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【ITニュース解説】Cormac McCarthy's tips on how to write a science paper (2019) [pdf]

2025年09月20日に「Hacker News」が公開したITニュース「Cormac McCarthy's tips on how to write a science paper (2019) [pdf]」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

著名作家コーマック・マッカーシーが、科学論文を効果的に書くための秘訣をPDFで公開。簡潔な表現、論理的な構成、読者に明確に伝える文章術など、専門分野の文書作成に役立つ実践的なヒントがまとめられている。

ITニュース解説

著名な小説家であるコーマック・マッカーシーが、科学論文の執筆について語った提言は、一見するとIT分野とは無関係に思えるかもしれない。しかし、その内容はシステムエンジニア(SE)を目指す初心者にとって、技術文書の作成や日々のコミュニケーションにおいて非常に重要な示唆を与えている。システムエンジニアの仕事では、設計書、仕様書、提案書、報告書、メール、コードコメントなど、多種多様な文書を作成する機会が多く、これらがプロジェクトの成否を左右することも少なくないからだ。マッカーシーの提言は、単に「美しく書く」ことだけでなく、「正確に、誤解なく、効率的に伝える」ための普遍的な原則を提示していると言える。

彼の提言の核となるのは、何よりも「簡潔さ」と「明瞭さ」を追求することだ。彼はシンプルで断定的な文体を使うことを推奨している。これは、技術文書において非常に重要な原則だ。システム設計やプログラムの仕様を説明する際、回りくどい表現や曖昧な言葉は、誤解を生み、後の開発工程での手戻りやトラブルの原因となる。例えば、「システムはデータを受け取るであろう」ではなく「システムはデータを受け取る」と断定的に書くことで、責任の所在や動作の確実性を明確に示せる。

また、マッカーシーは専門用語の扱いについても言及している。可能な限り専門用語を避け、どうしても使う場合は適切に説明を加えるべきだという考えだ。システムエンジニアは日頃から多くの専門用語を使うが、クライアントや異なる部署のメンバー、あるいは将来プロジェクトに参加するであろう人たちが必ずしも同じ知識レベルにあるとは限らない。彼らが理解できない専門用語を羅列した文書は、コミュニケーションを阻害し、プロジェクト全体の進行を遅らせる要因となる。技術的な内容を非技術者にも分かりやすく伝える能力は、システムエンジニアにとって不可欠なスキルである。

言葉の選択においても、短い言葉を好み、冗長な表現を避けるべきだと彼は説く。例えば、「~を行うことによって」ではなく「~によって」といった具合だ。技術文書は、文学作品のように読者に感情的な共感を求めるものではなく、情報伝達の効率性と正確性が重視される。無駄な修飾語や接続詞を排除し、必要な情報だけをシンプルに伝えることで、読者の理解を早め、誤読のリスクを低減できる。これは、複雑なシステム構成やプログラムロジックを説明する上で特に有効だ。

文書の構造と構成についても、重要な示唆がある。彼は、導入で何について書くかを示し、結論で書いた内容を繰り返すような構成を避けるべきだと指摘する。これは、論理的で効率的な情報伝達を促すためのものだ。技術文書では、読者が知りたい情報を迅速に見つけられるよう、明確な構成と一貫した論理展開が求められる。例えば、設計書であれば、システム概要、機能要件、非機能要件、データベース設計、画面設計など、読者が知りたい情報にたどり着きやすいように整理されている必要がある。また、脚注を避け、本文中で完結させるという提言も、文書全体の可読性を高める上で役立つだろう。

さらに、彼は能動態を使うことを強く推奨している。「データが処理された」ではなく「システムがデータを処理した」と書くことで、文章に力強さが生まれ、動作の主体が明確になる。システム開発においては、誰が、何が、どのような役割を果たすのかを明確にすることが非常に重要であり、能動態の使用は責任の所在やシステムの振る舞いを曖然とさせないための効果的な手段となる。

最後に、マッカーシーは「など」のような曖昧な表現を使うべきではないと指摘している。この言葉は、リストや例が全てではないことを示唆する際に使われがちだが、技術文書においては具体性を欠き、誤解や見落としの原因となる可能性がある。例えば、「データベース、APIなど」と書くのではなく、具体的にどのような要素を指すのかを明記することで、情報の正確性が格段に向上する。

これらのマッカーシーの提言は、科学論文執筆のためのものだが、その本質は「思考を整理し、他者に正確に伝える」という普遍的なコミュニケーション原則に基づいている。システムエンジニアを目指す初心者がこれらの原則を理解し、日々の文書作成やコミュニケーションに応用することは、自身の技術力向上だけでなく、チームやプロジェクト全体の生産性向上にも大きく貢献するだろう。技術力に加え、これらの「伝える力」を磨くことが、優れたシステムエンジニアへの道を拓く鍵となる。

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