lsコマンド(エルエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
lsコマンド(エルエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エルエスコマンド (エルエスコマンド)
英語表記
ls command (エルエス コマンド)
用語解説
lsコマンドは、LinuxやmacOSなどのUNIX系オペレーティングシステムにおいて、ファイルやディレクトリの一覧を表示するために使用される、最も基本的かつ重要なコマンドである。lsは「list」の略であり、コマンドラインインターフェース、すなわちCUI環境で作業を行う上で、現在位置の確認やファイル操作の起点として頻繁に利用される。グラフィカルなインターフェースにおけるフォルダを開いて中身を確認する操作に相当する。このコマンドを使いこなすことは、システムエンジニアとしての第一歩と言える。基本的な構文は「ls [オプション] [ファイル名またはディレクトリ名]」という形式で、オプションや対象を指定せずに単に「ls」と入力すると、現在作業しているディレクトリ、いわゆるカレントディレクトリの内容が一覧表示される。
詳細な使い方として、まずオプションを指定しない場合の動作を理解する必要がある。コマンドプロンプトで「ls」と実行すると、カレントディレクトリに含まれるファイル名とディレクトリ名が、隠しファイルを除いてアルファベット順に表示される。多くの場合、画面の横幅に応じて複数の列で表示され、ファイル名のみの簡潔な情報が得られる。しかし、実際の業務ではファイル名だけでなく、より詳細な情報が必要となる場面が多い。そのために、lsコマンドには多数のオプションが用意されている。
最も多用されるオプションの一つが「-l」である。これは「long format」を意味し、ファイルやディレクトリの詳細な情報を一行に一つずつ表示する。この形式で表示される情報には、ファイルの種類とパーミッション、リンク数、所有者名、所有グループ名、ファイルサイズ(バイト単位)、最終更新日時、そしてファイル名が含まれる。先頭に表示されるパーミッション情報は特に重要で、10文字の文字列で構成される。最初の1文字はファイルタイプを示し、「-」は通常のファイル、「d」はディレクトリ、「l」はシンボリックリンクを表す。続く9文字は3文字ずつの3組に分かれ、それぞれ所有者、所有グループ、その他のユーザーに対する読み取り(r)、書き込み(w)、実行(x)の権限の有無を示す。このパーミッションを正確に読み解く能力は、システムのセキュリティ管理において不可欠である。
ファイルサイズをより直感的に把握したい場合には、「-h」オプションが役立つ。「human-readable」の略で、ファイルサイズをキロバイト(K)、メガバイト(M)、ギガバイト(G)といった単位で表示する。通常、「-l」オプションと組み合わせて「ls -lh」のように使用される。これにより、巨大なファイルのサイズも一目で把握できるようになる。
UNIX系のシステムでは、ファイル名の先頭がドット(.)で始まるファイルは隠しファイルとして扱われ、通常のlsコマンドでは表示されない。これらの設定ファイルなどを含むすべてのファイルを表示したい場合は、「-a」オプション(all)を使用する。このオプションを付けると、カレントディレクトリ自身を指す「.」と、親ディレクトリを指す「..」も表示される。
表示される一覧の並び順を変更するオプションも存在する。「-t」オプションは、ファイルを最終更新日時順に、新しいものが上にくるように並べ替える。システムのログファイルなどを確認する際に、直近で更新されたファイルを見つけるのに便利である。また、「-r」オプション(reverse)は、現在のソート順を逆にする。これを「-t」と組み合わせた「ls -ltr」というコマンドは非常によく使われる。これは更新日時が古いものから順に表示するため、時系列に沿ってファイルの変更履歴を追う際に極めて有効である。
さらに、「-R」オプション(recursive)を用いると、指定したディレクトリだけでなく、その配下にあるサブディレクトリの内容も再帰的にすべて表示することができる。これにより、ディレクトリの階層構造全体を一度に確認することが可能となる。
lsコマンドは、カレントディレクトリだけでなく、引数としてパスを指定することで任意の場所のファイル一覧を取得できる。例えば、「ls /var/log」と実行すれば、「/var/log」ディレクトリの中身が表示される。また、アスタリスク(*)などのワイルドカードを使えば、特定のパターンに一致するファイルだけを一覧表示することも可能だ。「ls *.log」とすれば、カレントディレクトリ内にある拡張子が「.log」のファイルだけを抽出して表示できる。
これらのオプションは複数組み合わせて使用することができ、目的に応じて柔軟な情報表示を実現する。lsコマンドは単体で強力なツールであるが、パイプ(|)を使って他のコマンドと連携させることで、その能力はさらに拡張される。例えば、大量のファイルの中から特定の文字列を含むファイル名だけを探したい場合などに活用される。このように、lsコマンドはCUI操作の基本でありながら、その豊富なオプションと柔軟性により、初心者から熟練したエンジニアまで、あらゆるレベルのユーザーにとって不可欠なコマンドとなっている。