【ITニュース解説】Semicolon-First: A Psychotic Yet Interesting Way of Writing Code!
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Semicolon-First: A Psychotic Yet Interesting Way of Writing Code!」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
セミコロンを文頭に置く「Semicolon-First」というコーディングスタイルが紹介されている。これはコンマ先行スタイルに着想を得て考案され、セミコロンの記述忘れ防止などの利点がある。しかし、奇妙に見え可読性を損ねる、他の開発者との協力が困難になるなど欠点も多い。最終的に個人の選択だが、筆者自身は現状使用していない。
ITニュース解説
プログラミングの世界では、コードの書き方には様々なスタイルが存在する。これは単に見た目の問題だけでなく、コードの読みやすさ、保守しやすさ、そして複数の開発者が協力して作業する際の効率に大きく影響する。今回紹介するのは、「セミコロンファースト」という非常にユニークなコーディングスタイルに関する考察だ。これは、既存の常識に一石を投じるような、しかし同時にプログラミングの本質を考えさせる興味深い試みである。
まず、プログラミングの基礎知識として、多くの言語で使われる「セミコロン」の役割について確認しておこう。C++やJavaScriptといった言語では、セミコロンは文の終わりを示す記号として機能する。例えば、「int x = 10;」というコードがあれば、これは「変数xに10という値を代入する」という一つの命令がここで終わりであることをコンパイラやインタプリタに伝えている。セミコロンがないと、プログラムはどこまでが一つの命令なのかを判断できず、エラーになることが多い。このセミコロンを「どこに」配置するかという点が、今回の主題となるセミコロンファーストの核心部分だ。
セミコロンファーストの着想元の一つに、「コンマファースト」というスタイルがある。これは主にリストや配列などの複数の要素を記述する際に使われるスタイルだ。通常の書き方では、例えば「['item1', 'item2', 'item3']」のように、各要素の後にコンマを付けて区切る。しかしコンマファーストでは、「[ 'item1' , 'item2' , 'item3' ]」といった形で、次の要素の行頭にコンマを配置する。このスタイルの利点としては、リストの要素を追加したり削除したりする際に、行の追加や削除がよりスムーズになり、バージョン管理システムで変更履歴を追うのが容易になるという点が挙げられることがある。これはあくまで個人の選択であり、どちらのスタイルもコードの動作に影響を与えるものではない。
セミコロンファーストは、このコンマファーストの考え方をセミコロンに応用したものだ。筆者は幼少期の「すべての行がセミコロンで始まるプログラミング言語」という夢からヒントを得て、このスタイルを実際にコードに落とし込んだ。一般的なC++のコードを例に見てみよう。通常の書き方では、例えば変数宣言の「string name;」や出力処理の「cout << "Hello " << name << "!" << endl;」のように、それぞれの命令の末尾にセミコロンを置く。
しかし、セミコロンファーストでは、このセミコロンの配置が大きく変わる。具体的には、あるブロック(例えば関数の中身)の最初の命令を除いて、そのブロック内のすべての命令をセミコロンから始めるのだ。例えば、通常のコードが「int main() { string name; cout << "What's your name? => "; ... }」となる場合、セミコロンファーストでは「; int main() { string name ; cout << "What's your name? => " ; ... }」のように記述される。特に注目すべきは、最後の行は始まりと終わり両方にセミコロンが配置されるという独特のルールを持つ点だ。
このセミコロンファーストスタイルには、いくつかのメリットが挙げられている。最も明白なのは、「セミコロンの付け忘れ」がなくなるという点だ。多くの初心者プログラマーがつまずきやすいのが、このセミコロンの付け忘れによる構文エラーだが、最初からセミコロンを記述するルールであれば、この問題は解消される。もう一つの利点として、コメントが書きやすくなる点が挙げられる。セミコロンファーストでは、一つの命令を複数の行に分割し、それぞれの部分にコメントを付けやすくなるため、より詳細な説明をコードに残すことが可能になるという。例えば、「cout << "How old are you? " // just asking << endl // adding new line character」のように、一行の処理を細かく分解してそれぞれにコメントをつけられる。ただし、このコメントのしやすさは、伝統的な書き方でも工夫次第で実現できるため、決定的な利点とは言い難いとも述べられている。
一方で、このセミコロンファーストスタイルには、無視できない多くのデメリットがある。まず第一に、プログラミングの世界でこのスタイルは「異端」と見なされる可能性が高い。ほとんどのプログラマーは伝統的な書き方に慣れており、セミコロンファーストで書かれたコードは非常に読みにくく、理解しづらいと感じるだろう。これは、まるで母国語とは異なる言語で書かれた文章を読むような感覚に近く、コードの意図を把握するのに膨大な時間と労力がかかってしまう。そのため、もしあなたがチームで開発を行っている場合、他のメンバーから混乱を招き、あるいは批判されることも十分に考えられる。このような状況では、プロジェクトへの他の開発者の貢献が難しくなり、チーム全体の生産性が低下する恐れがある。
さらに、多くのプログラミング開発環境には、コードを自動的に整形してくれる「コードフォーマッタ」と呼ばれるツールが搭載されている。これらのツールは、コードのインデント(字下げ)やスペースの配置などを、あらかじめ設定された一般的なルールに従って自動的に修正してくれる便利な機能だ。しかし、セミコロンファーストのような非伝統的なスタイルで書かれたコードは、多くの場合、これらのフォーマッタによって伝統的なスタイルに自動的に修正されてしまう可能性がある。これは、せっかく独自のスタイルで書いたコードが、意図せず元の形に戻されてしまうことを意味する。
最終的に筆者は、このセミコロンファーストというスタイルについて、「個人的な選択」であると結論付けている。誰もが自分の好きなようにコードを書く自由がある一方で、プログラミングは多くの場合、他者との共同作業であり、そのコミュニティの共通理解や慣習が重要になる。筆者自身も、このスタイルが持つユニークさに魅力を感じつつも、現在は使用していないという。その理由として、自分のコードが「不潔」と見なされるリスクを避けたいと述べている。しかし、もしプログラミングの世界全体がこのセミコロンファーストを採用するならば、自分も喜んでそれに従うだろうという、興味深い姿勢を示している。
このセミコロンファーストの試みは、コーディングスタイルがいかに多様であり、同時にコミュニティにおける共通のルールがいかに重要であるかを教えてくれる。個人の創造性を追求することは素晴らしいが、特にチーム開発においては、コードの統一性や可読性がプロジェクトの成功に不可欠な要素となることを理解する必要がある。システムエンジニアを目指す上では、様々なコーディングスタイルが存在することを認識し、それぞれの利点と欠点を理解した上で、状況に応じた適切なスタイルを選択する能力が求められるだろう。