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【ITニュース解説】Write Code With Less Legal Risk | Legal Expert MCP Server

2025年09月15日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Write Code With Less Legal Risk | Legal Expert MCP Server」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

アプリ開発者が法的リスクに悩む問題を解決するため、元弁護士のエンジニアが法務知識をまとめたツールを開発した。プライバシー、知財、AI倫理など多様な法的側面をチェックできるプロンプト集で、開発者のリスク低減を支援する。これは情報分析ツールであり、法的助言ではない。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す初心者が、ソフトウェア開発の世界に足を踏み入れる際、技術的なスキルやプログラミング知識の習得に集中しがちだが、実はもう一つ、非常に重要な側面がある。それは「法的なリスク」への理解だ。新しいアプリケーションやサービスを開発する際、開発者自身が法的な問題に直面することが少なくないという現状が、あるソフトウェアエンジニアによって指摘されている。このエンジニアは、自身がかつて弁護士であった経験から、開発者が直面する法的な課題を解決するための独自のツールを開発し、公開している。

このツールは「MCPサーバー」と呼ばれ、大規模言語モデル(LLM)を活用して、法的な知識が不足している開発者をサポートすることを目的としている。具体的には、様々な「プロンプト」、つまり特定の法的な問いかけやチェックリストを提供することで、開発者が自身のプロジェクトに潜む法的なリスクを洗い出し、対策を検討できるようにするものだ。開発者はこれらのプロンプトに沿って情報を入力することで、自身のアプリケーションやビジネスアイデアが法的な観点からどのような状況にあるのか、どんな課題があるのかについての分析結果を得られる。

MCPサーバーが提供するプロンプトは多岐にわたる。例えば「legal_landscape_discovery」は、開発中のアプリケーションやサービスが関連する法的な全体像を把握するための手助けをする。どの国のどの法律が適用されるのか、どのような規制があるのかといった基本的な情報を理解することは、プロジェクトの初期段階で非常に重要だ。「comprehensive_privacy_audit」は、ユーザーの個人情報を取り扱うアプリケーションにとって不可欠な、プライバシーに関する包括的な監査を支援する。個人情報の収集、保存、利用、共有が各国のプライバシー保護法規(例えばGDPRやCCPAなど)に適合しているかを確認することは、法的なトラブルを避ける上で極めて重要だ。

近年注目される「ai_ethics_and_compliance_scan」は、AIを組み込んだシステムやサービスにおける倫理的な問題や法規制への適合性をチェックする。AIの公平性、透明性、説明責任といった側面が、法的要件や社会的な期待に応えられているかを評価するのに役立つだろう。また、「intellectual_property_and_oss_audit」は、ソフトウェア開発において常に意識すべき知的財産権の問題に焦点を当てる。開発中のコードが既存の特許権や著作権を侵害していないか、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用する際のライセンス条項を正しく遵守しているかなどを確認することは、後々の訴訟リスクを回避するために不可欠だ。

さらに、「market_and_customer_compliance_audit」は、特定の市場や顧客層をターゲットとする際の法規制への適合性を検証する。例えば、金融サービスや医療関連のアプリケーションでは、特定の業界規制を遵守する必要がある。また、「website_and_app_legal_disclosure_check」は、ウェブサイトやアプリケーションに表示すべき法的な開示情報(利用規約、プライバシーポリシー、免責事項など)が適切に記載されているかを確認するのに役立つ。これはユーザーとの信頼関係を築き、法的トラブルを未然に防ぐ上で極めて重要だ。

「security_legal_alignment_check」は、アプリケーションのセキュリティ対策が法的な要件と整合しているかを検証する。データ漏洩やサイバー攻撃が発生した場合に、適切なセキュリティ対策が取られていたことを証明できるか、関連する法律や規制(例えばデータセキュリティに関するもの)に準拠しているかなどをチェックする。そして、「risk_analysis_framework」は、これらの法的な側面から総合的にプロジェクトのリスクを評価し、適切な対応策を検討するためのフレームワークを提供する。これらのプロンプトは、「legal_expert_prompts_catalog」としてまとめられており、開発者は必要に応じて参照できる。

このMCPサーバーは、VS CodeのGitHub CopilotやCursorといった開発ツールと連携し、スラッシュコマンドとして利用できる設計となっている。これにより、開発者は自身の開発環境から直接、法的なチェックや分析を行うことが可能になり、開発ワークフローの中で法的な考慮事項を効率的に組み込むことができる。現時点では最初のバージョンであり、一部のLLM(例えばClaudeコード)ではプロンプトに不具合がある場合もあるとのことだが、開発者は他の開発者たちの助けになることを目指してこれを共有している。

このツールの最大の利点は、弁護士に直接相談するコストや時間をかけずに、開発初期段階から法的なリスクをある程度予測し、対策を検討できる点にある。しかし、非常に重要な注意点として、このMCPサーバーが提供するのはあくまで「情報分析」であり、「法的助言」そのものではないと明記されている。LLMは非常に強力なツールだが、その性質上、誤った情報(ハルシネーション)を生成したり、現在の法律の変更に追いついていなかったり、特定の国の複雑な法制度に対応できなかったりといった「固有の限界」がある。そのため、このツールを利用する際は、提供される分析結果を鵜呑みにせず、最終的な判断や重要な決定を下す前には、必ず専門の弁護士に相談することが不可欠だ。ツールの利用は完全に自己責任であり、法的な問題やコンプライアンスに関する結果について、開発者は一切責任を負わないことも明言されている。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、このようなツールは、開発における法的な視点の重要性を認識し、早い段階からリスクを考慮する習慣を身につける良い機会となるだろう。技術的な実装だけでなく、そのソフトウェアが社会の中でどのように位置づけられ、どのような法的な責任を伴うのかを理解することは、現代のソフトウェア開発者にとって必須のスキルと言える。AIを活用して法的なリスク分析を行うアプローチは、今後のソフトウェア開発の現場でますます重要になってくる可能性を秘めている。

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