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【ITニュース解説】The Rise and Demise of RSS

2025年09月08日に「Hacker News」が公開したITニュース「The Rise and Demise of RSS」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

RSSは、ウェブサイトの更新情報を自動でまとめて読める技術として登場。情報収集を効率化し多くの利用者を獲得したが、SNSの普及など新たな情報収集手段の台頭により次第に利用が減少した。その盛衰の歴史を解説。

出典: The Rise and Demise of RSS | Hacker News公開日:

ITニュース解説

インターネットが世の中に広がり始めた頃、ウェブサイトの数は爆発的に増加し、人々は自分が興味を持つ情報を追いかけることに苦労し始めていた。毎日多数のブログやニュースサイトが更新される中で、いちいち全てのサイトを訪問して新しい記事がないか確認するのは非常に手間のかかる作業だった。この情報過多という課題を解決するために登場した技術の一つが、RSSである。

RSSとは「Really Simple Syndication」や「Rich Site Summary」の略で、ウェブサイトの更新情報を機械が読みやすい形式で配信するための技術規格だ。具体的には、XMLというデータ形式を使って、ウェブサイトの最新記事のタイトル、概要、記事へのリンクといった情報をまとめたファイルを生成し、公開する。このファイルを「RSSフィード」と呼ぶ。ユーザーはこのRSSフィードを専用の「RSSリーダー」と呼ばれるソフトウェアやサービスに登録することで、登録した全てのウェブサイトの更新情報を一箇所にまとめて確認できるようになった。これにより、ユーザーは情報が「配信される」のを待つだけで済むようになり、自らウェブサイトを巡回する手間が省けた。これは、情報を「探しに行く」プル型から、情報が「届けられる」プッシュ型へのパラダイムシフトの先駆けとも言える。

2000年代前半から中盤にかけて、RSSはインターネット上での情報収集において中心的な役割を担った。ブログ文化の隆盛と相まって、個人が発信する情報が増えるにつれ、RSSの需要は高まっていった。特に、Googleが提供していた「Google Reader」のようなウェブベースのRSSリーダーは、多くのユーザーに支持され、いつでもどこからでも最新情報をチェックできる手軽さから、当時のインターネットユーザーにとって必要不可欠なサービスとなっていた。ウェブサイト運営者にとっても、RSSはリピーターを獲得し、ユーザーを自サイトに呼び戻す重要な手段だった。

しかし、このRSSの黄金時代は長く続かなかった。その主な理由は、ソーシャルメディアの急速な台頭である。FacebookやTwitterといったSNSは、単に情報を収集するだけでなく、友人の意見や関連性の高い情報をリアルタイムで共有し、議論する場も提供した。ユーザーはSNSのタイムラインを見るだけで、自分が関心を持つ情報と、友人や影響力のある人物が推奨する情報をまとめて得られるようになったため、RSSリーダーを使う必要性を感じなくなっていったのだ。情報の「発見」から「共有」までが一つのプラプラットフォームで完結するソーシャルメディアの体験は、RSSリーダーでは提供できなかった。

さらに、スマートフォンの普及もRSSの衰退に拍車をかけた。モバイル環境では、ウェブサイトを閲覧するよりも、専用のアプリを使う方が快適な体験を提供することが多かった。RSSリーダーもモバイルアプリとして登場したが、直感的でリッチな体験を提供するネイティブアプリや、SNSアプリの利便性には及ばなかった。

決定的な出来事の一つとして、2013年にGoogle Readerがサービスを終了したことが挙げられる。多くのユーザーが代替サービスを探すことになったが、この頃には既に情報収集の主軸はソーシャルメディアへと移行しており、RSSの利用者は減少の一途を辿っていた。また、RSSは広告表示との相性が悪く、サービス提供者側が収益を上げにくい構造であったことも、ビジネスとしての継続が難しかった一因とされる。一方、ソーシャルメディアは広告モデルと非常に親和性が高く、これがビジネス的な競争力の差となって現れた。

現代において、RSSはかつてのような情報収集の主役ではない。しかし、完全に姿を消したわけではない。特定のニュースアグリゲーターやポッドキャスト配信など、バックエンド技術としてそのシンプルさと効率性が評価され、現在でも利用されている場面は存在する。また、プラットフォームに依存せず、ユーザーが自らの手で情報を管理し、プライバシーを重視したいと考える一部のユーザーにとっては、未だに重要なツールであり続けている。RSSは、ウェブが本来持っていた「オープン」な思想、すなわち特定の企業やプラットフォームに情報の流れを支配されることなく、自由に情報が行き交うべきだという理念を体現する技術だったと言えるだろう。

RSSの栄枯盛衰は、技術の進化とユーザー行動の変化、そしてビジネスモデルの転換が、いかに密接に関わり合ってインターネットの姿を変えていくかを示す好例だ。システムエンジニアを目指す上では、このような技術のライフサイクルを理解し、その背景にある社会やユーザーのニーズの変化を読み解く視点が非常に重要となる。

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