【ITニュース解説】なぜもっと早く使わなかったのか...データベース系MCPでデータ分析が楽しい!
2025年09月10日に「Qiita」が公開したITニュース「なぜもっと早く使わなかったのか...データベース系MCPでデータ分析が楽しい!」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
データベース系MCPでデータ分析し、社内LLMツールの利用状況を可視化する。使われないLLMや、よく使うユーザーを把握することで、サービスの改善と効率的な運用を実現する楽しさを共有する。
ITニュース解説
このニュース記事は、社内で運用する大規模言語モデル(LLM)サービスの利用状況を分析する際に、Microsoft Purview(MCP)というデータ管理ツールを導入した結果、データ分析が非常に効率的かつ楽しくなった経験について語っている。システムエンジニアを目指す初心者にとって、データ分析の重要性や、それを支えるデータガバナンスの概念、具体的なツールの活用方法を学ぶ良い機会となるだろう。
まず、記事の筆者が直面していた問題から見ていこう。筆者は、チーム内で利用するLLMサービスの管理者として、その利用状況を日々把握する必要があった。具体的には、「毎日どれくらい使われているのか?」「どのLLMモデルが人気がなく、置き換えを検討すべきか?」「頻繁に利用するユーザーは誰か?」「APIの利用状況はどうなっているか?」といった疑問に答える必要があった。さらに、LLMごとにユーザーがどのようなプロンプト(指示文)を使っているか、モデル設定の傾向はどうなっているかといった、より深い分析にも興味があった。
こうした利用状況の把握や分析は、サービスの改善やリソースの最適化にとって不可欠だ。しかし、これまでの方法には限界があった。従来のモニタリングツールであるKibanaやGrafanaでは、ダッシュボードで利用状況の概要は把握できるものの、詳細なデータ分析には向いていなかった。また、生ログデータをExcelに落とし込んで分析しようとすると、データ量が膨大になったり、複雑な加工が必要になったりするため、手間がかかり効率が悪かった。データがCSVやParquetのような形式ならまだしも、LLMのログは複雑なJSON形式で出力されることが多く、これをExcelで扱うのは非常に困難だったのだ。
そこで登場するのが、Microsoft Purview(MCP)というツールである。MCPは、Microsoftが提供するデータガバナンスソリューションの中心を担うサービスだ。データガバナンスとは、企業が持つ様々なデータを適切に管理し、その価値を最大限に引き出すための取り組み全般を指す。具体的には、「どこにどんなデータがあるのか」「そのデータは誰が所有し、誰がアクセスできるのか」「データはどのように変化してきたのか」「機密情報が含まれていないか」といったことを明確にし、データを安全かつ効果的に利用できるようにするためのルールやプロセスを確立することである。
MCPは、主に「Data Map」と「Data Catalog」の機能を通じて、このデータガバナンスを実現する。Data Mapは、企業内の様々なデータソース(データベース、ストレージ、データウェアハウスなど)からメタデータ(データに関する情報)を自動的に収集し、全体像を可視化する。Data Catalogは、収集されたメタデータを検索可能なカタログとして整理し、ユーザーが目的のデータを見つけやすくする機能だ。
記事の筆者は、LLMサービスのログデータが保存されているAzure Storage AccountのBlob StorageをMCPにデータソースとして登録した。MCPは、登録されたBlob Storageをスキャンし、JSON形式のログデータから自動的にスキーマ(データの構造)を抽出する。通常、CSVやParquetのような定型データであれば、MCPはカラム(列)構造を自動で認識してくれる。しかし、LLMログのような複雑なJSONデータの場合、入れ子になった構造を持つため、MCPが自動で正しくスキーマを認識できないことがある。この場合、筆者は手動でカスタムスキーマを定義した。例えば、JSONデータ内の「messages」という配列の中にある「content」というフィールドにアクセスできるように、具体的なパスとデータ型を指定するのだ。これは、データベースのテーブル定義に似ていると言える。
さらに、MCPの強力な機能の一つに「カスタム分類ルール」がある。これは、特定のキーワードやパターンに基づいて、データに自動的にタグを付けたり、分類したりする機能だ。筆者は、ユーザーIDやプロンプト内容に含まれる特定のキーワードをルールとして定義し、機密情報が含まれる可能性のあるデータを自動的に特定できるようにした。これにより、データのセキュリティリスクを評価し、コンプライアンス(法令遵守)を保つ上で非常に役立つ。
MCPを導入することで、筆者は複数の大きなメリットを享受できた。
まず、データのカタログ化によって、どこにどのようなログデータがあるのか、その構造はどうなっているのかといった情報が一元的に管理されるようになった。これにより、データを探す手間が省け、データに関する共通理解が促進される。
次に、データ品質の向上にも貢献する。MCPは、データのプロファイリング機能を提供し、欠損値や重複、データ型の不一致といったデータ品質の問題を発見しやすくする。これにより、分析結果の信頼性を高めることができる。
また、セキュリティとコンプライアンスの強化も重要だ。カスタム分類ルールによって機密データが特定されるため、そのデータへのアクセス制御を適切に行ったり、利用状況を監査したりすることが容易になる。
そして、筆者が「データ分析が楽しい!」と感じる最も大きな理由は、SQLで直接データ分析できるようになった点だ。MCPのData Catalog上でスキーマが定義されると、Azure Synapse AnalyticsやAzure Data Explorerといった他のデータ分析サービスから、そのデータソースをSQLクエリの対象として直接利用できるようになる。これにより、生のJSONログデータを複雑な前処理なしに、データベースのテーブルを扱うようにSQLで自由に集計・分析できるようになったのだ。例えば、「過去30日間の利用状況を日別に集計する」「特定のLLMモデルの利用回数を月別に算出する」「最も利用頻度の高いユーザーと、そのユーザーがよく使うプロンプトの傾向を特定する」といった分析が、SQLクエリ一つで簡単に行えるようになる。これは、Excelでの手動加工や、専用のデータ処理スクリプトを作成する手間を大幅に削減し、データ分析のスピードと柔軟性を飛躍的に向上させる。
最終的には、MCPで整理・分析されたデータをPower BIなどのBIツールと連携させれば、ダッシュボードでの可視化も容易になる。これにより、サービスの利用状況や改善点が視覚的に把握できるようになり、迅速な意思決定を支援する。
まとめると、このニュース記事は、データ分析の課題に直面していた筆者が、Microsoft Purviewというデータガバナンスツールを導入することで、データの発見から理解、利用、そしてセキュリティ管理までを一貫して効率的に行えるようになり、特にSQLによる直接的なデータ分析の可能性が広がったことで、データ分析の「楽しさ」と「有用性」を実感した経緯を示している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、単にデータを収集するだけでなく、それをいかに効率的かつ安全に管理し、価値ある情報に変えていくかというデータガバナンスの視点と、SQLのような共通言語を使ってデータを自由に探索する楽しさを理解する上で、非常に示唆に富む内容と言えるだろう。データは現代のビジネスにおいて非常に重要な資産であり、それを使いこなすスキルは、これからのシステムエンジニアにとって不可欠な能力の一つとなる。