アドレスプール(アドレスプール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アドレスプール(アドレスプール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

アドレスプール (アドレスプール)

英語表記

address pool (アドレスプール)

用語解説

アドレスプールとは、ネットワークに接続するコンピュータやスマートフォンなどのデバイスに対して、動的に割り当てるために用意されたIPアドレスの集合、またはその連続した範囲を指す。この仕組みは、ネットワーク管理者が個々のデバイスに手動でIPアドレスを設定する手間を省き、IPアドレス資源を効率的かつ体系的に管理するために不可欠なものである。特に、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーがクライアントにIPアドレスを自動で払い出す際に、このアドレスプールが利用されるのが最も一般的な使われ方である。ネットワークに参加するデバイスが増えたり減ったりする環境、例えばオフィスや公衆無線LANなどにおいて、IPアドレスの割り当てと回収を自動化し、ネットワークの可用性と管理性を高める中心的な役割を担っている。

アドレスプールは、DHCPサーバーの機能の中核を成す。DHCPサーバーは、自身が管理するネットワークセグメントに対応したアドレスプールを保持している。ネットワークに新たに接続したデバイス(DHCPクライアント)は、IPアドレスを要求するためにDHCPディスカバーというブロードキャストパケットを送信する。これを受信したDHCPサーバーは、自身が持つアドレスプールの中から、まだ他のデバイスに割り当てられていない空きのIPアドレスを一つ選び出す。そして、そのIPアドレスを含むネットワーク設定情報をDHCPオファーとしてクライアントに応答する。クライアントは受け取ったオファーを承認し、DHCPリクエストを送信すると、サーバーは最終的な確認応答であるDHCPアックを返し、IPアドレスの貸し出し処理が完了する。この一連の流れにおいて、アドレスプールはIPアドレスの供給源として機能する。

アドレスプールを設定する際には、単にIPアドレスの範囲を定義するだけではない。通常、以下の重要な情報も併せて設定される。まず、割り当てるIPアドレスの開始アドレスと終了アドレスで範囲を決定し、そのネットワークの規模を示すサブネットマスクを指定する。次に、IPアドレスを貸し出す期間である「リース期間」を設定する。リース期間が終了すると、クライアントはそのIPアドレスを継続して使用するために更新処理を行うか、あるいはIPアドレスは解放されてプールに戻され、他のデバイスが利用できるようになる。また、アドレスプールの範囲内であっても、サーバーやプリンターなど、常に同じIPアドレスで運用したいデバイスのために、特定のIPアドレスを自動割り当ての対象から除外する「除外設定」も可能である。さらに、クライアントがインターネットなどの外部ネットワークと通信するために必要なデフォルトゲートウェイのアドレスや、ドメイン名からIPアドレスを解決するためのDNSサーバーのアドレスも、アドレスプールに紐づけてクライアントに通知する設定が行われる。

IPアドレスの割り当て方法にはいくつかの種類があり、アドレスプールの使われ方も異なる。最も一般的な「動的割り当て」では、プール内の空いているアドレスが要求に応じて順次貸し出される。デバイスがネットワークから切断されリース期間が過ぎると、そのアドレスはプールに返却される。「自動割り当て」は、一度割り当てたデバイスのMACアドレスとIPアドレスの組み合わせをDHCPサーバーが記憶し、次回以降も同じデバイスには同じIPアドレスを優先的に割り当てる方式である。そして「静的割り当て(予約)」は、特定のMACアドレスを持つデバイスに対して、常に固定のIPアドレスをプールから割り当てるように設定するもので、手動でIPアドレスを設定する静的IPアドレッシングと、DHCPによる一元管理の利点を両立させることができる。

アドレスプールの管理は、ネットワークの安定運用において極めて重要である。プールのサイズ、つまり用意されたIPアドレスの数が、ネットワークに同時接続するデバイスの最大数よりも少ない場合、IPアドレスが枯渇し、新規のデバイスがネットワークに接続できなくなる問題が発生する。そのため、ネットワークの規模や利用状況を正確に予測し、適切なサイズのアドレスプールを設計する必要がある。また、一つのネットワーク内に複数のDHCPサーバーが存在し、それらが重複する範囲のアドレスプールを持つ設定ミスは、IPアドレスの重複衝突を引き起こし、深刻な通信障害の原因となるため、厳重に避けなければならない。アドレスプールの概念はDHCPだけでなく、ISPが加入者にグローバルIPアドレスを割り当てる際や、VPNサーバーがリモートクライアントにプライベートIPアドレスを払い出す際にも利用されており、現代のネットワークにおいてIPアドレスを動的に管理するための基本的な技術要素となっている。

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