【ITニュース解説】LLM Prompting Techniques
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「LLM Prompting Techniques」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
大規模言語モデル(LLM)から最適な回答を引き出すには、質問の仕方が重要だ。この「プロンプト技術」には、例なしで質問するZero-shot、例を示すFew-shot、段階的に考えさせるChain-of-thought、複数の選択肢を検討させるTree-of-thought、役割を指定するPersonaなどがある。目的に応じて使い分けることで、LLMの能力を最大限に活用できる。
ITニュース解説
大規模言語モデル(LLM)は、私たちの言葉を理解し、多様な情報やタスクに応答する人工知能であり、その活用は現代のIT分野において非常に重要になっている。LLMを最大限に活用し、意図した通りの高品質な応答を引き出すためには、私たちがどのように問いかけるか、つまり「プロンプト」の与え方が鍵となる。このプロンプトを効果的に設計する技術は「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれ、システムエンジニアがLLMベースのシステムを開発する上で不可欠なスキルの一つだ。ここでは、LLMから最良の結果を得るための具体的なプロンプト技術について解説する。
まず、最も一般的で基本的な手法が「ゼロショットプロンプティング」である。この方法は、ユーザーがLLMに対して、事前になんの例も示さずに直接質問を投げかけるものだ。ユーザーは、LLMがその質問の意図を自力で理解し、持つ知識に基づいて適切な回答を生成することを期待する。例えば、「2018年のFIFAワールドカップで優勝した国はどこか?」というシンプルな質問に対し、LLMは「フランスが2018年のFIFAワールドカップで優勝した」と即座に答えることができる。日常的な情報検索や、LLMが一般的に知っている知識に関する質問には、このゼロショットプロンプティングで十分に対応できるため、手軽に利用できる点が大きな特徴である。
次に、「フューショットプロンプティング」という手法がある。これは、LLMに対して、求める回答の形式やパターンを理解させるために、いくつか具体的な例を提示してから本命の質問を行う方法だ。LLMは与えられた少数の例から、どのようなスタイルや構造の回答が期待されているかを学習し、新しい質問に対してそのパターンに沿った回答を生成する。例えば、サッカーの試合結果に対して短い見出しをつけるタスクを考える場合、「Team A 3–1 Team B → Team Aが3–1でTeam Bを圧倒」「Team C 0–0 Team D → Team CとTeam D、スコアレスドロー」といった具体的な例をいくつか示してから、「Team E 2–1 Team F → ?」と問いかけると、LLMは「Team Eが2–1の僅差でTeam Fを破る」のように、例に倣った形式で回答を生成する。このように、特定のルールや出力形式に沿った回答を得たい場合に非常に有効な手法である。
さらに高度な思考をモデルに促すのが、「チェインオブソート(CoT)プロンプティング」である。この手法は、LLMに対して、問題を一度に解決するのではなく、段階的に論理的な思考プロセスを踏むように指示するものだ。これにより、LLMは複雑な問題に対してより正確な回答を生成できるだけでなく、ユーザーはモデルがどのようにその結論に至ったのか、その思考過程をステップバイステップで確認できるようになるため、回答の透明性と信頼性が向上する。例えば、「あるサッカーチームは前半に1点、後半に2点を入れた。対戦相手は合計2点だった。どちらのチームが勝ったか?計算過程を示せ」という問いに対し、LLMは「前半にTeam Aが1点獲得」「後半にTeam Aがさらに2点獲得」「Team Aの合計得点は1 + 2 = 3点」「対戦相手の合計得点は2点」「3点 > 2点なので、Team Aが試合に勝利した」といった形で、各思考ステップを明確に示しながら回答を導き出す。推論や計算を含む複雑な問題解決において、CoTプロンプティングは非常に強力なツールとなる。
チェインオブソートプロンプティングをさらに発展させたのが、「ツリーオブソート(ToT)プロンプティング」である。CoTが一つの筋道に沿って順序良く思考を進めるのに対し、ToTは問題解決の過程で複数の異なる推論パスを探索することを特徴とする。具体的には、思考の各ステップで複数の選択肢や可能性を検討し、それらを評価した上で最も有望なパスを選び、思考を進めていく。この手法は、意思決定、計画立案、あるいは創造的な問題解決のように、唯一の正解が存在しないか、複数の有効なアプローチがあるような状況で特にその効果を発揮する。例えば、「あなたのチームは残り10分で1対0と負けている。同点に追いつくための異なる戦略を提案し、それぞれの長所と短所を説明した上で、最善の戦略を選べ」といった問いに対し、LLMは「戦略1: 攻撃的に攻める(長所:素早く得点できる可能性が高い。短所:カウンターで失点するリスク)」「戦略2: 中盤でボールを保持し、 patientlyプレイする(長所:ポゼッションを維持し、プレッシャーをかける。短所:チャンスを作る前に時間がなくなる可能性)」「戦略3: 新しい攻撃的な選手を投入する(長所:新しいエネルギーがゲームを変える。短所:選手が適応するのに時間がかかる可能性)」といった複数の選択肢を提示し、それぞれの評価を行った上で、「最も良い選択肢は戦略3であり、攻撃的な選手を投入し、よりアグレッシブなプレーと組み合わせることで、リスクとバランスを取りながら得点機会を最大化する」といった結論を導き出す。このように、多角的な視点から問題を検討し、最適な解を導き出す能力をLLMに求める際にToTプロンプティングが活用される。
最後に、「ペルソナプロンプティング」という手法がある。これはゼロショットプロンプティングに似ているが、質問に加えてLLMに特定の役割(ペルソナ)を割り当てる点が異なる。LLMは与えられたペルソナになりきって回答を生成するため、その役割に合った口調や専門知識に基づいた回答が得られるようになる。例えば、「あなたはハーフタイムにアドバイスをするサッカーのコーチです。私のチームは2対0で負けています。選手たちに何を伝えますか?」と問いかけると、LLMはコーチとしての立場から、具体的な指示や激励の言葉を生成する。この手法は、特定の専門家としての意見や、ユーザーが求める特定のトーンやスタイルに合わせた回答を得たい場合に非常に有効である。ペルソナを設定することで、LLMの汎用的な知識に加え、特定の視点からの深い洞察やアドバイスを引き出すことが可能になる。
これらのプロンプト技術は、大規模言語モデルから最高の成果を引き出すための強力な道具箱である。ゼロショットプロンプティングは直接的な質問に、フューショットプロンプティングは特定のパターン学習に、チェインオブソートプロンプティングは段階的な推論と透明性の確保に、ツリーオブソートプロンプティングは多角的な問題解決と意思決定に、そしてペルソナプロンプティングは特定の役割や視点からの回答の生成にそれぞれ適している。LLMを効果的に利用するには、最終的にどのような種類の回答を求めているのか、正確な情報か、創造的な出力か、それとも論理的な思考過程を伴うものか、といった目的に応じて最適なプロンプト技術を選択し、使いこなすことが重要となる。システムエンジニアとしてLLMを扱う際には、これらの技術を深く理解し、状況に応じて適切に適用する能力が求められるだろう。