LER(エルイーアール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
LER(エルイーアール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
レイヤー (レイヤー)
英語表記
Layer (レイヤー)
用語解説
LERはLink Error Rateの略称であり、日本語ではリンクエラー率と訳される。これは、コンピュータネットワークにおける通信品質を評価するための重要な指標の一つである。具体的には、ネットワークを構成する二つの機器間を直接接続する物理的な通信路、すなわちリンクにおいて、送受信されるデータにどれくらいの割合でエラーが発生しているかを示す値である。システムエンジニアやネットワーク管理者は、このLERを監視することで、ネットワークの特定の区間が正常に機能しているかを判断し、問題が発生した際の迅速な原因究明と対処に役立てる。ネットワーク通信は、目に見えないデータのやり取りであるため、その健全性を客観的な数値で把握することが不可欠であり、LERはそのための基本的な指標として広く用いられている。
LERは、データリンク層、OSI参照モデルにおける第2層で測定されるエラー率を指すのが一般的である。データリンク層では、データはフレームという特定の単位に分割されて送受信される。LERの計算は非常に単純で、一定期間に送信された総フレーム数のうち、何らかの理由でエラーとして検出されたフレーム数の割合によって算出される。計算式は「エラーが発生したフレーム数 ÷ 送受信した総フレーム数」となる。例えば、10万個のフレームを送信し、そのうち5個のフレームでエラーが検出された場合、LERは5 ÷ 100,000 = 0.00005、つまり0.005%となる。正常なネットワーク環境ではLERは限りなくゼロに近い値を示すべきであり、この値が上昇傾向にある場合は、通信経路上に何らかの物理的または論理的な問題が存在することを示唆している。
LERが上昇する原因は多岐にわたるが、主に物理層に関連する問題が多い。最も一般的な原因は、ネットワークケーブルの品質不良や損傷である。LANケーブルが過度に折り曲げられていたり、外部から強い圧力がかかっていたりすると、内部の導線が損傷し、信号が正しく伝わらなくなることがある。また、ケーブルのコネクタ部分の接触不良や、規格に合わない低品質なケーブルの使用もエラーを引き起こす。ネットワーク機器自体の物理的な故障も原因となり得る。例えば、スイッチやルーターのポート、コンピュータに搭載されているネットワークインターフェースカード(NIC)が故障している場合、正常な通信ができずにエラーが多発する。さらに、強力な電磁波を発生させるモーターや電源装置などがケーブルの近くにあると、電磁ノイズが信号に干渉し、データを破損させることもある。
物理的な問題だけでなく、設定の不一致といった論理的な問題もLERの上昇を招く。代表的な例が、通信速度とデュプレックスモード(通信方式)のミスマッチである。通信を行う両端の機器で、例えば一方が1Gbps/全二重に設定され、もう一方がオートネゴシエーション(自動認識)に失敗して100Mbps/半二重で動作してしまうと、通信の衝突が多発し、結果としてCRCエラーなどのフレームエラーが大量に発生する。これは、ネットワーク管理者が設定を行う際に特に注意すべき点である。また、ネットワーク機器のドライバやファームウェアに不具合がある場合も、正常なデータ処理を妨げ、エラーの原因となることがある。
システムエンジニアは、ネットワーク監視システムを用いて、各ネットワーク機器のポートごとにエラーカウンターの値を定期的に監視する。多くのネットワーク機器は、CRCエラー、アライメントエラー、ラントフレーム(小さすぎるフレーム)、ジャイアントフレーム(大きすぎるフレーム)など、様々な種類のエラーを個別にカウントする機能を持っている。これらのカウンターの値が継続的に増加している場合、そのポートが接続されているリンクに問題があると判断できる。問題が検知された場合、まずエラーの種類から原因を推測し、物理層から順にトラブルシューティングを進めるのが定石である。ケーブルを交換したり、別のポートに接続し直したり、あるいは接続先の機器の設定を確認したりすることで、原因を特定し、解決を図る。LERを適切に監視し、異常を早期に検知して対処することは、安定的で信頼性の高いネットワークサービスを維持するために不可欠な業務なのである。