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【ITニュース解説】RAG FOR DUMMIES

2025年09月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「RAG FOR DUMMIES」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

AIはもっともらしく嘘をつくことがあるが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)はその問題を解決する技術だ。RAGは、AIが外部の信頼できる情報源から事実を検索し、それに基づいて回答を生成する。これにより、AIのデタラメな発言(ハルシネーション)を減らし、常に正確で根拠のある情報を提供できるようになる。RAGは、AIがより実用的で信頼できる存在となるための重要な技術だ。

出典: RAG FOR DUMMIES | Dev.to公開日:

ITニュース解説

現代の人工知能、特に大規模言語モデル(LLM)は、まるで人間が話すように流暢で自然な文章を作り出す能力を持っている。しかし、この能力には大きな課題が存在する。それは、AIが自信満々に提示する情報が、必ずしも事実に基づいているとは限らないという点である。チャットボットが架空の参考文献を提示したり、現実には存在しないような回答をしたりする場面は、その典型的な例だ。このような現象は「ハルシネーション」と呼ばれ、AIが事実とは異なる情報を生成してしまうことを指す。AIが「次の最適な単語」を予測して文章を生成する仕組み上、常に真実を述べるわけではないため、あたかも正しいかのように見せかける嘘の情報を作り出してしまうのだ。これは、ビジネスや研究、あるいは日常生活でAIを活用しようとする際に、大きなフラストレーションとなることがある。

このハルシネーションの問題を解決し、AIをより実用的で信頼できるものにするために登場したのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という技術である。RAGは、AIが単に学習データから推測して回答するのではなく、外部の信頼できる情報源を参照しながら回答を生成することを可能にする。これは、AIが「でまかせを言う」状態から「根拠に基づいて説明する」状態へと進化することを意味する。

RAGの仕組みは、質問に対して回答を生成する際に、大きく二つのステップを踏む。第一に「情報検索(Retrieval)」のステップ、そして第二に「回答生成(Generation)」のステップだ。ユーザーがAIに質問を投げかけると、まずRAGシステムは、その質問に関連する情報を、事前に用意された信頼性の高い情報源から探し出す。この情報源には、企業が持つ独自のデータベース、専門知識をまとめたナレッジベース、公式ドキュメント、最新のレポートなどが含まれる。システムは、質問内容に最も関連性の高い事実やデータを迅速に検索し、取得する。次に、「回答生成」のステップでは、大規模言語モデル(LLM)が、この情報検索フェーズで取得された事実やデータを基にして、自然な言葉で回答を生成する。これにより、AIは単に学習済みの知識から推測するのではなく、具体的な根拠となる情報を参照しながら回答を作成するため、その信憑性が飛躍的に向上する。

RAGを導入することで、AIの利用においていくつかの大きなメリットが生まれる。まず最も重要なのは、ハルシネーションの劇的な減少である。AIの回答が現実の事実に裏付けられるため、誤った情報や架空の情報を生成するリスクが大幅に低減される。次に、常に最新の知識をAIに反映できる点も大きい。従来のLLMでは、新しい情報や事実が生まれた場合、モデル全体を再学習させる必要があった。これは時間とコストのかかる作業だが、RAGでは外部の情報源を更新するだけで、AIが参照する知識を常に最新の状態に保つことができる。これにより、柔軟かつ迅速な情報更新が可能となる。また、RAGはパーソナライゼーションにも貢献する。例えば、企業が自社のマニュアル、業務報告書、規定などを情報源としてRAGに与えることで、AIはその企業固有の文脈や専門用語を理解し、その企業に特化した「話し方」で回答を生成できる。さらに、スケーラビリティも向上する。一つのRAGシステムを構築すれば、それを顧客サービス、研究ツール、社員向けの学習プラットフォームなど、多様な用途に展開することが可能となり、それぞれの用途に合わせてAIモデルを個別にトレーニングする手間が省ける。

RAGは既に理論の段階を超え、現実世界で幅広く活用され始めている。顧客サポートの分野では、従来型のチャットボットが紋切り型の謝罪を繰り返すのではなく、RAGによって企業の公式ドキュメントから引き出された正確な情報に基づいて具体的な解決策を提示できるようになっている。検索エンジンもRAG技術の応用を進めており、GoogleやMicrosoftなどは、単にリンクのリストを提示するだけでなく、複数の情報源を要約したRAGを活用した回答を検索結果として提供する実験を行っている。ヘルスケア分野では、AIが最新の医学研究や臨床データを参照し、医師に対してより深い文脈や関連情報を提供することで、診断や治療計画のサポートに役立っている(最終的な意思決定は常に人間が行う)。教育の分野でも、AIチューターがインターネット上の不確かな情報ではなく、実際の教科書やコース資料に基づいて学生に説明を提供することで、より信頼性の高い学習支援が実現している。

このように、RAGは単なる新しい専門用語ではない。AIが持つ根源的な課題である「嘘をつく可能性」に対する重要な安全網であり、AIの回答に信頼性という価値をもたらすための不可欠な技術である。大規模言語モデルが物語を語る storyteller だとすれば、RAGは「その情報源を見せてくれ」と求める編集者のような役割を果たす。AIの能力を最大限に活用しつつ、その回答が事実に基づき、信頼できるものであることを保証するために、RAGの存在は現代社会において極めて重要だ。自信過剰な機械に惑わされることなく、本当に信頼できる情報を得るために、RAGはAI技術の発展において不可欠なピースであると言える。

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