【ITニュース解説】The Evolution of Garbage Collectors: From Java’s CMS to ZGC, and a JVM vs Go vs Rust Latency Shootout
2025年09月14日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「The Evolution of Garbage Collectors: From Java’s CMS to ZGC, and a JVM vs Go vs Rust Latency Shootout」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
プログラムの不要なメモリを自動で片付ける「ゴミ収集器(GC)」がJavaのCMSからZGCへとどう進化したかを解説。また、JVM、Go、RustにおけるGCの動作が、プログラムの応答速度(レイテンシ)にどう影響するかを比較検証する記事だ。
ITニュース解説
プログラムが実行される際、コンピュータのメモリは非常に重要な役割を担う。プログラムはデータを一時的に記憶するためにメモリを使い、不要になったメモリは解放して再利用できるようにしなければならない。このメモリの管理を自動で行う仕組みが「ガベージコレクタ(GC)」である。ガベージコレクタは、プログラマが手動でメモリを解放する手間を省き、メモリリーク(解放忘れによるメモリの枯渇)や、すでに解放されたメモリを再度解放しようとすることで発生するクラッシュといったバグを防ぐ。これにより、開発者はメモリ管理の細かな部分に頭を悩ませることなく、アプリケーションの主要な機能開発に集中できるという大きなメリットがある。
しかし、ガベージコレクタにも課題がある。それが「レイテンシ」、つまり遅延である。ガベージコレクタが不要なメモリを収集・解放する際、アプリケーションの処理を一時的に停止させることがある。この停止期間を「ストップ・ザ・ワールド(Stop-the-World, STW)」と呼び、その間アプリケーションはユーザーからの入力に応答できなくなる。わずかなSTWでも、リアルタイム性の求められるシステムや、大量のデータを扱うシステムでは、ユーザー体験の悪化やシステム全体のパフォーマンス低下につながる可能性があるため、このレイテンシをいかに短くするかが、現代のシステム開発における重要な課題となっている。
Javaのガベージコレクタは、このレイテンシを削減するために長年にわたり進化を続けてきた。初期のJavaのGCはSTW時間が比較的長く、これが大規模システムでの利用における課題となることがあった。そこで登場したのが「CMS(Concurrent Mark-Sweep)」である。CMSは、GC処理の一部をアプリケーションの実行と「並行」して行うことで、STW時間を短縮しようと試みた。完全にSTWをなくすことはできなかったものの、大きな進歩であった。次に登場した「G1(Garbage First)」は、メモリを小さな領域に分割し、効率的にガベージコレクタを走らせることで、より予測可能なSTW時間を実現した。開発者はG1に対してSTW時間の目標値を設定できるようになり、レイテンシの制御がしやすくなった。そして近年、さらなる低レイテンシを目指して開発されたのが「ZGC(Z Garbage Collector)」である。ZGCは、ほとんどのGC処理をアプリケーションと並行して実行することで、STW時間を数ミリ秒以下という非常に短い時間に抑えることを目標としている。また、使用するメモリの量が非常に大きい場合でも、STW時間がほとんど変わらないという特徴を持ち、超大規模なシステムでの利用において、高い応答性を維持することを可能にする。
このようにJavaのガベージコレクタは、自動メモリ管理の利点を享受しつつ、レイテンシという課題を克服するために、継続的な改善と進化を遂げてきた。これにより、Javaは多様なシステムで高性能かつ高応答性のアプリケーションを構築するための強力な選択肢であり続けている。
一方で、他のプログラミング言語は、メモリ管理とレイテンシに対して異なるアプローチを採用している。例えば、「Go言語」も独自のガベージコレクタを持っている。GoのGCは、JavaのGCほど複雑なチューニングオプションは持たないが、シンプルで高速な設計を目指している。Go言語は並行処理に強みを持つため、GCもその特性を活かして、アプリケーションの実行と並行して効率的に動作し、比較的低いSTW時間を実現する。近年もGoのGCは着実に改善されており、応答性の高いWebサービスやバックエンドシステムで広く利用されている。
さらに異なるアプローチを取るのが「Rust言語」である。Rustは、なんとガベージコレクタを持たない。その代わりに「所有権(Ownership)」という独自のメモリ管理システムを採用している。Rustでは、変数がメモリ上のデータを「所有」し、その変数がスコープから外れる際に自動的にメモリを解放する。この所有権システムは、コンパイル時にメモリの安全性を厳密にチェックするため、実行時にGCによる一時停止が一切発生しない。結果として、Rustで書かれたプログラムは、極めて予測可能なパフォーマンスと、非常に低いレイテンシを達成できるという大きな利点を持つ。しかし、この所有権のルールを理解し、コンパイルエラーを解消するためには、他の言語に比べて学習コストがかかるという側面もある。
このように、ガベージコレクタの有無やその性能は、各プログラミング言語の設計思想や得意分野を色濃く反映している。JavaはGCの進化によって自動メモリ管理と低レイテンシを両立させ、Goはシンプルさと並行処理を追求しながらGCの効率を高め、RustはGCそのものを排除し、コンパイル時のチェックによって究極の低レイテンシとメモリ安全性を実現している。システムエンジニアを目指す上では、開発するシステムの要件、例えば最高のスループットが必要か、それとも極限の低レイテンシが求められるか、あるいは開発の生産性を重視するかといった要素を考慮し、それぞれの言語が持つメモリ管理の特性を理解して、適切な技術を選択することが非常に重要となる。ガベージコレクタの進化とその性能は、現代の高性能システムを構築する上で欠かせない知識の一つであると言える。