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【ITニュース解説】Day 6 – Guaranteeing Message Ordering in Azure Service Bus

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Day 6 – Guaranteeing Message Ordering in Azure Service Bus」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Azure Service Busでは、メッセージの処理順序が重要だが、デフォルトでは保証されない。これを解決するのが「Message Sessions」だ。SessionIdで関連メッセージをグループ化すると、そのセッション内のメッセージは必ず正しい順序で処理される。これにより、銀行取引や注文処理など、順序が必須なビジネスロジックを確実に実現できる。

ITニュース解説

分散システムを構築する上で、メッセージの処理順序は非常に重要な要素となる。複数のコンポーネントが連携して動作するシステムでは、それぞれのコンポーネント間でデータや命令がメッセージとしてやり取りされるが、これらメッセージが意図しない順序で処理されてしまうと、システムの整合性が崩れたり、予期せぬエラーが発生したりする可能性がある。例えば、銀行システムにおいて預金処理が行われる前に出金処理が行われてしまうと、口座残高がマイナスになるなど、深刻な問題が生じる。また、ECサイトの注文システムで「注文が発送された」という情報が「注文が作成された」という情報よりも先に処理されてしまうと、システムの内部状態と現実のビジネスロジックが一致しなくなり、大きな混乱を招くことになる。このようなビジネスロジックの破綻を防ぐためには、メッセージの順序を厳密に保証する仕組みが必要不可欠である。

しかし、一般的なメッセージキューイングサービス、例えばMicrosoft Azureが提供するAzure Service Busは、デフォルトの状態では、全てのコンシューマー(メッセージを受信する側)に対してメッセージの厳密な順序を保証するわけではない。これは、メッセージ処理のスケーラビリティとパフォーマンスを最大化するため、複数のコンシューマーがメッセージを並行して処理するように設計されているためだ。結果として、メッセージが送信された順序と異なる順序で処理されてしまう「順序の乱れ」が発生する可能性がある。特に、ある一連の処理が特定の順序で行われる必要がある場合、例えば「最初に入ったものが最初に出る(FIFO: First-In-First-Out)」という原則を遵守する必要がある場面では、このデフォルトの挙動は大きな課題となる。

このような順序保証の課題を解決するために、Azure Service Busは「メッセージセッション」という機能を提供している。メッセージセッションは、論理的に関連する複数のメッセージを一つのグループとして扱い、そのグループ内のメッセージが常に送信された順序で処理されることを保証する仕組みである。この機能の中心となるのが「SessionId」という識別子である。送信側は、関連するメッセージ群に共通のSessionIdを付与して送信する。Azure Service BusはこのSessionIdを認識し、同じSessionIdを持つ全てのメッセージが同じセッションに属するものとして扱う。そして、Service Busは、ある特定のセッションに属するメッセージについては、それらが送信された順序を維持したままレシーバーに配信されることを保証する。さらに重要な点として、一つのセッションに属するメッセージは、一度に一人のレシーバーによってのみ処理されるという特性がある。つまり、複数のレシーバーが存在する場合でも、SessionIdが同じメッセージ群は常に単一のレシーバーが排他的に処理するため、メッセージの競合や順序の乱れが発生しないようになっている。これにより、開発者は複雑なカスタムロジックを実装することなく、簡単にFIFO処理を実現できる。

具体的なユースケースとして、ECサイトの注文処理を考えてみよう。一つの注文「Order123」に関連する一連のイベントメッセージ、例えば「注文が作成された(Created)」、「商品が梱包された(Packed)」、「商品が発送された(Shipped)」、「商品が配送された(Delivered)」といったメッセージが存在する。これらのメッセージは、常にこの順序で処理されなければ、システムのデータ整合性が保てない。ここでメッセージセッションが役立つ。開発者は、これら全てのメッセージに「Order123」というSessionIdを付与してService Busに送信する。Service Busは「Order123」セッションに属するメッセージを認識し、それらが「Created」→「Packed」→「Shipped」→「Delivered」という厳密な順序で、かつ単一のレシーバーによって処理されることを保証する。これにより、注文の状態が適切に更新され、ビジネスロジックが正しく機能するようになる。

メッセージセッションを利用することの主なメリットはいくつかある。第一に、セッション内でのFIFO処理を確実に実現できる点だ。これにより、ビジネスプロセスが求める厳密な順序をシステムが遵守できるようになる。第二に、論理的に関連するメッセージ群を常にまとめて処理できるため、システム設計がシンプルになり、関連する処理が常に一貫した状態で行われることを保証できる。第三に、複雑なカスタムの順序保証ロジックを自前で実装する必要がなくなるため、開発コストとメンテナンスコストを削減できる。メッセージセッションを効果的に活用するためにはいくつかのベストプラクティスがある。まず、SessionIdは、あくまで論理的に関連性の高いメッセージをグループ化するために使用すること。関連性の低いメッセージに同じSessionIdを付与すると、不必要な順序保証が発生し、処理の柔軟性が失われる可能性がある。次に、高いスループット(単位時間あたりの処理量)を求めるシステムでは、処理負荷を複数のセッションに分散させることが重要だ。一つのSessionIdに全てのメッセージを集中させると、単一レシーバーによる排他処理のため、ボトルネックとなる可能性がある。そのため、例えばユーザーIDごと、または注文IDごとに異なるSessionIdを使用するなどして、複数のセッションが並行して処理されるように設計することが望ましい。最後に、長期間アクティブな状態が続くセッションには注意が必要だ。特定のセッションが長期間レシーバーによってロックされた状態になると、そのセッションに属する後続のメッセージが処理されずに滞留し、全体の処理をブロックしてしまう可能性があるため、適切な監視と管理が求められる。

このように、Azure Service Busのメッセージセッション機能は、分散システムにおいて信頼性の高いメッセージ順序保証を実現するための非常に強力なツールである。ビジネスイベントが正しい順序で発生することを保証し、ワークフローの一貫性と予測可能性を維持するために不可欠な機能であり、システムエンジニアを目指す上で、その概念と使い方を理解しておくことは、堅牢なシステムを設計・構築する上で非常に価値があると言える。

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