第3世代携帯電話 (ダイサンセダイケイタイデンワ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
第3世代携帯電話 (ダイサンセダイケイタイデンワ) の読み方
日本語表記
第三世代携帯電話 (ダイサンセダイケイタイデンワ)
英語表記
3G (スリージー)
第3世代携帯電話 (ダイサンセダイケイタイデンワ) の意味や用語解説
第3世代携帯電話は、2000年代初頭に登場した移動体通信システムの総称であり、一般的に3G(Third Generation)と呼ばれる。国際電気通信連合(ITU)が定めたIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)という規格群に準拠するシステムを指す。第2世代携帯電話(2G)が音声通話のデジタル化を主目的としていたのに対し、3Gは高速なデータ通信を本格的に導入し、携帯電話の役割を音声端末から多機能な情報端末へと進化させた点で画期的な世代であった。2Gでは数kbpsから数十kbps程度であった通信速度が、3Gでは数百kbpsから数Mbpsへと飛躍的に向上し、これにより、それまで限定的であったインターネット接続やコンテンツ利用が、より快適に行えるようになった。この高速化は、後のスマートフォンの普及とモバイルインターネット文化の発展における重要な礎を築いた。日本国内では、2001年にNTTドコモが世界に先駆けて「FOMA」の名称で商用サービスを開始したのが3Gの始まりである。 3Gを実現するための核心技術は、多元接続方式にある。2Gでは主にTDMA(時分割多元接続)やPDC、GSMといった方式が用いられていたが、3GではCDMA(符号分割多元接続)をベースとした技術が主流となった。IMT-2000では、主に二つの方式が標準化され、世界中の通信事業者に採用された。一つはNTTドコモや欧州の事業者などが採用したW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)である。これは、広い周波数帯域幅を利用して、各ユーザーに固有の拡散符号を割り当て、同一周波数上で多数のユーザーが同時に通信することを可能にする。これにより、周波数利用効率を高めつつ、安定した高速通信を実現した。もう一つは、米国のQualcomm社が開発し、主に北米や韓国、そして日本ではau(KDDI)が採用したCDMA2000である。この方式は、2Gで使われていたcdmaOneとの後方互換性を重視して設計されており、既存のインフラからのスムーズな移行を可能にした。これら二つの方式は技術的な細部で異なるものの、いずれも高速データ通信の実現という共通の目標を持っていた。この標準化の動きにより、3G端末は国際ローミングに対応しやすくなり、海外でも自国の端末をそのまま利用できる利便性が向上した。 3Gの高速データ通信能力は、携帯電話で利用できるサービスを劇的に変化させた。2G時代にもi-modeやEZwebといったサービスは存在したが、通信速度の制約からテキストや簡単な画像が中心であった。しかし3Gの登場により、映像をリアルタイムで送受信するテレビ電話、CDに近い音質で楽曲をダウンロードできる「着うたフル」、サイズの大きなアプリケーションの配信、動画ストリーミングといったリッチコンテンツが利用可能になった。また、携帯電話をPCに接続してデータ通信を行うテザリングも一般化し、外出先でのインターネット利用の選択肢を広げた。さらに、3Gの技術は進化を続け、2000年代後半には3.5Gとも呼ばれる拡張規格が登場した。W-CDMA陣営では、下り方向の通信速度を高速化するHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)や、上り方向を高速化するHSUPA(High-Speed Uplink Packet Access)が導入され、これらを合わせてHSPAと総称された。CDMA2000陣営でもEV-DO(Evolution-Data Optimized)という技術によって同様の高速化が図られた。これらの技術改良により、通信速度はさらに数十Mbpsレベルにまで向上し、スマートフォンの登場と普及を技術的に支えることになった。その後、データ通信需要のさらなる増大に応えるため、より高速な第4世代携帯電話(4G/LTE)へと移行が進み、3Gは歴史的な役割を終え、各国で順次サービスを終了している。