【ITニュース解説】The Third Leg of the Stool: JSON

2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Third Leg of the Stool: JSON」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

JSONは、AIとの間でデータをやり取りする際に、情報を「何のデータか」と「その値」で構造化するシンプルなテキスト形式だ。これによりAIからの出力は予測しやすくなり、システムの自動連携やデータ活用が容易になる。AIに特定の形式で情報を正確に渡すための重要な技術だ。

出典: The Third Leg of the Stool: JSON | Dev.to公開日:

ITニュース解説

AI技術が急速に発展する現代において、システムエンジニアを目指す上で、AIとの効率的な連携方法は非常に重要な知識となる。APIやMarkdownといった基本的な技術に加えて、AIとのやり取りをより洗練させるための重要な要素がJSON(JavaScript Object Notation)である。JSONは一見すると複雑なコードのように見えるかもしれないが、実はデータを整理し、AIと人間が共通の理解を持つためのシンプルな「約束事」のようなものだと考えると良い。

JSONは、AIに対して「このような形で情報を教えてほしい」と具体的なテンプレートを提供する役割を果たす。これは、ちょうどあなたが何かの情報を記入する際に、名前、点数、感想といった項目があらかじめ用意されたフォームを受け取るようなものだ。AIは、このJSONという形式で提示されたフォームの「箱」を埋めるように情報を返す。これにより、AIが自由に解釈する余地を減らし、期待通りの、構造化された応答を得られるようになる。

普段、ExcelやGoogle Sheetsのような表計算ソフトを使っている人ならば、JSONの基本的な考え方はすでに身についていると言える。表計算ソフトでは、各列に見出し(例: 「氏名」「点数」)があり、それぞれのセルに具体的な値が入力されている。JSONもこれと同じで、特定の名前(「キー」と呼ぶ)に対して、それに紐づく具体的な情報(「値」と呼ぶ)を対応させる形でデータを表現する。ただし、Excelのように見た目の表ではなく、AIが直接読み書きできるプレーンテキストの形式で表現される点が異なる。

具体的な例を見てみよう。ある学習コースについてAIに情報を生成してもらう場合、次のようなJSONをAIに与えることができる。

{
  "title": "Lockout/Tagout Basics",
  "objective": "Identify when and how to apply LOTO procedures",
  "estimated_minutes": 12
}

これは、AIに対して「タイトル」「目的」「推定時間」という三つの項目を持つコース情報を作成してほしい、と明確に指示している。AIは、これらの項目に対応する情報を正確に埋めて返す。このように、AIの応答が特定の構造に沿って返されることを「構造化された応答」と呼ぶ。

JSONのもう一つの大きな利点は、既存のシステムやツールで使われている「変数」と簡単に連携できる点にある。システム開発において、変数はテキストや数値、真偽値(はい/いいえ)などの情報を一時的に保持する「箱」のような役割を果たす。AIに対してAPIを通じてJSON形式で回答を返すよう指示すると、そのJSONの中に含まれる各フィールド(例えば「title」や「objective」)の値を、あなたがシステム内で用意した対応する変数に直接マッピングできる。これにより、システムがAIからの情報を自動的に受け取って、動的なコンテンツを生成したり、処理を行ったりできるようになる。つまり、AIがシステム内の変数を自動的に埋めてくれるようになるのだ。

例えば、ユーザーからのフィードバックを表示する画面を考えてみよう。通常であれば、開発者が一つ一つのメッセージを手作業で設定する必要があるかもしれない。しかし、JSONを使えば、AIに「feedback」「next_hint」「retry」(再試行が必要かどうかを示す真偽値)という三つのフィールドを持つ情報を返すよう指示できる。

{
  "feedback": "Correct. You selected the right PPE for aluminum MIG.",
  "next_hint": "Before you adjust voltage, check your wire speed.",
  "retry": false
}

システムはAIからこのJSONを受け取ると、「feedback」の値を画面のフィードバックメッセージを表示する変数に、「next_hint」の値を次のヒントを表示する変数に、「retry」の値を再試行ボタンの表示/非表示を制御する変数にそれぞれ割り当てる。これにより、AIが生成した情報に基づいてシステムが動的にメッセージや表示を更新できるようになる。システムの設計は開発者が行い、AIはその設計された「箱」に適切なデータを埋め込む役割を担うのである。

JSONの最大の強みは、その一貫性と再利用性にある。Markdownがアイデアを整理し、読みやすい形にするのに対し、JSONはアイデアを具体的な「箱」に閉じ込めることで、そのデータの形式を厳密に定義する。これにより、AIから返されるデータの形が常に予測可能になる。この予測可能な構造のおかげで、一度生成されたJSONデータを、学習コース、データベースへの保存、レポートの自動生成など、さまざまな場所で一貫した形式で再利用できる。データ形式が常に一定であるため、システム間の連携やデータの活用が非常にスムーズになるのだ。

コース作成以外の例として、画像や動画をAIで生成する際のプロンプト(指示文)にもJSONが活用される。例えば、「工場で火花を散らす溶接工の画像」という自由なテキストで指示することも可能だが、JSONを使うことで、主題、設定、カメラアングル、スタイルといった詳細な要素を構造化して指示できる。

{
  "subject": "welder",
  "setting": "factory floor",
  "detail": "sparks flying in background",
  "composition": "medium shot",
  "camera_angle": "eye level",
  "style": "realistic photo"
}

このようにJSONで構造化することで、AIが指示を解釈する際の曖昧さを排除し、生成される画像の要素を正確に制御できる。例えば、「溶接工」という主題だけを変更し、他の設定はそのままにして複数の画像を生成したい場合でも、JSONの構造がその作業を非常に容易にする。これにより、一貫性のある画像を大量に生成したり、異なる要素を組み合わせたりする際の効率が飛躍的に向上する。

AIへのプロンプト作成には、RISE、TAG、ACEといった様々なフレームワークが存在し、これらはプロンプトのベストプラクティスを提供し、構造化を促す。JSONは、これらのフレームワークが目指す「構造化」という考え方を、異なるプラットフォームやシステムが互いにデータを交換しやすい形式で実現する手段である。

JSONは、AIに対して「これらの箱を正確に埋めてくれれば、返ってくる情報を信頼できる」と伝えるための強力なツールである。確かに見た目はコードのようだが、その本質は「データの構造化」に他ならない。システムエンジニアにとって、AIが生成する大量のデータを効率的かつ正確に扱うことは不可欠であり、JSONはそのための確実な橋渡し役となる。JSONを理解し活用することで、AIとの連携は単なる試行錯誤の連続から、信頼性と予測可能性の高いシステム構築へと進化する。

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