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【ITニュース解説】レッドオーシャンに一石を投じるつもりで変なSNSを10ヶ月以上運営してかなり病んだ話

2025年09月11日に「Zenn」が公開したITニュース「レッドオーシャンに一石を投じるつもりで変なSNSを10ヶ月以上運営してかなり病んだ話」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

ある開発者が「Keik」という独自のSNSを10ヶ月以上運営した話。リアルタイム入力共有チャットや閲覧者画面中継など特徴的な機能を持ち、BlueskyのAT Protocolを採用している。競争が激しいSNS市場で独自の挑戦を続けた結果、精神的な負担があった経験を記す。

ITニュース解説

ある個人開発者が「Keik(NonFict.me)」という独自のSNSを10ヶ月以上運営し続けた経験について、その挑戦と困難を語る話は、システムエンジニアを目指す者にとって多くの示唆に富んでいる。これは、単に新しいサービスを作るだけでなく、それを継続的に運用し続けることの現実的な厳しさを浮き彫りにする事例である。

Keikが「変なSNS」と呼ばれる所以は、そのユニークな機能にある。まず、投稿に45秒という制限時間を設けており、さらにタイピング中の内容がリアルタイムで共有され、その過程がリプレイ可能という点が特徴だ。これは、ユーザーが投稿を完成させるのを待つことなく、思考の過程や交流をリアルタイムで楽しめるようにする狙いがある。通常のチャットツールとは異なり、会話が瞬時に、そして動的に展開されるため、よりライブ感のあるコミュニケーションが生まれる。複数のユーザーが同時に参加する場合、自動的にルーム分けされる機能や、ハッシュタグをルームのように利用できる仕組みも導入されており、多様なテーマでの交流を促す。また、「トラベル」という機能を通じて過去の会話をいつでも振り返ることができるため、一時的なやり取りに終わらず、履歴として残る価値も提供している。さらに、閲覧者の画面が、リアルタイムでそのユーザーのプロフィール画面に中継されるという機能は、ユーザー間の透明性を高め、より深く相手を理解する機会を提供するものだ。これらの機能は、システム開発の観点から見ると、非常に高度なリアルタイム通信技術とデータ処理能力が要求されることを意味する。例えば、タイピング中のテキストを瞬時に共有したり、複数の画面の状態をリアルタイムで中継したりするには、サーバーとクライアント間での高速かつ安定したデータ送受信を可能にする基盤が必要となる。

このSNSは、プロトコルとしてActivityPubではなく、Bluesky社のAT Protocolを採用していると推測される。ActivityPubは、Mastodonなどの分散型SNSで広く使われているオープンなプロトコルであり、異なるSNSサービス間での相互連携を可能にする。これにより、特定のサービスに依存せず、ユーザーが自由にプラットフォームを選択できるというメリットがある。一方、AT Protocolは、Blueskyが開発を進める新しい分散型SNSのプロトコルで、ActivityPubとは異なる設計思想を持つ。AT Protocolは、ユーザーのデータ所有権や移転の自由度を高めつつ、大規模な利用にも対応できるスケーラビリティを目指していると言われている。開発者がAT Protocolを選択した背景には、この新しいプロトコルが提供する可能性や、分散型Webの未来に対するビジョンがあったのかもしれない。しかし、新しいプロトコルを採用するということは、まだ事例が少なく、開発のための情報やツールが限られている可能性もあり、技術的な挑戦の度合いを高めることになる。

そして、10ヶ月以上もの運営を通じて「かなり病んだ」という言葉には、個人開発者が直面する多岐にわたる困難が凝縮されている。システム開発は、初期の設計から実装、テスト、リリースまでで終わりではない。サービスを公開した後には、システムの安定稼働を維持するための監視、発生するバグの修正、パフォーマンスの最適化、新しい機能の追加、セキュリティ対策、サーバーコストの管理など、継続的な運用業務が伴う。ユーザーからのフィードバックへの対応や、予期せぬトラブルへの緊急対応も日常茶飯事だ。特に個人でこれら全てを担う場合、技術的な知識やスキルだけでなく、時間管理能力、問題解決能力、そして何よりも高いモチベーションと精神的な強さが求められる。ユーザーが少ないうちはまだしも、利用者が増えれば増えるほど、システムの負荷は増大し、それに伴う課題も複雑化する。サーバーの維持費用も無視できない問題となり、資金面での負担も発生する。これらの現実的な問題に加え、新しいサービスを普及させるためのマーケティング活動や、常に他社サービスとの差別化を意識する必要がある。このような状況が積み重なることで、精神的な疲弊や「病む」という状態に陥ることは想像に難くない。

この経験は、システムエンジニアを目指す者にとって、単にコードを書く技術だけでなく、サービスを創り、育て、そして運用し続けることの全体像を理解する貴重な教材となる。アイデアを実現する情熱と技術力はもちろん重要だが、それ以上に、長期的な視点でシステムと向き合い、困難に立ち向かう覚悟と、時には自身を労わるバランス感覚もまた、プロフェッショナルなシステムエンジニアとして不可欠な要素なのだ。

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