【ITニュース解説】Raspberry PiとWireGuardでVPNサーバー構築
2025年09月15日に「Qiita」が公開したITニュース「Raspberry PiとWireGuardでVPNサーバー構築」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Raspberry PiとWireGuardを使い、外部から安全にアクセスできるVPNサーバーを構築する手順を解説する記事。システムエンジニアを目指す初心者が、Fedora 41環境での具体的な設定方法を学べる。
ITニュース解説
この記事は、小型コンピューターであるRaspberry Piと、最新のVPN技術であるWireGuardを組み合わせて、自分専用のVPNサーバーを構築する手順について解説している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、このような実践的なサーバー構築は、ネットワークの仕組みやセキュリティ、Linuxの操作といった基礎知識を深める良い機会となるだろう。
まず、この記事の核となる技術の一つ、「VPN」について理解しよう。VPNは「Virtual Private Network」の略で、「仮想プライベートネットワーク」と訳される。これは、インターネットのような多くの人が利用する公開されたネットワーク上に、あたかも自分たち専用の安全な通信路を作り出す技術だ。VPNを使うことで、例えばカフェなどの公衆Wi-Fi環境からでも、自宅のネットワークに安全にアクセスしたり、通信内容が第三者に盗み見されることなくウェブサイトを閲覧したりすることが可能になる。システムエンジニアがリモートワークで会社の内部ネットワークに安全に接続する際など、VPNは広く利用されている重要な技術だ。
次に、「Raspberry Pi」とは何か。これは、手のひらサイズの非常に小さなシングルボードコンピューターで、教育用途として開発された経緯を持つ。しかし、その低価格、低消費電力、そして汎用性の高さから、IoTデバイスの制御、メディアサーバー、そして今回のVPNサーバーのように、多岐にわたる用途で活用されている。安価で手軽に入手できるため、初心者でも自宅でサーバーを構築し、様々な実験を行うのに非常に適したデバイスと言える。この記事では、Raspberry Pi 4というモデルに、LinuxベースのOSである「Fedora 41」をインストールして使用している。LinuxはサーバーOSとして世界中で広く使われており、その操作に習熟することはシステムエンジニアにとって不可欠なスキルとなる。
そして、VPNサーバーの構築に用いられるのが「WireGuard」だ。WireGuardは、比較的新しく登場したVPNプロトコル(通信規約)であり、従来のVPNプロトコルに比べて、設定が非常にシンプルでありながら、高速でセキュアであるという特徴を持つ。コードベースが小さく、セキュリティ監査が比較的容易であるため、高い信頼性が評価されている。Raspberry Piのようなリソースが限られたデバイスでも高いパフォーマンスを発揮できる点が、WireGuardが選ばれる大きな理由の一つだ。
記事で解説されているVPNサーバー構築の具体的な手順を見ていこう。
まず、構築の「前提条件」として、Raspberry Pi 4とFedora 41 OSが既に準備されていることが挙げられている。OSのインストールや基本的なネットワーク設定が済んでいる状態からスタートする。
次に重要なのは「ネットワーク設定」だ。自宅のネットワーク環境でサーバーを運用する場合、Raspberry PiのIPアドレスを固定しておくことが一般的である。これは、IPアドレスが変動すると、外部からサーバーにアクセスする際に毎回IPアドレスを調べ直す必要が生じ、不便だからだ。また、外部のインターネットから自宅のRaspberry Piへアクセスできるようにするためには、「ポートフォワーディング」というルーターの設定が不可欠となる。これは、自宅のルーターに届いた特定のポート番号(WireGuardでは一般的にUDP 51820番ポートを使用する)への通信を、Raspberry Piへと転送する設定である。この設定がなければ、外部からVPNサーバーに接続することはできない。さらに、自宅のインターネット回線のIPアドレスは、インターネットサービスプロバイダーの都合で不定期に変わることがある。このような場合に備えて、「DDNS」(Dynamic DNS)というサービスを利用する。DDNSは、変動するIPアドレスに固定のドメイン名(例: example.ddns.net)を紐付け、IPアドレスが変わっても常にそのドメイン名でアクセスできるようにする仕組みである。
これらのネットワーク設定が完了したら、いよいよRaspberry Piに「WireGuardをインストールし、設定」していく。WireGuardのインストールは、Fedora OSのパッケージマネージャー(dnfコマンドなど)を使って簡単に行える。インストール後、サーバー側の設定ファイルを作成する。この設定ファイルには、サーバー自身のIPアドレスや、通信を待ち受けるポート番号、そしてサーバーの「秘密鍵」が含まれる。WireGuardは、公開鍵暗号方式という技術を用いて通信の安全性を確保しており、秘密鍵と対になる「公開鍵」が生成される。この公開鍵をクライアント側に渡すことで、お互いに安全な通信が可能になるのだ。設定ファイルには、VPNクライアントとなる「ピア」の情報も記述する。具体的には、クライアントの公開鍵と、VPN接続時にクライアントに割り当てるIPアドレスなどを定義する。また、重要な設定として「IPフォワード」を有効にし、「iptables」などのファイアウォール設定で、VPN経由の通信がインターネットに出ていけるようにルーティングを設定する必要がある。これにより、VPNクライアントからVPNサーバーを経由して、インターネット上の様々なサービスにアクセスできるようになる。
サーバー側の設定が整ったら、今度は「クライアント側の設定」を行う。スマートフォンやパソコンにWireGuardのクライアントアプリケーションをインストールし、サーバーから発行されたクライアント用の設定情報(サーバーの公開鍵、サーバーのIPアドレス、クライアント自身の秘密鍵、割り当てられたIPアドレスなど)を登録する。記事では、設定ファイルの内容をQRコードで表示し、スマートフォンで読み込むことで、簡単に設定できる方法が紹介されている。この手軽さもWireGuardの大きな魅力の一つだ。
全ての「設定が完了したら、実際に接続テスト」を行う。クライアントからVPNサーバーに接続してみて、意図通りに通信ができるか、自宅のネットワーク内のリソースにアクセスできるか、あるいはVPN経由でインターネットに接続できるかを確認する。もし接続できない場合は、ポートフォワーディング、ファイアウォール、WireGuardの設定ファイルなど、各ステップの設定を一つずつ確認し、問題箇所を特定して修正していくことになる。このようなトラブルシューティングの経験は、システムエンジニアとして非常に重要なスキルを養う上で不可欠である。
このように、Raspberry PiとWireGuardを組み合わせることで、比較的簡単に、そしてセキュアで高速な自分だけのVPNサーバーを構築できる。これにより、外出先から自宅のネットワークに安全にアクセスしたり、通信のプライバシーを保護したりすることが可能になる。システムエンジニアの学習として、実際に手を動かしてこのようなサーバーを構築することは、ネットワーク、OS、セキュリティといった多岐にわたる知識を実践的に身につけるための貴重な経験となるだろう。