【ITニュース解説】Consumer Reports asks Microsoft to keep supporting Windows 10
2025年09月17日に「The Verge」が公開したITニュース「Consumer Reports asks Microsoft to keep supporting Windows 10」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Consumer ReportsはMicrosoftに対し、10月14日に終了するWindows 10の無料セキュリティ更新の延長を要請した。Windows 11に非対応のPCを使う数百万人のユーザーが、更新終了後も安全にPCを利用できるよう、サポート継続を求めている。
ITニュース解説
今回のニュースは、消費者団体であるConsumer ReportsがMicrosoftに対し、Windows 10の無料セキュリティアップデートの提供期間を延長するよう求めている、という内容だ。Windows 10の無料セキュリティアップデートは、本来2025年10月14日に終了する予定となっている。この期限がそのまま実施されると、多くのユーザーがセキュリティ上のリスクにさらされることになりかねないという懸念が示されている。
まず、OSの「サポート終了」が何を意味するのかを理解することが重要だ。OSとは、コンピューターを動かすための基本的なソフトウェアであり、Windows 10やWindows 11はその代表的な例だ。このOSには、発見された不具合を修正したり、新たな脅威からユーザーのコンピューターを守るためのセキュリティ対策を施したりするための「アップデート」が定期的に提供されている。これらのアップデートは、OSを開発・提供している企業が、そのOSの安全と安定を保つための「サポート」の一部として提供されるものだ。サポート期間中は、発見されたセキュリティ上の弱点(脆弱性)が修正され、新しい攻撃手法に対する防御策が提供されるため、ユーザーは安心してコンピューターを使い続けることができる。
しかし、サポート期間が終了すると、そのOSに対するセキュリティアップデートの提供が停止される。これは、たとえ新たなセキュリティ上の脆弱性が発見されたとしても、それが修正されることがなくなる、ということを意味する。その結果、サポートが終了したOSを使い続けるコンピューターは、悪意のある攻撃者から非常に狙われやすくなってしまう。ウイルス感染や個人情報の流出といった重大な被害に遭うリスクが格段に高まるため、通常、サポート終了後は新しいOSへ移行することが強く推奨される。
Consumer ReportsがMicrosoftにサポート延長を求めているのは、このようなセキュリティリスクが多くのユーザーに及ぶことを懸念してのことだ。彼らの主張によると、現在Windows 10を使用しているユーザーの中には、Windows 11にアップグレードできない古いコンピューターを使っている人が非常に多く存在するという。Windows 11をインストールするには、特定の種類のCPU(プロセッサー)や、TPM 2.0というセキュリティチップが搭載されている必要があるなど、Windows 10よりも厳しいシステム要件が設けられている。このため、多くの既存のWindows 10搭載コンピューターが、技術的にWindows 11へのアップグレードに対応できない状況にあるのだ。
もしWindows 10のサポートが予定通り終了し、かつWindows 11にアップグレードできないコンピューターを使っているユーザーが多数残された場合、彼らは二つの選択肢に迫られることになる。一つは、セキュリティリスクを承知の上でWindows 10を使い続けること。もう一つは、Windows 11に対応した新しいコンピューターを購入することだ。Consumer Reportsは、後者の選択肢が経済的な負担となり、特に経済的に余裕のない人々にとっては大きなハードルとなると指摘している。彼らはこれを「何百万もの消費者が取り残される(strand millions of consumers)」状況だと表現し、デジタル技術の恩恵を受けられない「デジタルデバイド(情報格差)」を生み出す可能性があると危惧している。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このニュースは非常に現実的で重要な示唆を与えている。将来、皆さんが顧客や所属する組織のITシステムを担当する立場になったとき、OSのサポート期間の管理は避けて通れない課題となる。例えば、顧客が使用しているOSのサポート終了日が近づいてきた場合、皆さんは以下の点を考慮し、適切な対応を提案・実行する必要がある。
まず、現在利用しているOSのバージョンやサポート状況を正確に把握する。次に、新しいOSへのアップグレードが可能かどうか、システム要件を満たしているかを詳細に調査する。もしアップグレードが可能な場合は、業務アプリケーションとの互換性や、移行にかかるコスト、そして移行期間中の業務への影響などを総合的に評価し、計画的なアップグレードを提案する。
一方で、今回のニュースのように、ハードウェアの制約などによりアップグレードが困難なケースも存在する。その場合、古いOSを使い続けることによるセキュリティリスクを顧客に明確に説明し、そのリスクを軽減するための代替策を検討する必要がある。例えば、ネットワークの隔離、強力なセキュリティソフトウェアの導入、重要なデータのバックアップ体制の強化などが考えられるが、これらの対策も根本的な解決にはならないことが多い。最終的には、新しいハードウェアへの移行や、クラウドサービスへの移行など、抜本的な解決策を検討することになるだろう。
今回のConsumer Reportsからの要請は、技術的な問題だけでなく、社会的な公平性や経済的な側面も考慮に入れる必要があることを示している。システムエンジニアは、単に技術的な知識を持つだけでなく、その技術がユーザーや社会にどのような影響を与えるかを広い視野で捉え、倫理的な判断を下す能力も求められる。OSのライフサイクル管理は、セキュリティを維持し、安定したIT環境を提供するための基盤であり、計画性、先見性、そしてユーザーへの配慮が不可欠な業務の一つと言える。このニュースを通して、サポート終了という一つの事象が、いかに多くの側面から検討されるべき課題であるかを理解しておくことは、皆さんが将来プロのシステムエンジニアとして活躍していく上で、きっと役立つ経験となるだろう。