Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】How I Cut My Dockerfile Build Time in Half (and How You Can Too)

2025年09月15日に「Medium」が公開したITニュース「How I Cut My Dockerfile Build Time in Half (and How You Can Too)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Dockerfileのビルド時間を半分に短縮する手法を解説。サービスを頻繁にリリースする開発で、ビルド時間の短縮は開発効率向上に直結する。具体的な改善策が示されており、自身のプロジェクトに適用することで、開発プロセスを効率化するヒントが得られる。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す上で、ソフトウェア開発の現場で非常に重要な技術の一つにDockerがある。Dockerはアプリケーションを「コンテナ」という隔離された環境で動かすための技術であり、開発からテスト、そして実際の運用に至るまで、様々な場面で活用されている。このDockerを使う上で避けて通れないのが「Dockerfile」だ。Dockerfileは、私たちが作りたいコンテナイメージの設計図のようなもので、どのようなソフトウェアをインストールし、どのような設定を行い、最終的に何を実行するかといった手順が一つ一つ書かれているテキストファイルである。

このDockerfileを使ってコンテナイメージを作成する一連の作業を「ビルド」と呼ぶ。ビルドは通常、docker buildというコマンドを実行することで行われる。開発プロジェクトでは、新しい機能を追加したり、既存のバグを修正したりするたびに、このDockerfileを修正し、コンテナイメージを再ビルドする機会が頻繁に訪れる。特に、日々のリリースが当たり前となるような迅速な開発サイクルを持つプロジェクトでは、ビルドにかかる時間が開発全体のスピードに大きな影響を与える。もしビルドに何十分もかかるとしたら、それは開発者の時間を無駄にし、新しい機能のリリースを遅らせる要因となるだろう。そのため、Dockerfileのビルド時間を短縮する工夫は、効率的な開発を進める上で非常に重要なスキルとなる。

Dockerのビルドは、Dockerfileに記述された各命令を上から順に実行していくことで行われる。それぞれの命令が実行されるたびに、その時点でのファイルシステムの状態が「レイヤー」として保存される。そして、次の命令が実行される際には、前のレイヤーの上に新しい変更が積み重ねられる形で処理が進む。このレイヤー構造には、非常に便利な「キャッシュ」の仕組みが備わっている。Dockerは、あるレイヤーの内容が前回のビルドから変更されていない場合、そのレイヤーを再構築する代わりに、前回のビルド時に作成されたレイヤーを再利用する。これにより、変更のない部分のビルドをスキップし、ビルド時間を大幅に短縮できるのだ。

しかし、このキャッシュの仕組みを最大限に活用できていないと、ビルドは遅くなる。例えば、Dockerfileの先頭に近い部分で頻繁に内容が変更される命令があると、それ以降のすべてのレイヤーキャッシュが無効になってしまい、常に最初からビルドし直すことになってしまう。これを避けるためには、Dockerfileに記述する命令の順番を工夫することが非常に重要だ。具体的には、あまり変更されない命令(例えば、ベースとなるOSの選択や、基本的なシステムのツール類をインストールする命令)をDockerfileの上部に配置し、頻繁に変更される命令(例えば、アプリケーションのソースコードをコピーする命令など)を下部に配置する。こうすることで、アプリケーションのソースコードだけが変更された場合でも、上部の安定したレイヤーはキャッシュが効き、下部のレイヤーのみを再ビルドすれば済むようになる。特に、プロジェクトの依存関係をインストールする命令(例えば、Node.jsプロジェクトでのnpm installやPythonプロジェクトでのpip installなど)は、依存関係のファイル(package.jsonrequirements.txtなど)が変更された場合にキャッシュが無効になりやすい。これらの依存関係ファイルをコピーしてからインストールする命令は、アプリケーションのソースコードをコピーする命令よりも前に置くことで、ソースコードの変更時には依存関係のインストール部分のキャッシュを有効に保ちやすくなる。

次に効果的なのが、「マルチステージビルド」という手法だ。これは、一つのDockerfileの中で複数の「ビルドステージ」を定義する仕組みである。ソフトウェアをビルドする際には、コンパイルツールやテストツール、あるいは一時的な中間ファイルなど、最終的にコンテナで動かすアプリケーションには不要なものがたくさん必要になる場合がある。マルチステージビルドでは、最初のステージでこれらのツールを使ってアプリケーションをビルドし、最終的な実行に必要な成果物だけを次のステージにコピーする。例えば、Javaのアプリケーションであれば、最初のステージでJavaのコンパイラやMavenといったビルドツールを使ってJARファイルを作成し、次のステージではJavaの実行環境だけを持つ軽量なベースイメージにそのJARファイルをコピーして最終的なコンテナイメージを作成する。これにより、最終的なイメージのサイズを大幅に削減できるだけでなく、ビルドプロセスも効率化される。なぜなら、最終的なイメージには不要なものが含まれないため、そのイメージのダウンロードやデプロイにかかる時間も短縮されるからだ。また、開発者がビルド環境と実行環境の依存関係を明確に分離できるため、セキュリティの向上にもつながる。

さらに、「.dockerignoreファイル」の活用もビルド時間の短縮に貢献する。Dockerビルドコマンドを実行すると、デフォルトでは、コマンドを実行したディレクトリ内のすべてのファイルが「ビルドコンテキスト」としてDockerデーモンに送信される。このビルドコンテキストには、アプリケーションのソースコードだけでなく、.gitディレクトリやnode_modulesディレクトリ、テストデータなど、コンテナイメージのビルドには全く不要なファイルが含まれていることが多い。これらの不要なファイルが大量にあると、Dockerデーモンへのデータ転送に時間がかかり、ビルド全体の時間が長くなってしまう。.dockerignoreファイルは、このビルドコンテキストに含めたくないファイルやディレクトリを記述するためのファイルである。例えば、.git/node_modules/といった行を.dockerignoreに記述することで、これらのディレクトリはビルドコンテキストから除外され、データ転送の時間が短縮される。これにより、ビルドキャッシュの効率も向上する。

最後に、ベースイメージの選択も重要な要素だ。Dockerfileの最初の命令は、通常FROMで始まる。これは、どの既存のコンテナイメージをベースとして使用するかを指定する命令である。例えば、ubuntu:latestnode:16-slimといったものがベースイメージとなる。より軽量なベースイメージを選択することで、そのイメージのダウンロード時間が短縮されるだけでなく、そのイメージに依存する後続のビルドレイヤーのサイズも小さくなるため、ビルド時間全体を短縮できる可能性がある。特にAlpine Linuxをベースにしたイメージは非常に軽量であり、多くのプロジェクトで検討される選択肢の一つだ。ただし、軽量なイメージは必要なツールが最初から含まれていないことも多いため、アプリケーションの要件に応じて適切なベースイメージを選ぶことが肝心である。

これらの工夫は、個々には小さな改善に見えるかもしれないが、日々の開発サイクルの中で積み重ねることで、開発効率を劇的に向上させる。ビルド時間の短縮は、開発者がより早くフィードバックを得て、より多くの反復作業を行い、最終的により良いソフトウェアを迅速に提供することを可能にする。システムエンジニアとして、このような細かな最適化の知識と実践は、プロジェクトの成功に大きく貢献する重要なスキルとなるだろう。

関連コンテンツ