【ITニュース解説】Disney, Warner Bros. Discovery and Universal file joint lawsuit against generative AI app Hailuo
2025年09月17日に「Engadget」が公開したITニュース「Disney, Warner Bros. Discovery and Universal file joint lawsuit against generative AI app Hailuo」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ディズニーなど大手映画会社3社が、生成AIアプリ「Hailuo」を訴えた。Hailuoが映画やキャラクターの著作権を大規模に侵害し、無断で作品を生成するビジネスモデルだと主張。AIと著作権を巡る訴訟が相次ぐ中、今回は意図的な侵害の疑いも指摘された。
ITニュース解説
ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、ユニバーサルという大手映画スタジオ3社が、生成AIアプリ「Hailuo AI」の運営元である中国企業MiniMaxに対して共同で訴訟を起こした。この訴訟は、Hailuo AIがこれらのスタジオが持つ膨大な数の著作権で保護された作品を大規模に無断利用し、侵害していると主張するものだ。
生成AIアプリとは、文字や画像、動画といったコンテンツを人工知能が自動で作り出すことができるソフトウェアのことである。Hailuo AIは、画像や動画を生成するプラットフォームであり、スマートフォンアプリとして提供されていた。今回の訴訟で原告となった3社は、アメリカの映画市場の半分以上を占める巨大な存在であり、彼らが共同でAI企業を訴えることは、生成AIと著作権の問題がいかに深刻であるかを示している。
訴訟の中心にある主張は、Hailuo AIが原告の著作物を「海賊行為し、略奪した」というものだ。具体的には、DCコミックスやマーベルのスーパーヒーロー、スター・ウォーズ、ミニオンズといった人気キャラクターや作品が、Hailuo AIによって無許可で利用され、生成コンテンツの元になっていたとされる。訴状には、実際に侵害されたとされる生成画像のスクリーンショットが数十枚も証拠として添付されており、これらの画像が原告が所有する多種多様な知的財産をカバーしていることが示されている。
さらに、原告はMiniMaxが著作権侵害を回避するための合理的な措置を取らなかっただけでなく、積極的にこれらの侵害的なコンテンツの作成を促し、奨励していたと主張している。彼らは、MiniMaxのビジネスモデルが、著作権で保護された作品の侵害を中心に意図的に構築されており、アメリカの著作権法に対する「意図的かつ大胆な」違反であると訴えている。Hailuo AIアプリは「あなたのポケットにハリウッドスタジオ」と宣伝されており、その広告では、ユーザーが保護された作品を使ってカスタム動画を作成するよう公然と誘っていた。これらの広告のスクリーンショットも訴訟の証拠として提出されている。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、この問題は「生成AIがどのように学習し、どのようにコンテンツを作り出すのか」、そして「その過程で著作権という法的なルールがどのように関わってくるのか」を理解する上で非常に重要である。生成AIは、大量のデータ(画像、テキスト、動画など)を学習することで、新たなコンテンツを生成する能力を身につける。もしその学習データの中に、著作権を持つ人の許可なく集められた作品が含まれていれば、生成されたコンテンツが著作権侵害となる可能性がある。今回のHailuo AIの事例では、単に学習データとして使用されただけでなく、生成された結果が露骨に既存作品を模倣しており、さらにそのビジネスモデル自体が著作権侵害を前提としている点が問題視されている。
今回の訴訟は、生成AIを巡るメディア企業による一連の訴訟の一部に過ぎない。最近では、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが人気AI画像生成ツール「Midjourney」を同様の著作権侵害で提訴したばかりだ。また、ディズニーとユニバーサル・スタジオも6月にはMidjourneyに対して共同訴訟を起こしている。映画やテレビ業界だけでなく、出版業界でもAI企業に対する著作権侵害訴訟が相次いでいる。例えば、AI企業Anthropic(AIチャットボット「Claude」の開発元)は、50万人の作家を代表する集団訴訟で和解に達したが、その和解は裁判官によって却下されたばかりだ。さらに、Appleも海賊版の書籍を使って自社のAIモデルを訓練したとして訴訟に直面している。
これらの事例は、生成AI技術が急速に進化する一方で、著作権という長年の法的枠組みとの間で大きな摩擦が生じている現状を浮き彫りにしている。AI開発企業にとっては、どのようなデータをどのように収集・利用してAIを訓練するかが、法的リスクに直結する重要な課題となっている。また、コンテンツ制作者にとっては、自らの作品がAIによってどのように扱われるか、そしてその権利がどのように保護されるかが死活問題となっている。この訴訟の行方は、今後の生成AI技術の発展と、デジタルコンテンツの著作権保護のあり方に大きな影響を与えるだろう。