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【ITニュース解説】Comparing a RISC and a CISC with similar hardware organization (1991)

2025年10月03日に「Hacker News」が公開したITニュース「Comparing a RISC and a CISC with similar hardware organization (1991)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

コンピューターの頭脳であるCPUには、RISCとCISCという異なる設計思想がある。同様のハードウェア構成を持つ両者の比較を通じて、性能や効率など、それぞれの特徴と違いを考察している。

ITニュース解説

この論文は1991年に発表されたもので、当時システムエンジニアを目指していたり、コンピュータの内部構造に興味を持ったりする人々にとって非常に重要なテーマを扱っていた。それは、コンピュータの頭脳であるCPUを設計する上で主流となっていたCISC(Complex Instruction Set Computer)と、新興のアーキテクチャであったRISC(Reduced Instruction Set Computer)という二つの異なる設計思想を比較したものだ。

まず、CISCとRISCがそれぞれどのようなものか簡単に説明しよう。CISCは、その名前が示す通り「複雑な命令セットを持つコンピュータ」を意味する。これは、CPUが実行できる命令の種類が非常に多く、一つ一つの命令が複雑な処理をこなせるように設計されているという特徴を持つ。例えば、「メモリからデータを読み込み、別のデータと足し算をして、その結果をメモリに書き込む」という一連の処理を、CISCではたった一つの命令で実行できる場合がある。これはプログラマにとっては非常に便利で、少ないコード量でプログラムを作成できるというメリットがあった。しかし、CPUの内部でその複雑な命令を解釈し、実行するためには、非常に複雑な回路が必要となる。これにより、命令の実行に時間がかかったり、消費電力が大きくなったりする可能性があった。

一方、RISCは「削減された命令セットを持つコンピュータ」を意味する。RISCの考え方はCISCとは対照的で、CPUが実行できる命令の種類を最小限に絞り、一つ一つの命令を非常に単純にするというものだ。例えば、上記の「メモリからデータを読み込み、足し算をして、結果を書き込む」という処理も、RISCでは「メモリからデータを読み込む」「足し算をする」「結果をメモリに書き込む」というように、複数の単純な命令に分解して実行することになる。一見すると、命令数が増えて非効率に見えるかもしれないが、それぞれの命令が単純であるため、CPUの回路設計が大幅に簡素化される。これにより、命令一つ一つの実行速度を非常に速くすることができ、結果としてプログラム全体の実行速度も向上するというメリットがあった。また、回路が単純なため、消費電力が少なく、発熱も抑えられるという利点もあった。

1991年当時、PC市場ではIntelのx86シリーズに代表されるCISCが主流であり、多くのソフトウェアがCISCアーキテクチャ向けに開発されていた。しかし、ワークステーションや一部の高性能コンピュータの分野では、IBMのPOWERやSun MicrosystemsのSPARCといったRISCプロセッサが台頭し始めていた。この論文は、まさにこの技術的な転換期において、CISCとRISCのどちらの設計思想がより優れているのか、あるいはどのような条件下でそれぞれが強みを発揮するのかを科学的に検証しようとしたものだ。

この研究の重要な点は、「同様のハードウェア構成」という条件下で比較を行ったことにある。これは、単に性能の良いCISCプロセッサと性能の良いRISCプロセッサを比較するのではなく、できるだけ公平な条件で、純粋にアーキテクチャの違いが性能にどう影響するかを調べたかったためだ。具体的には、同じ製造技術、同じメモリシステム、同じキャッシュ構成など、CPUの周辺部分や物理的な制約をできる限り揃え、命令セットアーキテクチャそのものの違いがもたらす影響を分析しようとした。

論文では、両アーキテクチャのプロセッサを設計し、複数のベンチマークプログラム(コンピュータの性能を測るための標準的なプログラム)を実行することで、様々な側面から比較を行った。比較された主な項目は以下の通りだ。

まず、プログラムの「コードサイズ」、つまりプログラムが占めるメモリ量について。CISCは一つの命令で複雑な処理を実行できるため、同じ機能を実現するのに必要な命令数が少なくなり、結果としてコードサイズが小さくなる傾向が見られた。これはメモリ容量が限られていた時代においては重要な利点であった。一方、RISCは単純な命令を多数組み合わせるため、コードサイズはCISCよりも大きくなる傾向があった。

次に、プログラムの「実行時間」や「実行サイクル数」といった性能面について。RISCは命令一つ一つの実行速度が速いため、CISCよりも少ないCPUサイクルでプログラムを完了できる場合が多かった。特に、コンパイラ(人間が書いたプログラム言語をCPUが理解できる機械語に変換するソフトウェア)が非常に効率よく命令を最適化できる場合、RISCはCISCを上回る性能を発揮した。コンパイラはRISCプロセッサの性能を最大限に引き出す上で非常に重要な役割を担っていた。RISCは単純な命令セットゆえに、コンパイラがプログラムの並列性を見つけ出し、複数の命令を同時に実行させるなどの最適化を行いやすかったのだ。対照的に、CISCの複雑な命令は、コンパイラによる最適化が難しい場面もあった。

この論文が示したのは、CISCとRISCのどちらか一方が絶対的に優れているという単純な結論ではなかった。CISCはコードサイズが小さく、特定の複雑な処理を効率よく実行できる場面があった。一方、RISCはコンパイラによる最適化と組み合わせることで高い並列性を実現し、プログラムの実行速度を大幅に向上させる可能性を秘めていた。特に、当時普及しつつあった高性能なコンパイラ技術と相性が良かった。

この研究は、その後のCPU開発の方向性に大きな影響を与えたと言える。RISCの思想は、スマートフォンのSoC(System on a Chip)で広く採用されているARMアーキテクチャや、高性能計算機で使われるプロセッサに多大な影響を与えた。また、CISCアーキテクチャのプロセッサも、内部的にはRISC的な要素(複雑なCISC命令を内部で複数の単純なマイクロ命令に変換して実行する仕組み)を取り入れることで、RISCの持つ高速実行のメリットを享受するようになった。現在の多くのCPUは、CISCとRISCそれぞれの長所を組み合わせた「ハイブリッド」な設計思想を持つに至っている。

この論文は、CPUアーキテクチャの選択が、単に命令セットの種類だけでなく、コンパイラの進化、メモリシステム、キャッシュ構造といった多くの要素と絡み合って、最終的なコンピュータの性能を決定することを明確に示した。システムエンジニアを目指す上で、このようなコンピュータの根幹をなす技術的な議論を理解することは、将来のシステム設計やパフォーマンスチューニングを行う上で非常に役立つはずだ。コンピュータの進化は、こうした地道な比較研究と技術的な探求の積み重ねによって支えられているのである。

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