【ITニュース解説】Visual Studio 2026 Insider: The Good, The Bad, and The WTF 🤯
2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Visual Studio 2026 Insider: The Good, The Bad, and The WTF 🤯」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Visual Studio 2026 Insiderは、コード理解を助けるAIアシスタントや処理速度の向上など革新的な機能がある一方、多くのメモリを消費し、既存の拡張機能が不安定になる問題も抱えている。また、不必要なソーシャル機能の追加も指摘されている。安定性より新機能を試したい開発者向けだ。
ITニュース解説
Visual Studioは、システムエンジニアやプログラマーにとって非常に重要な開発ツールの一つである。Microsoftが提供するこの統合開発環境(IDE)は、コードを書いたり、プログラムをテストしたり、エラーを見つけたりと、ソフトウェア開発のあらゆる工程をサポートする。今回紹介する「Visual Studio 2026 Insider」は、その将来のバージョンを先行体験できるプレビュー版であり、開発者が実際に使ってみた感想をまとめた記事から、その新しい側面と課題を解説する。このプレビュー版は、革新的な機能と同時に、まだ解決すべき問題も抱えていることが示されている。
まず、Visual Studio 2026 Insiderの「良い点」から見ていこう。最も注目すべきは、AIアシスタント機能の進化である。これまでのAIアシスタントは、まるで役に立たない同僚のように感じることもあったが、VS 2026の「DevCompanion」は大きく異なる。このAIは、単に今開いているファイルだけでなく、プロジェクト全体のコードベースを深く理解する能力を持っている。例えば、「なぜ認証機能が壊れているのか」と尋ねると、開発者が何時間も気づかなかったミドルウェアの微妙な設定ミスを即座に指摘したという。これは、コード全体を把握した上で具体的な問題解決に役立つ、まさに「使えるAI」と言えるだろう。システムエンジニアが日々の開発で直面する複雑な問題に対し、強力なサポートを提供してくれる可能性を秘めている。
次に、パフォーマンスの大幅な向上が挙げられる。以前のバージョンでは、大規模なプロジェクトを開く際にコーヒーブレイクが必要になるほどの時間がかかっていたが、VS 2026では2GBのソリューション(プロジェクトのまとまり)がわずか3.7秒で読み込まれるようになった。これは驚くべき改善である。「Lazy Intellisense」という新機能も貢献しており、これは必要な部分だけを読み込むことで、巨大なコードベースでも開発環境が非常に応答性が高く、スムーズに動作するように感じられるという。開発者が快適に作業できることは、生産性に直結するため、この改善は非常に高く評価されている。
さらに、バージョン管理ツールであるGitとの統合機能も進化している。特に、マージ競合(複数の開発者が同じファイルを変更した際に発生する衝突)を解決するための視覚的なツールが格段に良くなった。コードの変更箇所を横並びで比較できるだけでなく、AIが競合箇所を検出し、さらには開発者の過去のマージの好みまで学習することで、Gitを使った共同作業がこれまでになく快適になったという。Gitは現代のソフトウェア開発において不可欠なツールであり、その使い勝手が向上することは、多くのシステムエンジニアにとって朗報である。
一方で、Visual Studio 2026 Insiderにはいくつかの「悪い点」も存在する。最も懸念されるのは、相変わらず高いメモリ使用量である。開発者は、VS 2026が「RAMは木になる」とでも思っているかのように、大量のメモリを消費すると指摘している。中規模のプロジェクトでさえ8.2GBものRAMを使い、32GB搭載のPCでも負担が大きいと感じるほどだという。これは、ウェブブラウザのChromeが多数のタブを開いていても、それより少ないメモリしか使わないことと比較され、多くの開発者にとって改善が求められる点である。高性能なPCがなければ快適に開発できない可能性を示唆している。
