【ITニュース解説】Pokémon Legends: Z-A feels like a strong step forward for the series

ポケモンシリーズは、1990年代の登場以来、その独自の魅力で多くのプレイヤーを惹きつけてきた。特に近年は、スマートフォン向けアプリ『Pokémon GO』やトレーディングカードゲームの再燃によって、より幅広い層がポケモンと触れ合う機会を得ている。このような状況の中、長年続くビデオゲーム本編シリーズにも、新たな体験を提供する変革が求められていた。そして、その期待に応える形で登場するのが、最新作『Pokémon Legends: Z-A』である。この作品は、従来のポケモンゲームとは一線を画す、よりアクションに焦点を当てたトレーナーの冒険を描いている。

舞台となるのは、フランスのパリを思わせる美しい街、ミオシティである。プレイヤーは一人の新米トレーナーとして、この街で自身のスキルを磨き、仲間となるポケモンを増やしながら成長していく。しかし、ミオシティには不穏な空気が漂っている。未知の力によってポケモンたちが狂暴化し、「メガシンカ」という現象を神秘的に引き起こす謎の事件が連続して発生しているのだ。主人公は、この異常事態の背後に潜む真実を突き止めるため、冒険の旅に出ることになる。物語の進行とともに、プレイヤーは強力なポケモンたちとの遭遇や、街に隠された秘密に迫ることになるだろう。

『Pokémon Legends: Z-A』における最も画期的なシステム変更は、バトルの根幹をなす仕組みにある。これまでシリーズを特徴づけてきた、互いのターンを待ちながらコマンドを選択する「ターン制バトル」が完全に廃止され、代わりに「リアルタイムアクションバトル」が導入された。これは、プレイヤーがゲーム世界で直接ポケモンを操作し、瞬時の判断と行動が求められる、まるでアクションゲームのような体験を提供する。デモ版では、夜のミオシティの裏路地でトレーナーとのバトルが展開されたが、プレイヤーは敵トレーナーを探し回り、時には隠れて奇襲を仕掛けるといった、自由度の高いアプローチが可能であった。

実際のバトルでは、プレイヤーのトレーナーが選んだポケモンと共に敵ポケモンと対峙する。トレーナーはフィールドを自由に動き回り、ポケモンの持つ複数の「アクティブスキル」を駆使して戦う。これらのスキルには「クールダウン」と呼ばれる使用後の待機時間が設定されており、どのスキルをいつ使うかという戦略的な判断が求められる。また、敵ポケモンの攻撃を避けるための回避行動も重要であり、プレイヤーの操作スキルがポケモンのダメージ軽減に直結する。この一連のシステムは、まるで『Xenoblade Chronicles』のようなアクションRPGの要素をポケモンゲームに取り入れたかのようだ。これにより、バトルは単なるコマンド選択の繰り返しではなく、プレイヤー自身が主体的に動き、瞬時の判断と操作で勝利を目指す、より没入感の高い体験へと進化した。

本作は、前作『Pokémon Legends: Arceus』が提示した、広大な世界を自由に探索し、ポケモンと直接的に関わるゲームプレイの方向性をさらに発展させている。前作でもオープンなフィールドでの活動が特徴だったが、バトル自体はターン制の仕組みに戻っていた。しかし、『Pokémon Legends: Z-A』では、フィールドでの活動からバトルまで、一貫してアクション志向のシステムが採用されている。これにより、ポケモンとの遭遇から捕獲、そして他のトレーナーとのバトルに至るまで、プレイヤーは常に能動的なアクションを求められる。例えば、不意打ちによってバトルを有利に進めるといった、新しい戦術的な選択肢も生まれており、トレーナーとしての瞬間の判断がより重要になった。

物語の重要な要素として、謎の力で狂暴化したポケモンとの「ボスバトル」が挙げられる。プレイヤーはこれらの暴走ポケモンを追跡し、最終的には大規模なバトルゾーンで直接対決することになる。ボスポケモンは、その強力な姿である「メガシンカ」を発動し、プレイヤーを苦しめる。デモ版で登場した「暴走メガアブソル」との戦いは、『Final Fantasy』や『Nier: Automata』といった他のロールプレイングゲームのボス戦を彷彿とさせる、見応えのあるものだったという。この戦いでは、プレイヤー側のポケモンも一時的にメガシンカを発動させ、能力を大幅に強化することが可能となる。これは、特定の条件下で強力な技を繰り出す「リミットブレイク」のようなシステムに近いと言えるだろう。これらのボスバトルは、単なる能力のぶつかり合いではなく、プレイヤーの戦略と操作スキルが試される、ゲームの節目となる重要な要素として設計されている。

『Pokémon Legends: Z-A』は、シリーズの伝統的な要素を継承しつつも、探索と世界とのインタラクションに対する新たなアプローチを試みている。従来のポケモンゲームに慣れ親しんだファンにとっては、ターン制バトルがないことに戸惑いを感じるかもしれないが、この新しいアクション志向のシステムは、新鮮で奥深いゲームプレイを提供し、多くのプレイヤーを惹きつける可能性を秘めている。個性的なサイドキャラクターや壮大なボス戦など、日本のロールプレイングゲーム特有の魅力も兼ね備えており、その全体的なゲームシステムは、シリーズの長年のファンが望んでいた「大きな変革」の一歩として強く期待されている。この作品は、トレーナーとポケモンの冒険というおなじみの前提は維持しつつも、ポケモンを指揮するシステムがよりアクション重視になったことで、シリーズの将来に向けた確かな可能性を示していると言える。

『Pokémon Legends: Z-A』は、2025年10月16日にNintendo Switchおよび次世代機であるNintendo Switch 2向けに発売される予定だ。この新しい挑戦が、ポケモンシリーズにどのような影響をもたらすのか、その動向に注目が集まっている。