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【ITニュース解説】The rules behing Rust functions

2025年09月11日に「Hacker News」が公開したITニュース「The rules behing Rust functions」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Rustの関数には、メモリ安全性を保証するための独自のデータ管理ルールがある。関数がデータをどう受け渡し、どう扱うかといった仕組みを理解することで、バグが少なく信頼性の高いプログラムを作成できる。システムエンジニアを目指す初心者がRustを学ぶ上で重要な基礎知識となる。

出典: The rules behing Rust functions | Hacker News公開日:

ITニュース解説

Rustは、高い性能を維持しながら、コンピュータのメモリを安全に管理することを最大の目標の一つとしているプログラミング言語だ。このメモリ安全性を実現するために、Rustには他の言語には見られない独自の「所有権」というシステムが組み込まれている。特に、プログラムの中でデータの塊を扱う「関数」が、どのようにこの所有権のルールに従って動作するのかを理解することは、Rustプログラミングの基礎となる。

まず「所有権」について説明する。Rustでは、プログラム内のすべてのデータは、特定の変数によって「所有」されている。そして、一つのデータは一度にただ一つの変数にのみ所有されるという厳格なルールがある。この所有者である変数が、そのデータを利用できる範囲である「スコープ」を抜けると、その変数が所有していたデータは自動的にメモリから解放される。これにより、不要になったメモリが解放されずに残り続けてしまう「メモリリーク」といった問題を未然に防ぐことができる。

変数を別の変数に代入したり、関数に引数としてデータを渡したりすると、原則としてこのデータの「所有権が移動」する。この動きを「ムーブ」と呼ぶ。例えば、ある文字列データが変数s1によって所有されていたとする。これをlet s2 = s1;というように別の変数s2に代入すると、文字列データの所有権はs1からs2へと完全に移動する。この後、元の変数s1は、もうそのデータにアクセスできなくなる。アクセスしようとすると、Rustコンパイラがエラーを教えてくれる。

関数に値を渡す際も同様で、関数に引数として渡されたデータの所有権は、呼び出し元のスコープから関数の仮引数へと移動する。関数が処理を終えて終了すると、その仮引数が所有していたデータは、関数のスコープを抜けるため、自動的にメモリから解放される。このような所有権の移動の仕組みにより、データの二重解放や、解放されたメモリに誤ってアクセスする「Use-After-Free」といった深刻なバグを防ぐことができるのだ。

ただし、整数型やブール型のような、メモリ上で非常に小さいサイズのデータ(いわゆる「プリミティブ型」)の場合、所有権は移動せず、単に値がコピーされる。これらの型はコピーのコストが非常に低いため、毎回所有権を移動させるよりもコピーした方が効率が良いと判断される。この「ムーブ」と「コピー」の違いは、データの種類によってRustが自動的に判断してくれる。

次に、所有権を常に移動させるのではなく、一時的にデータを利用したい場合の仕組みとして「借用」という概念がある。借用は、データの所有権を移動させることなく、参照(reference)という、データの場所を指し示すポインタのようなものを使ってデータにアクセスする方法だ。参照はデータの所有権を持たないため、関数が参照を受け取っても、元のデータの所有権は呼び出し元に残ったままであり、関数が終了してもデータが解放されることはない。これにより、関数がデータの一部を一時的に利用するような、より柔軟なプログラミングが可能となる。

借用には二つの種類がある。「不変参照(immutable reference)」と「可変参照(mutable reference)」だ。不変参照は、データの内容を読み取ることはできるが、変更することはできない。Rustでは、複数の不変参照を同時に作成し、一つのデータにアクセスすることが許されている。これは、複数の場所からデータを読み取るだけなら、データの整合性が損なわれる心配がないためだ。

一方、可変参照は、データの内容を読み取るだけでなく、変更することも可能だ。しかし、データ競合(複数の部分が同時にデータを変更しようとして矛盾が生じる問題)を防ぐため、Rustには厳格なルールがある。それは、「一度に一つの可変参照しか存在できない」ということだ。さらに、可変参照が存在する間は、不変参照も存在できない。これらのルールは、コンパイル時にRustコンパイラによって厳しくチェックされる。これにより、複数のスレッド(プログラムの実行単位)が同時に同じデータを変更しようとして予期せぬ結果を引き起こすような、プログラミングにおける厄介なバグを、実行時ではなく開発の早い段階で発見し、修正することができる。

そして、借用によって作られた参照が、常に有効なデータを指していることを保証するための仕組みが「ライフタイム」だ。もし参照が指しているデータが、参照が使われている途中で先にメモリから解放されてしまい、無効なメモリ領域を指し示すようになってしまうと、プログラムはクラッシュしたり、予期せぬ動作をしたりする可能性がある。これを「ダングリングポインタ」と呼ぶ。

Rustコンパイラは、すべての参照についてその「ライフタイム」、つまり参照が有効である期間を追跡し、参照が指すデータそのものよりも長く参照が生存しないことを保証する。これにより、ダングリングポインタの問題をコンパイル時に回避できる。多くのシンプルなケースでは、Rustコンパイラがライフタイムを自動的に推論してくれるため、開発者が意識して記述する必要はない。これを「ライフタイム省略規則」と呼ぶ。

しかし、関数が引数として参照を受け取り、その参照を加工して返す場合や、構造体が参照をフィールドとして持つ場合など、コンパイラがライフタイムの関係を安全に推論できないケースも存在する。そのような場合には、開発者が明示的にライフタイムパラメータ(例えば'aといった記号)を記述する必要がある。これは、関数の引数として受け取った参照と、関数が返す参照との間に、どのようなライフタイムの関係があるのかをコンパイラに伝えるためのものだ。これにより、コンパイラは、実行時エラーにつながる可能性のある参照の誤用を、コンパイル時に確実に検出できる。

Rustの関数におけるこれらのルール、すなわち所有権、借用、そしてライフタイムは、システムエンジニアを目指す皆さんにとっては最初は複雑で、慣れない概念に感じるかもしれない。しかし、これらはRustがメモリ安全性と高いパフォーマンスを両立させるための、非常に洗練された基盤となる仕組みである。これらのルールを理解し、Rustコンパイラが示すヒントやエラーメッセージに従ってコードを修正していくことで、多くのプログラマーが直面しがちなメモリ関連のバグを大幅に減らし、より堅牢で信頼性の高いソフトウェアを開発する能力を身につけることができる。最初は戸惑うこともあるだろうが、これらの概念に慣れるにしたがって、それがプログラミングにおける強力な味方となることを実感できるはずだ。

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