【ITニュース解説】Control Your Android on PC with Vysor
2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「Control Your Android on PC with Vysor」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Vysorは、AndroidスマホをPCの画面に表示し、キーボードとマウスで操作できるツールだ。PC作業中にスマホを触る手間を省き、生産性を向上させる。Windows、Mac、Linuxに対応し、開発者や一般ユーザーに便利。USB接続と簡単な設定で利用可能だ。
ITニュース解説
Vysorというツールは、AndroidスマートフォンやタブレットをPCの画面に表示させ、PCから直接操作できるようにする非常に便利なソフトウェアである。特に、普段からPCとスマートフォンを頻繁に切り替えて作業しているシステムエンジニアを目指す初心者にとって、このツールは作業効率を大幅に向上させる可能性を秘めている。
Vysorを使えば、Androidデバイスの画面をPC上にリアルタイムで映し出すことができるだけでなく、PCのキーボードやマウスを使ってスマートフォンを直接操作できる。例えば、スマートフォンでメッセージを打つ際にPCのフルサイズのキーボードを使ったり、マウスでアプリを快適にナビゲートしたりすることが可能になる。また、スマートフォンの画面をPC上でスクリーンショットとして保存したり、スマートフォンの操作画面そのものを動画として記録したりすることもできる。さらに、有料版のVysor(Pro版)では、PCとAndroidデバイスの間でファイルをドラッグ&ドロップで簡単に転送する機能も利用できるため、データ連携の手間が大幅に削減される。
Vysorは、開発者が自身の作成したAndroidアプリの動作をPCの大画面で確認したり、顧客サポート担当者が顧客のスマートフォン操作を遠隔で案内したりする際に特に役立つ。PCでの作業中にスマートフォンの通知が来ても、いちいちスマートフォンを手に取ることなくPCの画面上で確認し、操作を続けることができるため、作業の中断が少なくなり、生産性が向上する。
Vysorの導入は比較的簡単である。まず、VysorをPCにインストールする必要がある。Windows、macOS、Linuxといった主要なOSに対応しているだけでなく、Chromeブラウザの拡張機能としても提供されている。同時に、Androidスマートフォンやタブレットには、Google PlayストアからVysorアプリをインストールしておく必要がある。
Windows PCを使用している場合、Vysorを本格的に利用するには「ADBドライバー」というものが必要になる。これは、PCがAndroidデバイスと正確に通信するための特別なソフトウェアで、PCとAndroidデバイスの間で情報をやり取りする「通訳」のような役割を果たす。このドライバーがなければ、PCはAndroidデバイスを単なる外部ストレージとしてしか認識できず、Vysorのような高度な制御は行えない。Universal ADB Driverと呼ばれるものをダウンロードしてインストールすることで、Windows PCはAndroidデバイスを適切に認識し、Vysorと連携できるようになる。MacやLinuxのユーザーは、通常このADBドライバーを別途インストールする必要はない。
次に、Androidデバイス側で「USBデバッグ」という機能を有効にする必要がある。これは、AndroidデバイスとPCの間で開発者向けの特別な通信を許可するための設定だ。通常、この設定は隠されており、まず「開発者向けオプション」というメニューを有効にする必要がある。これは、Androidデバイスの「設定」から「端末情報」に進み、「ビルド番号」と書かれた部分を7回連続でタップすることで出現する。その後、「設定」メニューに戻ると、「開発者向けオプション」という新しい項目が表示されるので、そこから「USBデバッグ」を有効にする。PCにAndroidデバイスを接続する際には、USBデバッグを許可するかどうかの確認メッセージが表示される場合があるため、必ず許可を選択する必要がある。
これらの準備が整ったら、USBケーブルを使ってAndroidデバイスをPCに接続する。Pro版のVysorを使っている場合はWi-Fi経由での接続も可能だ。PCでVysorアプリを開くと、接続されたAndroidデバイスが一覧に表示されるので、目的のデバイスを選択して「View」ボタンをクリックすると、Androidデバイスの画面がPCにミラーリングされ、キーボードとマウスで操作できるようになる。
Vysorには無料版と有料のPro版が存在する。無料版では、画面ミラーリングと基本的な操作が可能だが、広告が表示され、高画質やWi-Fi接続、フルスクリーンモード、ファイルドラッグ&ドロップなどの一部機能が制限される。Pro版ではこれらの制限が解除され、より快適にVysorの全機能を利用できる。
Vysorを活用することには、多くのメリットがある。開発作業において、PC上でコードを書きながら、実機でのアプリの動作をリアルタイムで確認できるため、デバッグ作業が効率化する。オフィス作業では、スマートフォンの通知やメッセージにPCから直接対応できるため、デバイスを切り替える手間がなくなり、集中力を維持しやすい。プレゼンテーションやデモンストレーションを行う際にも、スマートフォンの画面をPC経由でプロジェクターに映し出せるため、視覚的に分かりやすい説明が可能になる。また、モバイルゲームをPCの大画面で、キーボードとマウスの操作性を活かして楽しむといった用途にも利用できる。
このように、VysorとADBドライバーを組み合わせることで、AndroidデバイスをPCから完全に制御することが可能になる。これは、日々の業務の生産性向上はもちろんのこと、サポート業務やエンターテイメントに至るまで、幅広いシーンで大きな利便性をもたらす強力なツールだと言える。