【ITニュース解説】ISTQB CT-AI vs CT-GenAI: which AI certification should a tester take?
2026年10月02日に「Dev.to」が公開したITニュース「ISTQB CT-AI vs CT-GenAI: which AI certification should a tester take?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ISTQBのAI資格は、AI搭載システムを「テストする方法」を学ぶCT-AIと、生成AIを「テスト作業に活用する方法」を学ぶCT-GenAIの2種がある。どちらも基礎レベルのCTFLが前提で、目的に応じたAIテストスキル習得に役立つ。
ITニュース解説
現代のITシステムにおいて、ソフトウェアの品質を確保するための「テスト」は非常に重要な工程であり、システムが正しく動作するか、ユーザーにとって使いやすいかを検証する役割を担っている。近年、人工知能(AI)技術が急速に進展し、多くのシステムにAIが組み込まれるようになったことで、このテストの分野にも新たな専門性が求められている。国際的なソフトウェアテストの資格認定機関であるISTQB(International Software Testing Qualifications Board)は、AIに関連する二つの認定資格を提供しており、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、どちらの知識を深めるべきかを知ることは、今後のキャリアを考える上で非常に役立つだろう。
この二つの資格は、「CT-AI」(AI Testing)と「CT-GenAI」(Testing with Generative AI)という名称で、一見すると似ているが、その焦点は大きく異なる。簡単に言うと、CT-AIは「AIそのものをテストする」ことに特化しており、CT-GenAIは「生成AIをテスト作業に活用する」ことに焦点を当てている。
まず、CT-AIは「AIテスティング」と訳され、AIを搭載したシステム、例えば推薦エンジンや詐欺検出モデル、あるいはChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)ベースのチャットボットなど、AIが製品の重要な一部として組み込まれている場合のテスト方法を学ぶ。この資格では、AIシステムが信頼できるか、公平か、堅牢であるかといった品質特性を検証する知識とスキルが問われる。具体的には、AIが学習に使う「データ」の品質、AIの「機械学習モデル」の性能、そして「生成AIシステム」全体のテスト方法といった内容が含まれる。バージョン2.0では、AIが学習する仕組みである「ニューラルネットワーク」の理解、ISO/IEC 25059のようなAIシステムの品質特性、機械学習の性能評価指標の計算、そして機械学習システムのテストケース設計と実行方法などが学習範囲となっている。推奨される学習時間は約19.5時間で、テスターだけでなく、開発者やデータアナリストなど、幅広い役割の人々が対象だ。
一方、CT-GenAIは「生成AIを活用したテスト」と訳され、テスター自身の仕事に生成AIをどのように取り入れるか、どのように活用してテストの効率や品質を高めるかという視点が中心となる。例えば、テストケースのアイデア出し、テストデータの生成、テスト結果の分析、あるいはLLM(大規模言語モデル)を基盤とした内部ツールの開発など、生成AIを「アシスタント」として活用するスキルを習得する。この資格で特に重視されるのは「プロンプトエンジニアリング」だ。これは、生成AIから望む回答や結果を得るために、どのような指示(プロンプト)を与えるべきかを学ぶもので、全体の学習時間の半分近くがここに費やされる。また、生成AIを活用する上でのリスク管理も重要なテーマだ。AIが事実とは異なる情報を生成する「ハルシネーション」、推論の誤り、特定のデータによる「バイアス」、データプライバシーの問題、さらにはAIのエネルギー消費や関連法規制についても学ぶ。推奨される学習時間は約13.5時間となっている。
これらの資格は互いに補完し合う関係にある。例えば、CT-GenAIのスキルを使ってAIアシスタントを駆使し、CT-AIの知識を活かしてAIが組み込まれた製品をテストするといったことも可能だ。しかし、それぞれの資格が評価するスキルは明確に異なる。CT-AIがAIシステムの内部構造や動作原理を理解し、その品質を評価する技術に重点を置くのに対し、CT-GenAIは生成AIを外部ツールとして捉え、いかに効果的にテストプロセスに組み込むかという実践的な側面に焦点を当てている。
どちらの資格も、共通の前提条件として「ISTQB認定テスト技術者財団レベル(CTFL)」の取得を必須としている。CTFLはソフトウェアテストの基本的な概念や手法を学ぶ最初のステップであり、システムエンジニアを目指す皆さんにとっても、テストの基礎を固める上で非常に重要な資格だ。そのため、AI関連の資格取得を検討する前に、まずはCTFLの取得から始めることが推奨される。
試験形式については、CT-AI v2.0とCT-GenAI v1.1のどちらも、40問の多肢選択式問題を60分で解答する形式となっている。合格基準は、CT-AI v2.0が44点満点中29点、CT-GenAI v1.1が46点満点中30点だ。
では、システムエンジニアを目指す初心者はどちらを選ぶべきだろうか。 もしあなたが、将来的にAIを搭載した製品の開発や品質保証に関わりたいと考えているなら、CT-AIが適している。AIの仕組みやそのテスト方法を深く理解することで、AI開発チームの一員として貢献できるだろう。 一方、日常の業務でChatGPTのような生成AIを積極的に活用し、テストプロセスを効率化したい、あるいはテスト自動化のスキルを高めたいと考えているなら、CT-GenAIが役立つ。プロンプトエンジニアリングのスキルは、AIアシスタントを使いこなす上で非常に実践的であり、日々のテスト作業の生産性向上に直結する。 テストマネージャーやコンサルタントといった、より戦略的な役割を目指す場合は、CT-GenAIでテストチームへの生成AI導入戦略を学び、CT-AIでAI製品のテスト戦略を学ぶというように、両方の知識が役立つ可能性がある。
AI技術の進化は止まることを知らず、それに伴いソフトウェアテストの領域も常に変化している。ISTQBが提供するこれらのAI関連資格は、AI時代のソフトウェア品質保証において、システムエンジニアとして必要な専門知識とスキルを身につけるための明確な道筋を示している。自身のキャリア目標や興味関心に合わせて適切な資格を選び、学習を進めることで、これからのIT業界で活躍するための強力な武器となるだろう。