【ITニュース解説】Which Database Should We Use: Relational, Document, or Graph Model?

2025年09月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「Which Database Should We Use: Relational, Document, or Graph Model?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

データベースにはリレーショナル、ドキュメント、グラフ等の種類がある。1つを選ぶのではなく、データの関係性に応じて使い分けるのが効率的だ。関連データをまとめるならドキュメント、複雑な繋がりにはグラフ、整合性が必要ならリレーショナルと、各モデルの長所を活かす設計が求められる。

ITニュース解説

システム開発において、どのようなデータベースを選ぶかは非常に重要な決定事項である。かつてデータベースといえば、データを表形式で管理するリレーショナルデータベースが主流だったが、現代のアプリケーションはより複雑で多様なデータを扱うため、様々な特徴を持つデータベースモデルが登場している。重要なのは、特定の一つのモデルが万能であると考えるのではなく、それぞれの長所と短所を理解し、アプリケーションの要件に応じて最適なモデルを使い分けることだ。言い換えれば、「どのデータベースを使うべきか」という問いよりも、「どこで、どのデータモデルを使うべきか」を考えることが、優れたシステム設計に繋がる。

データベースモデルを理解する上で、まずデータの「関係性」について知る必要がある。データ同士の繋がり方には、主に「1対多」「多対1」「多対多」の三つのパターンがある。例えば、「一人のユーザーが複数の投稿をする」のは「1対多」の関係だ。逆に、「多くの社員が一つの部署に所属する」のは「多対1」の関係となる。そして、「一人の俳優が複数の映画に出演し、一つの映画には複数の俳優が出演する」といった関係は「多対多」に分類される。どのデータベースモデルが適しているかは、このデータ間の関係性の種類に大きく左右される。

最も古典的で広く知られているのが、リレーショナルデータベースモデルである。これは、データをExcelのシートのように行と列から成る「テーブル」という表形式で管理する。各テーブルは特定の種類のデータを格納し、必要に応じて複数のテーブルを「JOIN(結合)」という操作で繋ぎ合わせることで、複雑な情報を取得できるのが最大の特徴だ。データの整合性を厳密に保つ仕組みが整っており、構造がはっきり決まっているデータの管理に向いている。特に、データの重複を避けるために情報を正規化して管理する設計思想から、「多対1」のような関係を効率的に扱うことができる。

次に、ドキュメントデータベースモデルがある。これは、データをJSON形式のような「ドキュメント」と呼ばれる単位で格納する。一つのドキュメント内に、関連する情報がまとめて保存されるため、アプリケーション開発者がプログラム内で扱うデータ構造と非常に近く、直感的に扱いやすい。このモデルの最大の利点は「データ局所性」にある。つまり、一緒に読み込まれることが多い関連データが物理的に近い場所に保存されるため、特定の情報の読み取りが非常に高速になる。例えば、あるユーザーのプロフィール情報と、そのユーザーの投稿一覧を一つのドキュメントにまとめておけば、一度のアクセスで必要な情報をすべて取得できる。このような特性から、「1対多」の関係を扱うのに適している。また、事前に厳密な構造を定義する必要がないため、データの形が変わりやすい場合にも柔軟に対応できる。

そして、グラフデータベースモデルは、データそのものだけでなく、データ間の「繋がり」に焦点を当てたモデルだ。データは「頂点(ノード)」として、その関係性は「辺(エッジ)」として表現される。ソーシャルネットワークの友人関係や、製品のおすすめ機能のように、要素間の繋がりが複雑に絡み合う「多対多」の関係を扱うのが非常に得意だ。リレーショナルデータベースで同様のことを実現しようとすると、多数のテーブルを結合する必要があり処理が複雑化・低速化しがちだが、グラフデータベースでは繋がりを直接たどることで、これらの関係性を高速に解析できる。

現実のアプリケーションでは、これらの関係性が混在していることがほとんどだ。そのため、近年では一つのシステム内で複数のデータベースモデルを併用する「ポリグロット・パーシステンス」という考え方が重要視されている。さらに、この流れを受けて、各データベース自体も進化を遂げている。例えば、ドキュメントデータベースにリレーショナルデータベースのJOINのような機能が追加されたり、逆にリレーショナルデータベースがJSON形式のデータを扱えるようになったりしている。これにより、一つのデータベースの中でも、複数のモデルの利点を擬似的に活用することが可能になりつつある。

結論として、システムエンジニアを目指す上で大切なのは、リレーショナル、ドキュメント、グラフといった主要なデータベースモデルの基本的な特性を深く理解することである。そして、開発するシステムのデータがどのような構造と関係性を持ち、どのような処理が求められるのかを分析し、それぞれの要件に最も合致したモデルを選択、あるいは組み合わせて設計する能力が不可欠となる。完璧なデータベースは存在しない。それぞれの長所を最大限に引き出す適材適所の考え方こそが、信頼性、拡張性、保守性に優れたシステムを構築するための鍵となる。

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