【ITニュース解説】ナレッジワークにおけるデータ基盤の構成 - 2025/09
2025年09月14日に「Zenn」が公開したITニュース「ナレッジワークにおけるデータ基盤の構成 - 2025/09」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ナレッジワークのエンジニアが、2025年9月時点におけるデータ基盤の構成と、その設計思想・経緯を詳しく解説した。これは社内向け共有を目的としたもので、データ基盤の現状と構築背景がわかる内容だ。
ITニュース解説
この記事は、ナレッジワークという企業が2025年9月時点で構築しているデータ基盤の構成とその背景、設計思想について解説するものである。システムエンジニアを目指す者にとって、現代ビジネスにおけるデータ活用とその技術的基盤の理解に役立つだろう。
データ基盤とは、企業が持つ多様なデータを集約し、分析し、ビジネス上の意思決定に資するための仕組み全体を指す。ナレッジワーク社では、この基盤を通じて、社員がデータを容易に利用し、より良いサービスや戦略を策定できる環境を目指している。
データ基盤の第一歩はデータの収集にある。ナレッジワーク社では、SalesforceやMarketoといった外部のSaaS(Software as a Service)や、自社アプリケーションが利用するPostgreSQLなどのデータベースにデータが散在する。これらの異なるソースからデータを統合するために、FivetranやEmbulkといったツールが利用される。Fivetranは主にSaaSからのデータ連携を自動化し、Embulkはより柔軟なデータ転送を可能にする。これらのツールは、データを定期的に抽出し、次のステップであるデータウェアハウスへ転送する役割を担う。
次に、集められたデータを保存する場所がデータウェアハウス(DWH)だ。ナレッジワーク社では、Google Cloudが提供するBigQueryを採用している。BigQueryは、大量のデータを高速に分析できるクラウドベースのデータウェアハウスであり、データの保存に加え、複雑なクエリ(データへの問い合わせ)を効率的に実行できる特徴を持つ。ここに、多様なシステムから転送されてきた「生データ」が蓄積される。
生データはそのままでは分析に適さない場合が多い。そこで必要となるのが「データ変換・モデリング」の工程である。dbt(data build tool)というツールがこの役割を果たす。dbtは、BigQueryに蓄積された生データに対し、SQL(Structured Query Language)を用いて加工や集計を行い、分析しやすい形に整理された「分析用データマート」を作成する。例えば、顧客の購買履歴とWebサイトの行動履歴を結合し、特定のキャンペーン効果を分析できるような形に整えるといった作業である。これにより、データを利用する側は、複雑なデータ構造を意識することなく、必要な情報を容易に引き出せるようになる。
加工されたデータは、最終的にビジネス上の意思決定に活用される。そのためのツールがBI(Business Intelligence)ツールであるLookerだ。Lookerは、dbtで整形されたデータを読み込み、グラフや表などの分かりやすい形で可視化する。これにより、営業担当者は顧客の状況を把握し、マーケターはキャンペーンの効果を測定し、経営層は事業全体の健全性をモニターすることが可能となる。LookerのようなBIツールは、専門知識がない社員でも、自ら必要なデータにアクセスし、レポートを作成できる「セルフサービスBI」を実現するための重要な要素である。
これらのデータ収集、保存、変換、活用といった一連の処理は、手動で行うと多大な労力を要する。そのため、これらの処理を自動化し、適切な順序で実行されるよう管理するのがワークフロー管理ツールである。ナレッジワーク社では、AirflowをベースにしたCloud Composerを利用している。Cloud Composerは、複雑なデータパイプライン(データが流れる一連の処理)を定義し、スケジュールに基づいて自動実行したり、エラー発生時に通知したりする機能を提供する。これにより、データ基盤は安定して運用され、常に最新のデータが利用可能となる。
さらに、データ基盤の信頼性を高めるためには、データ品質やデータガバナンスへの取り組みも不可欠である。Monte Carloというツールは、データカタログとしてデータの情報(ソース、意味、管理責任者など)を一元管理し、さらにデータの品質を自動でモニタリングする役割を担う。データの異常を早期に検知することで、誤ったデータに基づく意思決定を防ぎ、データ全体の信頼性を維持する。
ナレッジワーク社のデータ基盤は、単に技術的な構成に留まらず、その背後にある思想も重要である。それは「データ民主化」と「セルフサービスBIの推進」だ。特定のデータ専門家だけでなく、誰もがビジネスに必要なデータにアクセスし、自分で分析できる環境を提供することで、組織全体のデータ活用能力を高めることを目指している。この基盤は一度作って終わりではなく、ビジネスの変化に合わせて常に進化していくものと捉えられている。記事では将来的な展望として、より高度なデータ活用を実現するためのデータメッシュアーキテクチャやリアルタイムデータ処理への言及もあり、データ基盤が継続的に改善されることを示している。
このように、ナレッジワーク社のデータ基盤は、多種多様なデータを収集し、信頼性のある形で蓄積・加工し、最終的にビジネスの意思決定に役立てるまでの一連のプロセスを、様々なツールと技術の組み合わせによって実現している。システムエンジニアを目指す者にとって、クラウドサービス、データベース、ETLツール、データウェアハウス、BIツール、ワークフロー管理といった幅広い技術要素がどのように連携し、ビジネス価値を生み出しているかを学ぶ上で、大変参考になる事例と言える。データ基盤は、これからも企業の競争力を左右する重要な要素であり続けるだろう。