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【ITニュース解説】Rendezvous Hashing Explained

2025年09月16日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Rendezvous Hashing Explained」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Rendezvous Hashingは、分散システムでデータや処理を複数のサーバーに割り振る技術だ。サーバーが増減しても、データ配置の変更を最小限に抑え、システムの効率と安定性を保つ。

出典: Rendezvous Hashing Explained | Reddit /r/programming公開日:

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんが、将来、大規模なサービスを設計する際に直面する重要な課題の一つに、データを複数のコンピュータ(これを「ノード」と呼ぶ)に効率的に分散させる方法がある。インターネットサービスが世界中のユーザーに利用されるようになると、一つのコンピュータだけでは処理しきれない量のデータを扱ったり、リクエストに応答したりする必要が出てくる。そこで、複数のノードを連携させて一つの大きなシステムとして機能させる「分散システム」が使われる。分散システムでは、どのデータをどのノードに保存するか、またどのノードがどの処理を担当するかを決定する仕組みが非常に重要になる。ここで問題となるのが、ノードの数が増えたり減ったりしたときに、データや処理の割り当てをいかにスムーズに、かつ効率的に変更するかという点だ。

データをノードに割り当てる最も簡単な方法の一つに、データの識別子(キー)をノード数で割った余りを使う「モジュロ演算」がある。例えば、ノードが10台あるとして、キーのハッシュ値を10で割った余りが3なら、3番のノードにデータを保存する、といった具合だ。この方法は非常にシンプルだが、大きな問題がある。それは、ノードの数が変わると、ほとんど全てのデータの割り当てが変更されてしまうという点だ。例えば、ノードが10台から11台に増えた場合、キーを10で割る代わりに11で割ることになるため、新しい余りの値が計算され、データの大部分を新しいノードに移動させたり、既存のノード間で再配置したりする必要が生じる。これは、特に大量のデータを扱うシステムにとっては、非常に大きなコストと手間を伴う。

このような課題を解決するために考え出されたのが「Rendezvous Hashing(ランデブーハッシュ)」だ。これは、各データ項目(キー)がどのノードに割り当てられるべきかを、ノードの増減に強く、かつ公平に決定するためのスマートな方法だ。Rendezvous Hashingの核心は、各データ項目とシステム内の全てのノードの「ペア」に対して、それぞれ「重み付けされたハッシュ値」を計算する点にある。具体的には、あるデータ項目「D」を割り当てたい時、システム内の各ノード「N1, N2, N3, ...」に対して、それぞれ独自の計算式「hash(D + N1の識別子)」、「hash(D + N2の識別子)」のように、データ項目とノードの情報を組み合わせた新しい入力を用いてハッシュ値を生成する。この「識別子」とは、ノードをユニークに特定できる名前やIDのことだ。そして、計算されたこれらのハッシュ値の中から、最も大きい値を持つノードを、そのデータ項目「D」の担当ノードとして選択する。このプロセスをデータ項目ごとに繰り返すことで、データが各ノードに分散して割り当てられていく。ハッシュ関数は、同じ入力に対しては常に同じ出力を返し、異なる入力に対してはバラバラな出力となる特性を持つため、この方法によってデータはノード間で均等に分散されることが期待できる。

Rendezvous Hashingの最大の利点は、ノードの追加や削除に対して非常に強い耐性を持つことにある。まず、「シンプルさ」が挙げられる。Consistent Hashingのような複雑な仮想ノードの管理やリング構造を必要とせず、各ノードとデータキーの組み合わせでハッシュ値を計算し、最大値を選ぶという比較的単純なアルゴリズムで実現できる。これにより、実装の複雑さが軽減され、理解しやすいシステムを構築できる。次に、「ノードの増減に対する一貫性」だ。例えば、システムに新しいノード「N_new」が追加されたとする。この新しいノードは、既存のデータ項目「D」の担当をすぐに引き受けるわけではない。データ項目「D」と新しいノード「N_new」のペアに対するハッシュ値「hash(D + N_newの識別子)」が計算され、もしこの値が既存のどのノードとのペアで計算されたハッシュ値よりも大きかった場合にのみ、新しいノード「N_new」が「D」の新しい担当となる。つまり、影響を受けるのは、新しいノードのハッシュ値が既存ノードのハッシュ値を超えた、ごく一部のデータ項目に限定される。同様に、ノードがシステムから削除された場合も、そのノードが担当していたデータ項目は、残りのノードの中で最も高いハッシュ値を持つノードに自動的に再割り当てされる。この際も、削除されたノードが担当していたデータ以外は、原則として割り当てが変更されないため、データ移動の量を最小限に抑えることができる。この特性は、「Consistent Hashing(コンシステントハッシュ)」と呼ばれる別のアプローチと目的を共有するが、Rendezvous Hashingは異なるアプローチでそれを実現している。さらに、「均等な負荷分散」も重要な利点だ。ハッシュ関数は均等な分布を生み出すため、データはノード間でほぼ均等に分散される。これにより、特定のノードに処理が集中する「ホットスポット」の発生を防ぎ、システム全体のパフォーマンスと安定性を高めることができる。

Rendezvous Hashingは、分散キャッシュシステム、分散データベース、ロードバランサーなど、ノードの追加や削除が頻繁に発生する可能性のある様々な分散システムで活用されている。例えば、ウェブサービスでユーザーのセッション情報を一時的に保存するキャッシュサーバ群や、大規模なデータストアでデータを分散管理するストレージシステムなどで、このアルゴリズムはデータの効率的な配置とノード変動時の安定性確保に貢献している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような分散システムの設計は避けて通れないテーマだ。Rendezvous Hashingのようなアルゴリズムを理解することは、将来、堅牢でスケーラブルなシステムを構築するための重要な一歩となるだろう。

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