次に、拡張機能の互換性の問題がある。新しいプラグインアーキテクチャが導入された結果、既存の多くの拡張機能が不安定になったり、まったく動作しなくなったりしているという。例えば、人気のあるコード解析ツール「ReSharper」は不安定になり、「Live Share」はランダムにクラッシュするといった報告がある。拡張機能は開発者の作業効率を大きく左右するため、これらが使えなくなることは大きな痛手となる。また、既存の拡張機能を新しいアーキテクチャに対応させるための移行ガイドのドキュメントが非常に分かりにくいという問題も指摘されている。
そして、デバッガの信頼性にも課題が見られる。「スマートデバッグ」と呼ばれる新機能が、時々開発者が設定したブレークポイント(プログラムの実行を一時停止する地点)を「無関係」と判断し、無視してしまうことがあるという。これは、コードのエラーを特定し修正するために不可欠なデバッグツールが、その役割を十分に果たさないことを意味する。開発者がコードのバグを直すためにデバッガを使っているのに、そのデバッガ自体がバグを起こしているかのように機能しない状態は、非常にストレスがたまる経験である。
最後に、開発者を困惑させる「WTF(What The F***)」な点、つまり予想外の機能についても触れておこう。 一つ目は、「ソーシャルコーディング機能」の導入である。VS 2026には、開発者同士のチャットシステム、開発者のステータス更新機能(例:「ジェイクは非同期処理で苦戦中」)、さらにはコードの品質や貢献度に応じて与えられる「コードカルマポイント」といった、SNSのような機能が搭載された。多くの開発者は、このような機能がなぜ開発ツールに必要なのか理解に苦しんでいる。コミュニケーションツールはSlackなどの専用ツールで事足りており、開発環境にこれ以上ソーシャル機能が追加されることは、集中を妨げるだけであり、誰も求めていないと感じているようだ。
二つ目は、AIによる「コードレビューボット」である。このAIは、開発者がコミット(コードの変更を保存する操作)する際に、非常に細かすぎる指摘をするという。例えば、「データ」という変数名をもっと具体的に「userAuthenticationResponseDataObject」とすべきだと提案するなど、時には過剰に感じるコメントを残す。もちろん、コードの品質を高めることは重要だが、AIが自動で生成するコメントが開発者の生産性を下げたり、煩わしさを感じさせたりするようでは、その価値は疑問視される。
三つ目は、異常な数の「テーマ」の追加である。「ノスタルジックターミナルグリーン」や「ミレニアルピンク」、「サイバーパンクハッカー」など、47種類もの新しいテーマが提供されている。テーマの多様性は好ましいことではあるが、デバッガの不具合や拡張機能の互換性といった、開発の根幹に関わる問題が未解決であるにもかかわらず、テーマの追加が優先されたように見えることは、多くの開発者にとって疑問符がつく点である。
総合的に見て、Visual Studio 2026 Insiderは、Microsoftが将来のソフトウェア開発のあり方を探るための実験的な試みであると言える。AIアシスタントの進化やパフォーマンスの向上といった革新的なアイデアは非常に魅力的であり、今後の開発ツールのあるべき姿を示唆している。一方で、過剰なメモリ消費、拡張機能の互換性問題、デバッガの不安定さ、そしてソーシャル機能やAIコードレビューボットのような「誰も求めていない」と感じられる機能の導入は、今後の改善が強く望まれる点である。
このプレビュー版を試すべきかどうかの判断基準として、もしあなたが新しいIDEの未来に興味があり、安定性よりも最新機能を試すことを楽しむタイプで、万が一のトラブルに備えてバックアップをしっかり取っているのなら、試してみる価値はあるだろう。しかし、締め切りが厳しいプロジェクトを抱えている場合や、既存のVS 2022の安定した環境で満足している場合は、現時点での導入は見送るのが賢明だ。
開発者が下した評価は10点中7点である。AIアシスタントとパフォーマンスは高く評価されているが、メモリ使用量、拡張機能の互換性、そしてソーシャル機能は低い評価を受けている。これは、素晴らしい進化と同時に、改善すべき多くの課題があることを明確に示している。ソフトウェア開発は常に進化しており、その最前線で何が起こっているのかを知ることは、システムエンジニアを目指す上で非常に有益な情報となるだろう。