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【ITニュース解説】日本IBM、SCSK、レッドハットが連携--モダナイゼーション実現に向けた新基盤を共同検討

2025年09月16日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「日本IBM、SCSK、レッドハットが連携--モダナイゼーション実現に向けた新基盤を共同検討」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

日本IBM、SCSK、レッドハットの3社は、システムを最新化する「モダナイゼーション」に向け連携した。メインフレーム技術とクラウド基盤を組み合わせた、新しいプラットフォームを共同で検討し、提供を目指す。

ITニュース解説

日本IBM、SCSK、レッドハットの3社が連携し、企業のITシステムを現代化する新たなプラットフォームの共同検討を開始したというニュースが報じられた。この連携は、これまで企業の基幹システムとして長く利用されてきた「メインフレーム」の技術と、最新の「クラウドネイティブ基盤」を組み合わせることで、企業の「モダナイゼーション」を強力に推進することを目的としている。

まず、「メインフレーム」とは何かについて説明する。メインフレームは、半世紀以上前から存在する大型のコンピューターシステムで、銀行の基幹システム、航空会社の予約システム、製造業の生産管理システムなど、極めて高い信頼性、安定性、そして膨大なデータを高速に処理する能力が求められる場面で活用されてきた。これは、一台のコンピューターで非常に多くの処理をこなすことができる、いわば「IT界の巨艦」のような存在である。しかし、その技術は古く、専門的な知識を持つ技術者の確保が難しくなっている点、システムを維持するためのコストが高い点、そして新しい技術やサービスを導入する際に柔軟性に欠ける点といった課題も抱えている。これらの課題を抱える古いシステムを「レガシーシステム」と呼ぶことがある。

次に「モダナイゼーション」とは、まさにこのレガシーシステムを現代の技術や手法、ビジネスニーズに合わせて改善していく取り組みを指す。古いシステムを使い続けることには、先に述べたようにコストや人材、柔軟性の問題があるため、企業はシステムを現代化することで、運用コストの削減、開発効率の向上、そして市場の変化に迅速に対応できるようなビジネス基盤を構築することを目指している。しかし、メインフレームのような重要なシステムを全面的に刷新することは、多大なコストとリスク、そして時間が必要となるため、多くの企業にとって大きなハードルとなっているのが現状だ。

ここで登場するのが「クラウドネイティブ基盤」という概念である。クラウドネイティブとは、クラウドコンピューティングが提供するメリットを最大限に活用するために設計されたアプリケーションやシステムの開発・運用手法のことだ。具体的には、システムを小さな部品(マイクロサービス)に分割し、それぞれを独立した「コンテナ」という仮想的な環境で動かすことで、開発の柔軟性やスピードを格段に向上させる。また、システムの変更や更新を頻繁かつ自動的に行う「DevOps」といった考え方も含まれる。クラウドネイティブ基盤は、変化の激しい現代において、企業が新しいサービスを素早く提供したり、システムの規模を柔軟に拡大・縮小したりする上で非常に強力なツールとなる。

では、なぜメインフレームとクラウドネイティブ基盤を組み合わせるのだろうか。これは、メインフレームが持つ「揺るぎない安定性」や「膨大なデータを確実に処理する能力」といった長所はそのままに、クラウドネイティブ基盤が提供する「俊敏性」「柔軟性」「開発のしやすさ」といった現代的なメリットを取り入れたいというニーズがあるからだ。企業にとって、長年培ってきたメインフレーム上の重要な資産(データやビジネスロジック)を完全に捨て去るのは困難であり、またリスクも大きい。そこで、メインフレームが担う信頼性の高い中核部分は維持しつつ、その周辺システムや新しい機能開発にはクラウドネイティブ技術を適用することで、段階的にシステム全体を現代化していく「ハイブリッド」なアプローチが求められているのだ。このアプローチにより、リスクを抑えながら、メインフレームの資産を活かしつつ、最新技術の恩恵を受けることが可能になる。

この複雑なモダナイゼーションを実現するために、今回3社が連携することになった。それぞれの企業が持つ強みが、この新しいプラットフォームの構築において重要な役割を果たす。

まず「日本IBM」は、世界中で最も多くのメインフレームを提供してきた企業であり、その技術と運用に関する深い知見を持っている。メインフレーム上で動くアプリケーションやデータの特性を熟知しているため、既存の資産をどのように新しい環境と連携させるか、その設計において不可欠な存在となる。

次に「レッドハット」は、オープンソースソフトウェアのリーディングカンパニーであり、特にクラウドネイティブ技術の分野で高い評価を受けている。同社が提供する「OpenShift」といったコンテナプラットフォームは、クラウドネイティブな開発と運用を支える主要な技術の一つだ。メインフレームで処理されたデータをクラウドネイティブなアプリケーションから活用できるようにしたり、新しい機能を効率的に開発・デプロイしたりする上で、レッドハットの技術は中核をなす。

そして「SCSK」は、ITシステムの企画、開発、運用までを一貫して手掛けるシステムインテグレーター(SIer)である。長年にわたり多くの企業のシステム構築を支援してきた経験があり、顧客が抱える具体的な課題やニーズを深く理解している。今回の連携では、顧客の既存のメインフレーム環境や業務プロセスを分析し、日本IBMとレッドハットの技術を組み合わせて最適なモダナイゼーション戦略を立案し、実際のシステム構築を推進する役割を担うことになるだろう。

この3社の連携は、メインフレームという歴史ある技術と、クラウドネイティブという最先端の技術を融合させることで、多くの企業が直面しているモダナイゼーションの大きな課題を解決しようとする画期的な取り組みである。システムエンジニアを目指す初心者にとって、古い技術がなぜ今も使われ続けているのか、そして新しい技術がどのようにその課題を解決しようとしているのかを理解することは非常に重要だ。IT業界は常に変化しているが、このように異なる技術や企業が協力し合うことで、より良い未来のITシステムが生まれていくことを示す好例と言えるだろう。

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