【ITニュース解説】7 JavaScript Bugs That Drove Me Crazy Until I Found These Fixes
2025年09月06日に「Medium」が公開したITニュース「7 JavaScript Bugs That Drove Me Crazy Until I Found These Fixes」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
JavaScript初心者が遭遇しやすい7つのバグと、その解決策を解説する。筆者の実体験を元に、コードの悩みを減らし、問題を効率的に解決するための実践的な修正方法を紹介する。
ITニュース解説
JavaScriptはWebアプリケーション開発において非常に強力な言語だが、プログラミング初心者がつまずきやすい特有の「バグ」や「落とし穴」がいくつか存在する。これらは一見すると理解しにくいかもしれないが、その根本原因と解決策を知ることで、コードの品質を大きく向上させ、より効率的な開発が可能になる。ここでは、多くの開発者が経験するであろう典型的な7つのバグとその対処法について解説する。
まず一つ目は、JavaScriptにおけるthisキーワードの挙動だ。thisは「現在の文脈」を指すもので、どの関数がどのように呼び出されたかによってその参照先が変わるため、混乱を招きやすい。特に、オブジェクトのメソッド内で別の関数(コールバック関数など)を呼び出すと、そのコールバック関数内のthisは意図せず別のものを指してしまうことがある。この問題を解決するには、アロー関数を使うのが最も一般的で効果的だ。アロー関数は、自身が定義されたスコープのthisを継承するため、予期しないthisの変更を防ぐことができる。また、bind()メソッドで固定したり、変数を活用したりといった他の解決策もある。
次に、関数のデフォルト引数に配列やオブジェクトのような「ミュータブルな」値(変更可能な値)を指定する際の注意点がある。関数を呼び出す際に引数を省略すると、デフォルト引数が使われるが、もしそのデフォルト引数がオブジェクトだと、関数が複数回呼び出されるたびに同じオブジェクトインスタンスが共有されてしまう。その結果、ある呼び出しでオブジェクトを変更すると、別の呼び出しの際にもその変更が残ってしまい、意図しない副作用を引き起こす可能性がある。これを避けるためには、デフォルト引数にはnullやundefinedを設定し、関数本体の内部でその値がnullやundefinedの場合にだけ、新しい配列やオブジェクトを生成して使うようにするのが賢明だ。
三つ目は、JavaScriptにおける浮動小数点数の演算誤差の問題だ。例えば0.1 + 0.2という計算を行うと、多くの人が0.3を期待するが、実際には0.30000000000000004のようなわずかな誤差が生じることがある。これは、コンピュータが数を二進数で表現する際の限界に起因するもので、JavaScriptに限らず多くのプログラミング言語で共通の問題だ。この誤差が重要な計算結果に影響を与える場合は、toFixed()メソッドを使って小数点以下の桁数を指定して丸める、Math.round()を使って四捨五入する、あるいは計算前に整数に変換し、計算後に再度浮動小数点数に戻すといった対策が考えられる。
四つ目は、JavaScriptが非同期処理を多用する言語であることから生じる、競合状態(レースコンディション)や予期せぬ実行順序の問題だ。データ取得やタイマー処理などの非同期処理は、いつ完了するかが予測しにくい。これにより、ある処理が完了する前に別の処理がデータを変更してしまい、結果が矛盾することがある。この問題を解決するためには、Promiseやasync/await構文を適切に利用することが不可欠だ。これらにより、非同期処理の順序付けとエラーハンドリングが明確になり、コードの可読性と堅牢性が向上する。
五つ目は、JavaScriptの型強制(Type Coercion)による予期せぬ挙動だ。JavaScriptは、異なるデータ型の値を比較する際に、自動的に型変換を行ってから比較する「ゆるい等価演算子==」を持っている。例えば、"5" == 5はtrueになる。しかし、この自動変換が意図しない結果を生み、バグの原因となることが少なくない。これを避けるためには、「厳密等価演算子===」を使うことが強く推奨される。===は、値だけでなく型も厳密に比較するため、"5" === 5はfalseとなり、より予測可能で安全な比較を行うことができる。
六つ目は、ループ内でクロージャ(Closure)を使用する際の変数のスコープに関する問題だ。特にforループの中で、ループ変数(iなど)を利用するクロージャ(例えば、setTimeoutのコールバック関数)を作成すると、すべてのクロージャが同じループ変数の最終的な値を参照してしまうという現象が発生しやすい。これは、JavaScriptの変数のスコープの特性に起因する。この問題を解決するには、ES6以降であればvarの代わりにletキーワードを使ってループ変数を宣言することで、各イテレーションごとに新しい変数のコピーが作成され、それぞれが独立した値を保持するようになる。古い環境では即時実行関数式(IIFE)も使える。
最後に、オフバイワンエラー(Off-by-one error)だ。これは、配列のインデックスやループの範囲を一つずれて指定してしまう、プログラミングにおいて非常に一般的な間違いだ。例えば、要素が3つの配列[a, b, c]は、インデックスが0、1、2となる。配列の長さは3だが、最後の要素のインデックスは配列の長さ - 1だ。ループを回す際に、i < 配列の長さとすべきところをi <= 配列の長さとしてしまうと、配列の範囲外のインデックスにアクセスしようとしてエラーが発生する。このエラーは小さな見落としから生じやすいが、コードを丁寧に確認し、配列の長さとインデックスの関係(0始まり)を常に意識することで防ぐことができる。
これらのJavaScript特有のバグや挙動は、開発経験が少ないうちは混乱の元となるかもしれないが、これらを理解し、適切な解決策を学ぶことは、より堅牢で保守しやすいコードを書くための重要なステップとなる。デバッグの際にこれらの典型的な問題に遭遇したら、ここで紹介した内容を思い出してほしい。一つ一つの問題解決が、システムエンジニアとしての成長につながるだろう。