x86 (エックスハチジュウロク) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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x86 (エックスハチジュウロク) の読み方

日本語表記

エックスはちじゅうろく (エックスハチジュウロク)

英語表記

x86 (エックスハチジュウロク)

x86 (エックスハチジュウロク) の意味や用語解説

x86は、インテルが開発したマイクロプロセッサの命令セットアーキテクチャの一つだ。1978年に登場したIntel 8086に端を発し、その後継プロセッサである80186、80286、80386、80486と進化を続け、その名称の末尾が「86」で終わることからx86と呼ばれるようになった。当初は16ビットのアーキテクチャだったが、80386で32ビットに拡張され、さらに近年では64ビット版(x64またはx86-64)が主流となっている。 x86アーキテクチャは、その歴史的経緯から、多くのソフトウェアとの互換性を重視している。新しいプロセッサは、古いプロセッサ向けに作られたソフトウェアも実行できるように設計されていることが多く、これがx86の普及を後押しした大きな要因の一つだ。 x86は、主にデスクトップパソコンやノートパソコン、サーバーなどの分野で広く利用されている。特に、Windowsオペレーティングシステムとの相性が良く、これらの環境では事実上の標準アーキテクチャとなっている。 x86の命令セットは、CISC(Complex Instruction Set Computing)と呼ばれる複雑な命令セットを採用している。CISCは、一つの命令で様々な処理を実行できるため、プログラムのコードサイズを小さくできるという利点がある。しかし、命令の実行に時間がかかる場合もあり、プロセッサの設計が複雑になるという側面も持ち合わせている。 x86プロセッサは、CPU内部に複数のレジスタを持っている。レジスタは、データを一時的に保存するための記憶領域であり、プログラムの実行速度を向上させるために重要な役割を果たす。x86には、汎用レジスタ、セグメントレジスタ、フラグレジスタなど、様々な種類のレジスタが存在する。汎用レジスタは、データの演算やアドレスの計算などに使用され、セグメントレジスタは、メモリのアドレス空間を管理するために使用される。フラグレジスタは、演算結果の状態やプロセッサの状態を示すフラグを格納するために使用される。 x86アーキテクチャは、メモリ管理の仕組みも備えている。メモリは、プログラムがデータを読み書きするために使用する記憶領域であり、x86プロセッサは、物理アドレスと論理アドレスという2つのアドレス空間を使用してメモリを管理する。物理アドレスは、実際にメモリチップ上の場所を指し示すアドレスであり、論理アドレスは、プログラムがメモリにアクセスするために使用するアドレスだ。x86プロセッサは、MMU(Memory Management Unit)と呼ばれるハードウェアを使用して、論理アドレスを物理アドレスに変換する。 x86は、割り込み処理の仕組みも備えている。割り込みとは、プログラムの実行中に発生するイベントであり、x86プロセッサは、割り込みが発生すると、現在のプログラムの実行を中断し、割り込み処理ルーチンと呼ばれる特別なプログラムを実行する。割り込み処理ルーチンは、割り込みの原因となったイベントを処理し、その後、中断されたプログラムの実行を再開する。 x86アーキテクチャは、長年にわたって進化を続けており、その最新版であるx64(またはx86-64)は、64ビットのアドレス空間をサポートしており、より多くのメモリを扱うことができる。また、x64は、より多くのレジスタを備えており、プログラムの実行速度を向上させることができる。x64は、現在、多くのデスクトップパソコンやサーバーで使用されており、x86アーキテクチャの主流となっている。 x86アーキテクチャは、その普及度と歴史的経緯から、多くのソフトウェア開発者にとって重要な知識となっている。システムエンジニアを目指すのであれば、x86アーキテクチャの基本的な概念を理解しておくことは非常に有益だ。命令セット、レジスタ、メモリ管理、割り込み処理など、様々な要素が複雑に絡み合っているが、一つずつ丁寧に学習することで、x86アーキテクチャの全体像を把握することができるだろう。

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