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【ITニュース解説】Encyclopedia Britannica and Merriam-Webster sue Perplexity for copying their definitions 

2025年09月13日に「The Verge」が公開したITニュース「Encyclopedia Britannica and Merriam-Webster sue Perplexity for copying their definitions 」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AI検索サービスPerplexityが、百科事典ブリタニカとMerriam-Websterから提訴された。両社はPerplexityが自社のウェブサイトから定義を無断で収集・使用し、著作権と商標権を侵害していると主張。AIによる情報利用のあり方が問われている。

ITニュース解説

ウェブ検索のAI企業であるPerplexityが、世界的にも有名な百科事典であるブリタニカと辞書のメリアム=ウェブスターから訴訟を起こされたというニュースは、AI技術の開発と利用における重要な法的・倫理的問題を提起している。この問題は、将来システムエンジニアを目指す人々にとっても、技術開発が社会に与える影響を深く考えるきっかけとなるだろう。

今回の訴訟の中心にあるのは、著作権と商標権の侵害という主張だ。Perplexityは「アンサーエンジン」と呼ばれるサービスを提供している。これは、一般的な検索エンジンが多くのウェブサイトのリンクを提示するのに対し、ユーザーの質問に対して直接的な回答を生成して表示するAIベースのシステムだ。まるで人間が質問に答えるかのように、関連する情報を集約して要約し、時には出典も示しながら回答を提供するのが特徴である。

しかし、ブリタニカとメリアム=ウェブスターは、Perplexityがその「アンサーエンジン」を構築する過程や、実際に回答を生成する際に、彼らのウェブサイトから定義や記事などのコンテンツを無断で収集し、利用していると主張している。この情報の収集は、一般的に「スクレイピング」と呼ばれる技術で行われる。スクレイピングとは、プログラムを使ってウェブサイトの情報を自動的に読み込み、特定のデータを抽出する技術のことだ。この技術自体は、市場調査やデータ分析など、合法的な目的でも広く利用されているが、その利用方法によっては問題となる。

今回のケースでは、Perplexityがブリタニカやメリアム=ウェブスターのウェブサイトから大量のデータをスクレイピングし、それを自社のAIモデルの学習データとして使用したり、あるいは回答生成時にそのまま引用したりしたことが問題視されている。特に、同社が回答の出典を明記しつつも、実質的に元のコンテンツを「盗用」しているとブリタニカ側は主張しているのだ。

ここで重要になるのが「著作権」と「商標権」という概念だ。著作権とは、小説、音楽、絵画、そしてウェブサイトの記事や定義など、人が創作した表現物に対して与えられる権利を指す。これは、その表現物を無断で複製したり、公衆に配布したりすることを禁じ、著作者が自分の作品をどのように利用するかをコントロールできるようにするものだ。ブリタニカやメリアム=ウェブスターのウェブサイト上の定義や百科事典の記事は、彼らが長年の調査と編集を経て作り上げた創作物であり、著作権によって保護されている。

一方、商標権とは、企業が自社の製品やサービスを識別するために使用する名称やロゴなどの「商標」を保護する権利だ。これにより、消費者が特定のブランドを認識しやすくなり、また企業がそのブランドの信用を独占的に利用できるようになる。今回の訴訟では、Perplexityがブリタニカやメリアム=ウェブスターのコンテンツを不適切に利用することで、彼らのブランドイメージや信用を毀損している可能性も指摘されている。

AI技術の急速な発展は、こうした知的財産権の既存の枠組みに新たな課題を投げかけている。AIは膨大なデータを学習することでその能力を高めるため、インターネット上に公開されているあらゆる情報がその学習対象となることが多い。しかし、その中には著作権で保護されているコンテンツも含まれる。AIがこうしたコンテンツを学習すること自体が著作権侵害にあたるのか、あるいはAIが生成した回答が元のコンテンツと酷似している場合に著作権侵害となるのか、といった問題は、世界中で議論されている新しい法律問題なのだ。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、このニュースは単なる法律問題として片付けられるものではない。将来、AIを活用したシステムやサービスを開発する際、どのようなデータを収集し、どのように利用するかは、技術的な側面だけでなく、法的・倫理的な側面からも深く検討する必要があることを示唆している。ウェブスクレイピングのような技術は強力だが、その使用には常に責任が伴う。他者の知的財産を尊重し、著作権や商標権といった法的な制約を理解することは、健全な技術開発を行う上で不可欠な知識となるだろう。

AI技術は社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めているが、その発展は常に法的・倫理的な枠組みの中で進められるべきだ。今回の訴訟は、AI開発企業がデータの収集と利用に関して、より透明性を持ち、責任ある行動を取るべきであるという社会的な要求の高まりを反映していると言える。システムエンジニアは単にコードを書くだけでなく、開発する技術が社会に与える影響、そしてそれに伴う法的・倫理的な責任についても深く理解し、考慮することが求められる時代になっている。

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