Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Ubuntu 25.10(questing)の開発; UI Freezeとrust-coreutilsの投入

2025年09月12日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「Ubuntu 25.10(questing)の開発; UI Freezeとrust-coreutilsの投入」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

人気のLinux OS「Ubuntu 25.10 (questing)」の開発で、画面デザインや操作性に関する変更が終了し「UI Freeze」が行われた。これを受け、今後は新しいUIや機能の使い方をまとめる「ドキュメントのための時間」に入った。

ITニュース解説

Ubuntuという言葉を聞いたことがあるだろうか。これは、世界中で多くの人々に利用されているLinuxベースのオペレーティングシステム(OS)の一つだ。パソコンやサーバー、最近ではIoTデバイスなど、様々な環境で使われている。無料で利用でき、高い安定性とセキュリティを誇るため、システム開発者やITインフラを支えるシステムエンジニアにとって非常に重要なツールとなっている。このUbuntuは、定期的に新しいバージョンが開発され、提供されている。新しいバージョンが出るたびに、機能が追加されたり、パフォーマンスが向上したり、セキュリティが強化されたりする。今回話題になっているのは「Ubuntu 25.10」という、開発中のコードネームが「questing」と呼ばれる次のバージョンについてだ。

ソフトウェア開発には、いくつかの明確な段階がある。まず、どんな機能を作るか、どう設計するかを「計画」する。次に、実際にプログラムを「実装」する。そして、完成した機能が正しく動くか、「テスト」を行い、問題があれば修正する。最後に、ユーザーが使えるように「リリース」される。Ubuntuのような大規模なOS開発でも、このような段階を計画的に踏んで進められる。

その開発段階において、「UI Freeze」という重要なマイルストーンが設定されることがある。UIとは「ユーザーインターフェース」の略で、パソコンの画面に表示されるボタンやウィンドウ、メニューといった、ユーザーが直接見て操作する部分のことだ。Ubuntuでは、主にデスクトップ環境の見た目や操作性がこれに当たる。UI Freezeとは、このユーザーインターフェースの変更を一時的に停止する段階を指す。つまり、新しい見た目や操作方法を追加することは一旦終わりにして、これからリリースされるバージョンでのUIは基本的に固定されるということだ。なぜこのような「凍結」が必要かというと、見た目や操作が頻繁に変わると、その後のテストが非常に難しくなるからだ。UIが安定することで、開発チームは残されたバグ(プログラムの欠陥)の修正や、内部的なパフォーマンスの改善、セキュリティの強化といった、目には見えにくいけれど非常に重要な作業に集中できるようになる。これにより、より安定した、品質の高いOSをユーザーに提供できるようになる。UI Freeze後も、重大なバグが見つかれば修正されるが、機能や見た目の大幅な変更は行われない。

UI Freezeが行われた後、開発は「ドキュメントのための時間」というフェーズに突入する。これは文字通り、ドキュメント(説明書やヘルプファイル)を作成したり、既存のドキュメントを更新したり、あるいはそれらを様々な言語に翻訳したりする期間を指す。いくら優れたOSが開発されても、その使い方や新機能について説明がなければ、ユーザーは困ってしまうだろう。システムエンジニアにとって、OSの各種設定方法やコマンドの使い方、トラブルシューティングの方法などが詳細に書かれたドキュメントは、日々の業務を円滑に進める上で不可欠だ。この期間に、開発された新機能がどのように動作するのか、どんな設定が必要なのかといった情報が丁寧にまとめられ、世界中のユーザーがそれぞれの言語で利用できるよう翻訳作業も進められる。これにより、OSの使いやすさや普及が大きく向上する。

そして今回のニュースで特に注目すべき点が、「rust-coreutilsの投入」だ。これはシステムエンジニアを目指す人にとって、非常に重要なキーワードとなる。coreutilsとは、LinuxやUnix系のOSで私たちが日常的に使う基本的なコマンド群のことだ。「ls」と入力すればファイルの一覧が表示され、「cp」でファイルをコピーし、「mv」でファイルを移動する。これら「ls」や「cp」、「mv」といった一つ一つのコマンドが、実はcoreutilsというプログラム群の一部なのだ。OSの最も基本的な動作を支える、いわばOSの土台となるツールだと言える。

これまで、これらのcoreutilsは主にC言語というプログラミング言語で書かれてきた。C言語は非常に高速に動作するプログラムを作成できる一方で、メモリ管理をプログラマが手動で行う必要があり、しばしば「メモリ安全性」に関するバグ(メモリリークやセグメンテーション違反など)を引き起こすリスクがあった。これらのバグはOSの不安定性やセキュリティ上の脆弱性につながる可能性がある。

そこで今回、Ubuntu 25.10の開発では、このcoreutilsの一部を「Rust」という新しいプログラミング言語で書き直したものを採用しようとしている。Rustは近年非常に注目されている言語で、C言語に匹敵する高いパフォーマンスを発揮しながらも、「メモリ安全性」を非常に高いレベルで保証する特徴を持っている。Rustで書かれたプログラムは、コンパイル時(プログラムを機械が理解できる形に変換する時)にメモリ関連の多くのエラーを検出するため、実行時に発生するバグやセキュリティリスクを大幅に減らすことができる。

なぜこの変更が重要なのか。まず、OSの基盤となるcoreutilsがRustに置き換わることで、システムの安定性とセキュリティが飛躍的に向上する可能性がある。これは、OSを利用するすべてのユーザー、特にミッションクリティカルなサーバーを運用するシステムエンジニアにとって、非常に大きなメリットとなる。バグが少なく、脆弱性のリスクが低いOSは、安心して利用できる環境を提供し、システム障害の発生確率を低減させる。次に、Rustは高いパフォーマンスも提供するため、基本的なコマンドの実行速度が向上し、OS全体の応答性が改善される可能性もある。これは日常的な作業の効率化にも繋がるだろう。

Ubuntu 25.10の開発状況は、単に新しいOSのバージョンがリリースされるという話に留まらない。そこには、安定した開発プロセスの重要性、使いやすいドキュメントの整備、そしてRustのような最新技術をOSの根幹部分に導入することで、より安全で高性能な未来のITインフラを築こうとする明確な意図が見て取れる。システムエンジニアを目指す者として、このようなOSの進化の背景や、採用される技術の意義を理解することは、将来のキャリアにおいて必ず役立つはずだ。新しい技術がどのようにシステム全体に影響を与え、どのような価値を生み出すのかを常に意識し、学び続ける姿勢が重要だ。

関連コンテンツ