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【ITニュース解説】Tags: The Core Principles of Observability Context

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Tags: The Core Principles of Observability Context」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

オブザーバビリティの鍵は、システムが生成するデータに付与する「タグ」である。タグはデータの文脈を示し、「どの環境か」等の情報をできるだけ多く、かつ命名規則を統一して付与することが重要。これにより障害調査などの分析が容易になる。

ITニュース解説

現代のシステム開発において、システムが正常に稼働しているかを把握し、問題が発生した際に迅速に原因を特定するためには、「オブザーバビリティ(可観測性)」という考え方が不可欠である。オブザーバビリティとは、システムの内部状態を、外部から収集できるデータ、すなわちログ、メトリクス、トレースといった「テレメトリデータ」からどれだけ深く理解できるかを示す指標である。このテレメトリデータを真に価値あるものにするための根幹をなすのが「タグ」の存在だ。タグは、ラベルや属性とも呼ばれ、一つひとつのテレメトリデータに付与される文脈情報である。多くの開発者は「システムがテレメトリデータを出力する」と考えがちだが、より正確な視点は「テレメトリデータが存在し、それ自体が出力元システムの情報を含む、自己完結した文脈を持っている」というものである。システムから一度出力されたデータは、元のシステムから独立した存在となる。そのため、データ単体で「いつ、どこで、どのサーバーの、どのアプリケーションが、どのような状況で」生成されたのかを説明できなければならない。その役割を担うのがタグであり、効果的なタグ付けこそが、使えるテレメトリデータの基盤となる。

効果的なタグ付けには、大きく分けて二つの原則がある。第一の原則は「量」、すなわち「できるだけ多くの文脈情報をタグとして付与すること」である。タグは、収集した膨大なデータに対して意味のある問いを投げかけるための切り口となる。付与されているタグが豊富であればあるほど、より多角的で深い分析が可能になる。例えば、あるサービスの稼働状況を示すデータに「service: checkout」というタグしか付与されていない場合、「チェックアウトサービスでエラーが発生した」という事実はわかっても、「どの地域のユーザーに影響が出ているのか」「本番環境だけの問題なのか」といった具体的な問いには答えられない。しかし、ここに「region: us-east-1」や「env: production」、「team: payments」といったタグを追加すれば、これらの問いに即座に答えられるようになり、問題解決の速度は格段に向上する。重要なのは、将来どのような分析が必要になるかを現時点で完璧に予測することは不可能だという点である。後から過去のデータに遡ってタグを追加することはできないため、現時点で有用性が明確でなくても、考えうる限りの文脈情報をタグとして付与しておくことが、将来の分析能力を担保することに繋がる。もし、どのようなタグから始めればよいか迷う場合は、「OpenTelemetry」のような業界標準で定められた規約を参考にすると良い。これらは多くのプラットフォームで特別に扱われ、より高度な分析や可視化機能を利用できる場合が多い。

第二の原則は「質」、すなわち「タグを正規化し、構成可能に保つこと」である。多くのタグを付与しても、その付け方に一貫性がなければ意味をなさない。タグの質を担保するためには、「正規化(Canonical)」と「構成可能(Composable)」という二つの概念が重要となる。正規化とは、ある一つの側面を表すための表現方法を、権威ある一つに統一することを意味する。例えば、システム環境を表すタグとして、ある場所では「env: prod」、別の場所では「env: production」という値が使われていると、両者は同じ「本番環境」を指しているにもかかわらず、データを分析する際に別物として扱われてしまう。「env: prod」でデータを絞り込むと「env: production」のデータが漏れてしまい、正確な状況把握ができなくなる。このような混乱を避けるため、プロジェクト全体で命名規則を統一し、一貫性を保つ必要がある。一方、構成可能とは、各タグがそれぞれ独立した一つの側面だけを表すように設計することを指す。例えば、「service: auth-prod」のように、サービス名(auth)と環境名(prod)を一つのタグにまとめてしまうと、柔軟な分析ができなくなる。この場合、「本番環境(prod)で発生している全てのエラー」を横断的に集計しようとしても、サービスごとに設定された複合的なタグを一つひとつ指定する必要があり、非常に非効率である。これを避けるには、「service: auth」と「env: prod」のように、それぞれの情報を独立したタグとして分離する。これにより、サービス単位、環境単位、あるいはその両方の組み合わせで、データを自由にフィルタリングしたりグループ化したりすることが可能になる。

結論として、タグは単なる付帯情報ではなく、テレメトリデータをチームの誰もが理解し、活用できる実践的な情報へと昇華させるための文脈そのものである。「できるだけ多くの文脈情報を付与する」という量の原則と、「命名を統一し、各タグを独立させる」という質の原則。この二つを常に意識してタグ付けを行うことで、オブザーバビリティの基盤は強固なものとなる。これは、日々のシステム監視や障害対応の効率を飛躍的に向上させるだけでなく、将来にわたってシステムの価値と信頼性を高めるための重要な投資であると言える。

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