Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】React+ Typescript: Deep Dive into "readonly"

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「React+ Typescript: Deep Dive into "readonly"」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

TypeScriptの`readonly`は、変数やオブジェクトのプロパティを「読み取り専用」にする機能だ。型レベルで不変性を強制し、意図しない値の変更を防ぐことで、プログラムのバグを減らす。ReactのpropsやAPI応答の型定義で安全なコードを書くのに役立つ。

出典: React+ Typescript: Deep Dive into "readonly" | Dev.to公開日:

ITニュース解説

システム開発において、データの信頼性を保ち、予期せぬバグを防ぐことは非常に重要である。特に大規模なアプリケーション開発や、複数の開発者が関わるプロジェクトでは、データが意図せず変更されてしまうことによる問題は少なくない。TypeScriptにおけるreadonlyキーワードは、このような問題に対処するための強力なツールの一つであり、データの「不変性」を型レベルで保証する役割を担う。

不変性とは、一度作成されたデータの内容が後から変更されない性質を指す。データが不変であれば、どこかでそのデータが誤って書き換えられてしまう心配がなくなり、コードの予測可能性が高まるため、デバッグが容易になり、全体の品質向上に繋がる。readonlyは、TypeScriptの型システムを通じて、この不変性を強制する仕組みを提供する。具体的には、オブジェクトのプロパティ、配列の要素、クラスのプロパティなどに対して、一度初期値が設定されたら、それ以降は値を変更できないように制限をかける。

このreadonlyが提供する不変性は「型レベル」で適用される点に特徴がある。これと混同されやすいものにJavaScriptのconstやTypeScriptのas constがあるが、これらが変数そのものや値そのもの(「値レベル」)に対して再代入や変更を防ぐのに対し、readonlyは「特定の型を持つデータ構造の内部にあるプロパティが変更不可能である」という制約を型定義に加える。つまり、readonlyが指定された型の変数を定義した場合、その変数が指すオブジェクトの特定のプロパティに対して、後から代入操作を行おうとすると、TypeScriptのコンパイラがエラーを報告するようになる。これにより、コードを実行する前に、意図しないデータの変更を防ぐことができるのだ。

では、なぜreadonlyが重要なのか。その最大の理由は、実行時のバグを未然に防ぐことにある。プログラムが実行されている最中に、予期せぬ場所でデータが変更されてしまうと、その変更が原因で思わぬ動作を引き起こしたり、アプリケーションがクラッシュしたりする可能性がある。readonlyを使用することで、このような「ミューテーション(データの変更)」をコードの記述段階で禁止し、コンパイル時にエラーとして検出できるようになる。これにより、開発者はより堅牢で予測可能なコードを書くことができる。

実際の開発現場では、readonlyは様々な場面でその真価を発揮する。例えば、Reactアプリケーションにおいて、コンポーネントに渡される「props(プロパティ)」の型定義にreadonlyを適用することは非常に有効である。Reactの設計思想では、propsは子コンポーネント内で変更されるべきではない「読み取り専用」のデータとされているため、readonlyを使ってその原則を強制できる。

具体的な例を挙げる。プロフィール表示コンポーネントがname(名前)とskills(スキルリスト)をpropsとして受け取る場合を考える。

1type ProfileProps = {
2  readonly name: string;
3  readonly skills: readonly string[]; // スキル配列自体もreadonly
4};
5
6function Profile({ name, skills }: ProfileProps) {
7  // この関数内でnameやskills配列の内容を変更しようとすると、コンパイルエラーになる
8  // 例: skills.push("TypeScript"); // エラー
9  return <div>{skills.join(", ")}</div>;
10}

このように定義することで、Profileコンポーネントの内部で誤ってnameskillsを変更しようとしても、TypeScriptがエラーを検出してくれる。これにより、子コンポーネントが親から受け取ったデータを勝手に書き換えてしまうという、よくあるバグパターンを効果的に防ぐことが可能となる。

また、外部のAPIから取得するレスポンスの型を定義する際にもreadonlyは非常に役立つ。APIからのデータは、通常、アプリケーション側で変更せずにそのまま表示したり、処理に利用したりすることがほとんどである。

1type ApiResponse = {
2  readonly id: number;
3  readonly status: "success" | "error";
4};

このような型定義を用いることで、APIから受け取ったデータオブジェクトのidstatusといったプロパティを、意図せず変更してしまうことを防ぐことができる。これは、データの整合性を保つ上で非常に重要である。

readonlyの有無による具体的な違いを、よりシンプルな例で見てみよう。

readonlyを使わない場合:

1interface User {
2  name: string;
3  age: number;
4}
5let user: User = { name: "Arka", age: 22 };
6user.age = 23; // これは許可される

この場合、userオブジェクトのageプロパティは後から変更が可能である。

一方、readonlyを使う場合:

1interface User {
2  readonly name: string;
3  readonly age: number;
4}
5let user: User = { name: "Arka", age: 22 };
6user.age = 23; // これはコンパイルエラーになる

ageプロパティにreadonly修飾子が付いているため、初期値設定後、user.age = 23;のように値を再代入しようとすると、TypeScriptコンパイラは即座にエラーを報告し、コードのビルドを停止する。これにより、開発者は問題が発生する前にバグを発見し、修正することができる。

しかし、readonlyには重要な注意点がある。それは、readonlyが提供する不変性はあくまで「コンパイル時」の安全性であるという点だ。TypeScriptはJavaScriptに型安全性を加えるためのツールであり、最終的にはJavaScriptコードに変換されて実行される。JavaScript自体には、readonlyのような型レベルの不変性を強制する組み込みの仕組みはないため、変換された後のJavaScriptコードが実行される「ランタイム(実行時)」においては、readonlyという概念は存在しない。つまり、悪意のある、あるいは非常にトリッキーなJavaScriptコードを通じてであれば、readonlyで保護されたと思われたデータも、最終的には変更される可能性があるのだ。readonlyは、開発者がTypeScriptの恩恵を受けながら、コード上で意図しないミューテーションを避けるための強力なガードレールとして機能するが、JavaScriptのランタイム環境での絶対的な不変性を保証するものではないと理解しておく必要がある。

総じて、readonlyキーワードは、TypeScriptとReactを用いた開発において、データの不変性を型レベルで保証し、コードの堅牢性と予測可能性を高めるための不可欠なツールである。特に、大規模なアプリケーション開発やチーム開発において、意図しないデータの変更によるバグを未然に防ぎ、保守性の高いコードベースを構築する上で、その価値は計り知れない。システムエンジニアを目指す初心者にとって、このような型安全性の概念と具体的な活用方法を理解することは、高品質なソフトウェア開発への第一歩となるだろう。

関連コンテンツ