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【ITニュース解説】TO BECOME A SOC EXPERT(DAY-4)

2025年09月16日に「Medium」が公開したITニュース「TO BECOME A SOC EXPERT(DAY-4)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

SOCエキスパートになるための学習の4日目。サイバー攻撃などセキュリティ事故が起きた際の対応手順であるインシデントレスポンスのワークフローを学べる。

出典: TO BECOME A SOC EXPERT(DAY-4) | Medium公開日:

ITニュース解説

システムやネットワークが私たちの生活に深く根ざしている現代において、サイバー攻撃やシステム障害のリスクは常に存在する。どれだけセキュリティ対策を講じても、完璧に攻撃を防ぐことは難しいのが現実だ。そのため、万が一セキュリティインシデントが発生してしまった場合に、いかに迅速かつ効果的に対応するかが、システムを運用する上で極めて重要となる。この「インシデントレスポンス(IR)」という概念は、システムエンジニアを目指す者にとって、セキュリティを理解し、安全なシステムを構築・運用するために不可欠な知識だ。

インシデントレスポンスの主な目的は、発生したセキュリティインシデントによる被害を最小限に抑えること、影響を受けたシステムやデータを速やかに正常な状態に復旧させること、そして同様のインシデントが再発するのを防ぐことの三点に集約される。これらを実現するためには、明確な手順と役割分担に基づいた体系的な対応が求められる。

このインシデントレスポンスには、一般的に六つの明確なフェーズが存在し、それぞれが密接に連携しながら一連のワークフローを形成している。

最初のフェーズは「準備(Preparation)」だ。これは、インシデントが発生する前に、万全の態勢を整えておく段階を指す。具体的には、インシデント発生時の対応手順を明確に定めたポリシーや計画を作成し、インシデント対応に当たる専門チームを編成する。チームメンバーの役割分担を明確にし、必要なスキルセットを習得するためのトレーニングを実施することも重要だ。また、インシデントを検知・分析するためのセキュリティツール、例えばログ管理システムやマルウェア対策ソフト、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS/IPS)などを導入し、それらのツールを効果的に活用するための訓練も行う。定期的なシミュレーションを通じて、実際のインシデント発生時にもスムーズに対応できるよう、チーム全体の連携とスキルを高めておくことがこのフェーズの重要な活動となる。

次に「特定(Identification)」フェーズが来る。これは、実際にインシデントが発生したことを検知し、その詳細を特定する段階だ。システムからの異常を示す警告、ユーザーからの不審な挙動の報告、セキュリティ監視ツールによる不審なネットワーク通信やデータアクセス、マルウェアの活動形跡の検知など、様々な情報源からインシデントの兆候を捉える。検知された情報が本当にセキュリティインシデントであるかを確認し、その種類、影響範囲、深刻度、発生源などを詳しく分析する。例えば、どのようなシステムやデータが影響を受けているのか、攻撃の種類は何か、いつから攻撃が始まったのか、誰によって行われた可能性があるのかといった点を明確にする作業が含まれる。正確な特定は、その後の適切な対応の基盤となる。

インシデントが特定されたら、三番目のフェーズである「封じ込め(Containment)」に移る。この段階の目的は、インシデントの影響がこれ以上拡大しないように食い止めることだ。具体的には、感染が確認されたシステムをネットワークから隔離したり、攻撃者が利用している不審な通信経路を遮断したりする。これにより、マルウェアの拡散や情報漏洩の拡大を防ぎ、被害を限定する。迅速かつ適切な封じ込めは、被害の規模を最小限に抑え、その後の復旧にかかる時間とコストを大幅に削減するために不可欠なステップとなる。

封じ込めが完了したら、「根絶(Eradication)」フェーズだ。ここでは、システムから脅威そのものを完全に除去する作業を行う。マルウェアに感染したファイルやプロセスを特定して削除したり、攻撃者がシステムに仕掛けたバックドアや、攻撃に悪用された脆弱性を修正したりする。単に目に見える脅威を取り除くだけでなく、根本原因を特定し、その原因を排除することで、同様の攻撃が再発するリスクを排除することが重要となる。このフェーズでは、システム全体のセキュリティ状態を徹底的に検査し、潜在的な脅威の排除に努める。

脅威が根絶された後には、「復旧(Recovery)」フェーズが続く。この段階では、影響を受けたシステムやサービスを安全かつ正常な状態に復元する。具体的には、脅威に晒されていない、クリーンな状態のバックアップデータを用いてシステムを復元したり、必要なパッチやセキュリティアップデートを適用したり、設定を安全な状態に戻したりする。システムが完全に復旧し、安全に運用できることを確認するため、徹底的な機能テストや性能テストを実施し、再発防止のためのセキュリティ監視体制を強化することもこのフェーズに含まれる。目標は、ビジネス運用を安全かつ安定的に再開することだ。

そして、インシデント対応の最後に位置するのが「事後活動と教訓(Post-Incident Activity / Lessons Learned)」フェーズだ。インシデントが解決し、システムが復旧した後も、まだやるべきことは残っている。このフェーズでは、今回発生したインシデントについて詳細な原因分析を行い、何が起こり、どのように対応したのか、そして何がうまくいき、何が改善すべき点だったのかを深く検討する。インシデント対応プロセスや既存のセキュリティ対策における弱点を特定し、将来のインシデントを防止するための具体的な改善策を策定する。この分析結果は報告書としてまとめられ、組織全体で共有されることで、次の「準備」フェーズへとつながり、セキュリティ体制の継続的な強化に役立てられる。これにより、組織全体のセキュリティ成熟度を高めていくことができる。

これらのインシデントレスポンスの各フェーズを効果的に実行するためには、様々な技術やツールが活用される。例えば、組織内のサーバーやネットワーク機器、アプリケーションなどから大量のログデータを収集・分析し、異常を検知する「SIEM(Security Information and Event Management)」は、「特定」フェーズにおいて重要な役割を果たす。また、PCやサーバーといったエンドポイントの挙動を継続的に監視し、脅威を検知・対応する「EDR(Endpoint Detection and Response)」は、「特定」から「封じ込め」「根絶」フェーズでの迅速な対応を支援する。さらに、インシデント対応のタスクを自動化し、人手による作業負荷を軽減しつつ、迅速な対応を支援する「SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)」といったツールも活用される。脅威インテリジェンスと呼ばれる最新の攻撃手法や脆弱性に関する情報を活用することも、より効果的なインシデントレスポンスに繋がる。

システムエンジニアとして、インシデントレスポンスのワークフローを理解することは、セキュリティを考慮したシステム設計や開発、運用に直結する。自分の設計したシステムが攻撃された際、どのように被害が広がり、どのように復旧していくのかを事前に想定できる能力は、強固でレジリエンスの高いシステムを構築するために不可欠だからだ。インシデントレスポンスは一度やれば終わりではなく、絶えず変化する脅威に対応するために、継続的に改善と強化を続けていく必要がある。この一連のプロセスを理解し、実践することで、私たちはより安全で信頼性の高いIT環境を築き、維持していくことができるようになるのだ。

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