【ITニュース解説】汎用的QAをやめた日
2025年09月16日に「Zenn」が公開したITニュース「汎用的QAをやめた日」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
「汎用的なスキル」を志向したQAエンジニアが、プロダクトに深く寄り添い、知識を仕組み化する「ナレッジマネジメント」の道へ転換した。特定の企業では、知識を活かしてチーム貢献するキャリアパスがあり、QAエンジニアにとって心強い選択肢となる。
ITニュース解説
ソフトウェア開発の現場では、製品やサービスが完成した後、それが期待通りに動くか、ユーザーにとって使いやすいかを確認する「品質保証(QA)」という非常に重要な工程がある。QAエンジニアは、まさにその品質を守る専門家だ。彼らは、開発されたシステムに対してテスト計画を立て、様々な角度から検証を行い、問題点や改善の余地がないかを探し出す。もし、リリース後に重大な不具合が見つかれば、ユーザーの信頼を大きく損ねるだけでなく、会社にとっても大きな損失となりかねないため、QAエンジニアの役割は計り知れないほど大きい。
今回紹介する記事では、株式会社ナレッジワークのQAエンジニアであるKatoazさんが、自身のキャリアにおける転換点について語っている。Katoazさんは入社前、「どの会社でも通用する人材でありたい」と考え、特定の製品や技術に特化せず、幅広い環境で役立つ汎用的なスキルを身につけることを目指していたという。これはシステムエンジニアを目指す多くの初心者が抱く、非常に共感できる目標だろう。幅広い知識やスキルは、どんな現場でも役立つ強みになると考えがちだ。しかし、ナレッジワークに入社し、半年以上の経験を積む中で、Katoazさんはその考え方を変え、今では「ナレッジマネジメント」という、より専門的でプロダクトに深く寄り添う道を選択している。
では、「ナレッジマネジメント」とは具体的にどのようなものなのだろうか。ナレッジマネジメントとは、組織が持つ知識や情報を集約し、整理し、それをチーム全体で共有し、日々の業務に活用するための仕組みを構築することだ。ソフトウェア開発の現場には、例えば、特定の機能が過去にどのような理由で不具合を起こしたか、その解決策は何だったか、あるいは新しい機能を開発する際にどのような技術的な注意点があるか、といった多岐にわたる「知識」が存在する。これらの知識が特定の個人の頭の中にだけ留まっていると、その人がいなければ情報が分からなかったり、同じような問題を何度も繰り返してしまったりする「属人化」という問題が発生しやすくなる。ナレッジマネジメントは、このようなリスクを減らし、知識を組織の資産として有効活用するための活動なのだ。具体的には、テストのノウハウを文書化したり、過去の不具合情報をデータベース化したり、それらを誰もがアクセスできる形で共有し、さらにその情報を分析して未来の開発やテストに活かせるような運用フローを設計したりする。
このナレッジマネジメントが、QAエンジニアにとってなぜ特別に重要なキャリアパスとなり得るのか。QAエンジニアは、プロダクトの品質を保証するために、その仕様の隅々まで理解し、ユーザーの視点に立って様々なテストを行う。この過程で、彼らはプロダクトに関する膨大な知識、つまり「知見」を蓄積していく。例えば、特定の機能がどのような条件下で不安定になるのか、ユーザーがどのような操作をすると混乱しやすいのか、といった情報は、開発者にとっても非常に価値のあるインプットとなる。Katoazさんのようにナレッジマネジメントの道を選択したQAエンジニアは、単にテストを実行するだけでなく、これら集積された「知識」を組織全体で活用できる形に仕組み化することに注力する。これにより、開発チーム全体が過去の経験から学び、より効率的で高品質な開発プロセスを構築できるようになるのだ。それは、開発の初期段階で潜在的な問題を予測し、未然に防ぐための提案をしたり、新しい開発メンバーが短期間でプロダクトの深い知識を習得できるよう支援したりすることにもつながる。
ナレッジワーク社では、一般的な「メンバーマネジメント」(チームを率いる管理職)とは別に、Katoazさんのように「知識を仕組みに変えて、チームに貢献したい」と考えるQAエンジニアのために「ナレッジマネジメント」という専門職のキャリアパスが用意されている。これは、特定のプロダクトや技術領域を深く掘り下げ、その専門知識を活かして組織に貢献したいと考える技術者にとって、非常に魅力的で心強い選択肢だと言える。汎用的なスキルももちろん重要だが、一つの分野をとことん追求し、そこで誰にも負けない専門性を磨くことで、その人ならではの独自の価値を最大限に発揮できる。プロダクトにとことん寄り添うことは、その製品やサービスの細部にまで精通し、ユーザーが本当に求めているもの、あるいは潜在的に抱えている問題を深く理解することを意味する。これにより、表面的な品質だけでなく、根本的な課題解決につながるような提案や改善を早期に行い、より質の高いプロダクトを世に送り出すことが可能になる。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、Katoazさんのキャリアパスの選択は、将来の働き方を考える上で貴重な示唆を与えてくれるだろう。IT業界には多様な職種があり、それぞれの専門分野を追求する道が広がっている。最初は汎用的なスキルを身につけたいと考えるかもしれないが、経験を積む中で、特定の領域に深くコミットし、そこで専門性を極めることが、より大きな達成感や独自の貢献につながる可能性もある。QAエンジニアという役割一つとっても、ただテストをするだけでなく、ナレッジマネジメントを通じて開発プロセス全体の品質向上に貢献したり、あるいはより技術的な側面からテスト自動化を推進したりと、様々な専門性の追求方法がある。自身の興味や強みを見極め、どのような形でチームやプロダクトに貢献したいのかを考えることが、充実したキャリアを築くための第一歩となるだろう。