、AさんのNATルーターは、Aさんからサーバーへの通信を許可するために、一時的に自身のファイアウォールに「穴(ポートマッピング)」を開ける。Bさんも同様に、自身のNATルーターに穴を開ける。このサーバーは、AさんとBさんのそれぞれのNATルーターが外部から見るとどのようなIPアドレスとポート番号を使っているかを把握する。つまり、AさんのNATルーターのグローバルIPアドレスと、AさんのPCからの通信が外に出る際に使われる一時的なポート番号を、サーバーが記憶するのだ。

次に、ホールパンチングサーバーは、AさんにはBさんの外部IPアドレスと外部ポート番号を伝え、BさんにはAさんの外部IPアドレスと外部ポート番号を伝える。この情報を受け取ったAさんは、Bさんの外部IPアドレスとポート番号に向けてUDPパケットを送信する。同様に、BさんもAさんの外部IPアドレスとポート番号に向けてUDPパケットを送信する。この双方向からの送信が重要だ。AさんがBさんに向けてパケットを送信すると、AさんのNATルーターには、Bさんからの通信を受け入れるための新しい「穴」が作られる。同様に、BさんがAさんに向けてパケットを送信すると、BさんのNATルーターにもAさんからの通信を受け入れるための新しい「穴」が作られる。

このようにして、双方向から互いに通信を開始する動きによって、NATルーターに一時的に開いた穴が「マッチ」し、AさんとBさんの間で直接UDP通信が可能になる。これがUDPホールパンチングの基本的な仕組みだ。一度通信経路が確立されれば、以降はサーバーを介さずにプレイヤー同士で直接データのやり取りができるようになる。

この記事で対象となっているGodot Engineは、オープンソースのゲーム開発エンジンだ。軽量で扱いやすく、2Dや3Dのゲーム開発を始める初心者にとって非常に人気がある。独自のスクリプト言語であるGDScriptは、Pythonに似た構文を持つため、プログラミング初心者にも比較的学習しやすいという特徴がある。このGodot EngineとGDScriptを使って、UDPホールパンチングを実際に実装する手順をステップバイステップで解説している点が、この記事の大きな価値となる。

なぜこのUDPホールパンチングが重要なのかというと、主に二つの理由がある。一つは、サーバーの負荷軽減だ。P2P通信が確立できれば、ゲーム中の大量のデータをサーバーが中継する必要がなくなり、サーバーの運用コストを抑えることができる。もう一つは、通信遅延の低減だ。プレイヤー同士が直接通信することで、データがサーバーを経由する分だけ発生する遅延(レイテンシ)を大幅に削減できる。これは、コンマ数秒の差が勝敗を分けるオンラインアクションゲームやFPS(ファーストパーソン・シューター)などでは特に重要な要素となる。快適なオンラインマルチプレイヤー体験を提供するためには、このようなネットワーク技術の理解と実装が不可欠だ。

記事では、Godot Engineを使って具体的なコード例や設定方法が示されていると推測できるため、システムエンジニアを目指す初心者がネットワークの仕組みとP2P通信の実装について実践的に学ぶための優れた教材となるだろう。理論だけでなく、実際に手を動かしてネットワーク通信の課題を解決するアプローチを学ぶことは、今後のキャリアにおいて非常に役立つ経験となるに違いない。オンラインゲームの世界に限らず、リアルタイム通信を必要とする様々なアプリケーション開発に応用できる知識だと言える。

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