【ITニュース解説】Credit: @sherrydays
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Credit: @sherrydays」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ライブラリやフレームワークを利用する際、ドキュメントを読まずに手探りで使うと、多くの試行錯誤が必要となり開発が難航する。効率的な開発のためには、まず公式ドキュメントで仕様を正しく理解することが重要だ。
ITニュース解説
Webサービスやアプリケーションを開発する上で、ユーザー情報を管理するデータベースの設計は極めて重要な工程である。データベースは、情報を「テーブル」という表形式の構造で整理・保管する。このテーブルをどのように構成するかは、システムの性能だけでなく、特にセキュリティに大きな影響を及ぼす。ユーザー情報の中でも、アカウントの所有者を証明するためのIDやパスワードは最も慎重に扱うべきデータであり、その保存方法には確立された基本的な考え方が存在する。
提示された画像は、データベース設計における一つの誤った例、いわゆるアンチパターンを示している。この例では、ユーザーの基本情報を格納するusersテーブルと、パスワード情報だけを格納するpasswordsテーブルの二つに分けてデータを管理している。usersテーブルにはユーザーを識別するためのIDとユーザー名が、passwordsテーブルにはユーザーIDとパスワードがそれぞれ保存されている。このように、関連する情報を役割ごとに別のテーブルに分けること自体は、データベース設計における「正規化」という考え方に通じる部分もあり、一見すると整理されていて合理的に見えるかもしれない。しかし、対象がパスワードという極めて機密性の高い情報である場合、この設計は深刻なセキュリティリスクを生み出す原因となる。
なぜユーザー情報とパスワードを別のテーブルに分けることが危険なのか、その理由はいくつかある。第一に、情報漏洩が発生した際の被害が甚大になる可能性を高めるからである。システムが不正アクセスを受け、データベースの情報が盗まれる事態を想定してみよう。もしpasswordsテーブルの情報だけが漏洩した場合でも、そこにはユーザーIDとパスワードの直接的な対応関係が記録されているため、攻撃者はその情報を使って簡単になりすましログインを試みることが可能になる。また、usersテーブルとpasswordsテーブルが別々に管理されていることで、攻撃対象となる箇所が二つに増え、どちらか一方のテーブルでも情報が漏洩すれば、ユーザーアカウントの乗っ取りに繋がる重要な情報が流出することになる。本来、機密情報は可能な限り一箇所に集約し、厳重に保護することがセキュリティの基本である。この設計は、その原則に反していると言える。第二に、データの整合性を維持するのが難しくなるという問題もある。例えば、ユーザーがサービスを退会し、アカウント情報を削除する処理を考えてみよう。この設計では、usersテーブルとpasswordsテーブルの両方から、該当するユーザーのレコードを削除する必要がある。もしプログラムの不具合や予期せぬエラーで、片方のテーブルのデータしか削除されなかった場合、データベース内に矛盾したデータが残ってしまう。存在しないユーザーのパスワード情報が残り続けるといった事態は、システムの信頼性を損ない、将来的な問題の原因となり得る。このように、一人のユーザーに関する情報を複数のテーブルに分散させることは、データ管理を不必要に複雑化させ、人為的なミスやバグを誘発しやすくなる。
では、パスワードはどのように管理するのが望ましいのだろうか。現在のシステム開発における標準的な方法は、ユーザー情報を格納する一つのテーブル、例えばusersテーブル内に、パスワードに関する情報もカラムとして含めることである。具体的には、usersテーブルにid、usernameといった基本情報に加え、password_hashやsaltといったカラムを用意して管理する。ここで最も重要な点は、パスワードそのものをデータベースに保存するのではなく、必ず「ハッシュ化」という処理を施してから保存することである。ハッシュ化とは、あるデータを元に戻すことが極めて困難な、別の不規則な文字列に変換する技術を指す。ユーザーがログインする際には、入力されたパスワードを登録時と同じアルゴリズムでハッシュ化し、データベースに保存されているハッシュ値と一致するかどうかを比較して認証を行う。これにより、万が一データベースの情報が漏洩したとしても、元のパスワードが直接知られることを防ぐことができる。さらにセキュリティ強度を高めるためには、「ソルト」と呼ばれるランダムな文字列を各ユーザーのパスワードに付加した上でハッシュ化する手法が用いられる。ソルトを使うことで、仮に複数のユーザーが同じパスワードを設定していたとしても、データベース上にはそれぞれ異なるハッシュ値として保存される。これは、事前に計算されたハッシュ値のリストを使ってパスワードを割り出そうとする「レインボーテーブル攻撃」といったサイバー攻撃への有効な対策となる。このようにして生成されたパスワードのハッシュ値とソルトを、ユーザー名など他の情報と共にusersテーブルで一元管理することが、セキュリティとデータ管理の効率性の両面から見て最も合理的で安全な設計と言える。
結論として、この画像が示しているのは、パスワードをユーザー情報から分離して別のテーブルで管理するという設計が、セキュリティ上の脆弱性を生み、システムの管理を複雑化させる危険なアンチパターンであるという教訓である。システムエンジニアを目指す上で、単に機能を実装するだけでなく、データが持つ特性や重要度を理解し、セキュリティを最優先に考えた設計を行う能力は不可欠である。特に、ユーザーの信頼に直結するパスワードのような認証情報の取り扱いにおいては、ハッシュ化やソルトといった技術的な対策を講じ、堅牢なデータモデルを構築することが基本中の基本となる。