【ITニュース解説】Trump's TikTok deal will give control to a group of US investors, report says
2025年09月17日に「Engadget」が公開したITニュース「Trump's TikTok deal will give control to a group of US investors, report says」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
TikTokの米国事業は、Oracleなど米投資家が8割の株式を持ち、支配権を握る見込みだ。Oracleが米国ユーザーデータを管理し、TikTokエンジニアはライセンス技術で新アルゴリズムを再開発中。米中間の最終合意が近づいている。
ITニュース解説
TikTokを巡る所有権と運営体制の変化は、最近の国際的なIT業界で最も注目される出来事の一つだ。米国政府と中国企業ByteDanceの間で長らく交渉が進められてきたが、その具体的な内容が徐々に明らかになってきた。この合意は、人気のソーシャルメディアアプリの将来だけでなく、データプライバシー、国家安全保障、そして国際的な技術協力のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。
報道によると、TikTokの米国事業は、主に米国の投資家グループが所有することになる。具体的には、このグループが新しい事業体の約80パーセントの株式を保有する見込みだ。この投資家グループには、企業向けのクラウドサービスやデータベース技術で知られるOracle、新興企業への投資を手掛けるベンチャーキャピタル企業のAndreesen Horowitz、そしてプライベートエクイティ企業のSilver Lakeが含まれる。一方、中国の株主は、法律で定められた20パーセント未満の少数株を保有することになる。さらに、米国政府は、この米国主導の経営陣のボードメンバーを一人指名する権利を持つとされている。これは、TikTokの米国事業が中国政府の影響下にあるという米国の懸念を解消するための重要なステップだ。
この取り決めは、トランプ前大統領が数ヶ月前から示唆していたもので、米国と中国の間の複雑な交渉の結果として形になりつつある。当初、中国当局は、新しい米国版TikTokでも既存の中国製アルゴリズムが継続して使用されることに同意したと報じられていた。しかし、最新の報道では、さらに踏み込んだ内容が示されている。それは、TikTokのエンジニアが、ByteDanceからライセンスされた技術を使って、全く新しいTikTokアプリ用のアルゴリズムを「再構築」するというものだ。
ここでいう「アルゴリズム」とは、ユーザーがアプリを開いたときに表示されるコンテンツの並び順や種類を決定する、いわば「おすすめエンジン」のような仕組みを指す。例えば、私たちがTikTokで様々な動画を見るたびに、その視聴履歴や「いいね」の履歴などに基づいて、次にどんな動画を見せたらもっと長くアプリを使ってもらえるかを学習し、パーソナライズされたフィードを作り出すのがアルゴリズムの役割だ。システムエンジニアにとって、このアルゴリズムはアプリの魅力を大きく左右する心臓部であり、その設計や実装は高度な技術を要する。
アルゴリズムを「再構築」するということは、既存のアルゴリズムのコードをそのままコピーして使うのではなく、ByteDanceが持つアルゴリズムの「技術的な知識」や「ノウハウ」を借りて、米国側の管理下で新たなコードとして書き起こすことを意味する。これは、知的財産権の問題や、既存の複雑なシステムを完全に移植することの難しさなどを考慮した上での、現実的な解決策と言えるだろう。つまり、中国の技術的な強みを生かしつつ、米国側がその内容や動作を完全に把握し、必要であれば修正できるような体制を構築することを目指しているのだ。この作業は、単なるコードのコピーアンドペーストではなく、セキュリティ、パフォーマンス、そして将来的な拡張性などを考慮しながら、ゼロからに近い形で設計・実装し直す、大規模なソフトウェア開発プロジェクトに匹敵する。
また、ユーザーデータの管理もこの合意の重要な要素だ。長年の懸念事項であった米国のユーザーデータが中国政府にアクセスされる可能性を排除するため、Oracleが米国のユーザーデータの監督を担うことになっている。Oracleは、以前からTikTokとデータセキュリティに関して協力関係にあり、その経験が今回の体制構築に活かされる。システムエンジニアの視点から見ると、ユーザーデータを特定の国や企業の管理下から分離し、別の信頼できる第三者が監督するということは、データの保管場所、アクセス権限、暗号化の方法、監査ログの管理など、多岐にわたるセキュリティ対策を講じる必要があることを意味する。これは、大規模なインフラとセキュリティ技術が要求される非常に重要な役割だ。
最終的な合意にはまだ時間がかかる可能性があり、トランプ前大統領はアプリの禁止期限を4度延長するなど、状況は流動的だった。また、当時、トランプ前大統領は中国の習近平国家主席と最終的な確認を行う意向を示していた。
この一連の出来事は、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、単なるニュースとしてだけでなく、技術が国際政治や経済にどのように影響を与え、またその逆も然りであるかを示す良い事例となる。データプライバシー、サイバーセキュリティ、知的財産権、そしてアルゴリズムの透明性といったテーマは、これからのシステム開発において避けて通れない重要な課題となるだろう。特に、国際的なサービスを開発・運用する際には、各国の法規制や政治的背景を理解し、それに対応できる技術的なソリューションを構築する能力が求められる。TikTokの事例は、そうした複雑な状況の中で、いかに技術的な解決策を見出し、実装していくかという点で、貴重な教訓を与えてくれる。